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甘酸っぱい思い出と隠してた真実
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──次の日
俺は甚平に肌を通し、裕翔との待ち合わせの場所へ向かう準備を始めていた。
甚平の通気性の良さに、自然と涼しさが俺の肌へと染み渡ってくる。
そして、トレンドマークの髪の毛のセットも完璧、裕翔の黒縁眼鏡だって忘れずに着用して、準備万端だ。
「あらっ!大和っ!甚平似合ってるじゃない!」
出かけようと思ってたその時、俺は母さんに呼び止められ、甚平姿をまじまじと見つめられたんだ…そ、そんな見つめんなよ、恥ずかしい…
「へ、変じゃないか?」
「うんうん!すっごくいい!そういえば裕翔くんも甚平を着てくるのかしら??」
母さんには裕翔と駿の事を話していた…いや、半分強制的に聞かれた感もあるんだけど…
でも、そりゃそうだ…
こんなに毎日楽しく過ごしている姿を母さんに見せられているのは、何年ぶりだろうか…
「ああ、一緒に買いに行ったから来てくると思うけど?」
「ふふっ!そうなんだっ!大和が楽しそうで何よりだわっ!二人でいい思い出を作るのよ?」
楽しそうに過ごす俺に対して、母さんもいつも以上に明るくて嬉しそうな顔をしてくれる。
母さん…俺、今凄い幸せだよ?
そして、いつもほんとにありがとな…?
俺は母さんに笑顔で「行ってきます」と告げ、母さんも満面の笑みで俺を送り出してくれたんだ。
◇ ◇
──待ち合わせ場所に先に着いた俺は、裕翔の到着を待っていたんだけれど…
はぁ、変に緊張する…だって考えてみろ?
あんな可愛いやつが甚平姿で登場するだなんて…!!
俺っ!落ち着け!!
へ、変な事すんなよ!俺っ!!
平然を装いながらも、早く裕翔に会いたい…
そんな事を考えていた俺の前に、履きなれない下駄をカランコロンとさせながら、可愛くて太陽のように明るい裕翔が姿を現したんだ。
「大和っ!お待たせっ!」
「おう、今着いたばかりだ…ふふっ!裕翔、甚平似合ってるじゃん」
「あ、ありがとう…!大和も似合ってるし…」
「…ん?似合ってるし…?」
「か、カッコイイよ…」
俺たちはお互い『似合ってる』だの『カッコイイ』だの言い合っては、頬を赤らめる。
バカヤロウ…お前にカッコイイなんて言われたら、たまったもんじゃねぇんだよ…
照れて暖かい頬と外の暑さが混じり合いながらも、俺たちはカランコロンと下駄の音を立て、お祭り会場へと向かっていったんだ。
◇ ◇
──さすがは、お祭りムードなだけはある。
お祭り会場にはこれでもかっ!って程の人でごった返していた。
「裕翔、迷子になるなよ?」
「ばっ!子供扱いするなよっ!」
裕翔は頬をプクッと膨らませて反論してきたけれど、その姿を見て愛しくて、可愛くて堪らなくて…何より楽しすぎて、俺はつい笑っちゃったんだ。
そしてお祭り会場は、色んな出店のイルミネーションや可愛いポップ体で描かれた屋台の名前でキラキラと彩られ、あれもこれも全てが俺たちの目に止まり、二人で楽しく屋台を見て回ったんだ。
俺は甚平に肌を通し、裕翔との待ち合わせの場所へ向かう準備を始めていた。
甚平の通気性の良さに、自然と涼しさが俺の肌へと染み渡ってくる。
そして、トレンドマークの髪の毛のセットも完璧、裕翔の黒縁眼鏡だって忘れずに着用して、準備万端だ。
「あらっ!大和っ!甚平似合ってるじゃない!」
出かけようと思ってたその時、俺は母さんに呼び止められ、甚平姿をまじまじと見つめられたんだ…そ、そんな見つめんなよ、恥ずかしい…
「へ、変じゃないか?」
「うんうん!すっごくいい!そういえば裕翔くんも甚平を着てくるのかしら??」
母さんには裕翔と駿の事を話していた…いや、半分強制的に聞かれた感もあるんだけど…
でも、そりゃそうだ…
こんなに毎日楽しく過ごしている姿を母さんに見せられているのは、何年ぶりだろうか…
「ああ、一緒に買いに行ったから来てくると思うけど?」
「ふふっ!そうなんだっ!大和が楽しそうで何よりだわっ!二人でいい思い出を作るのよ?」
楽しそうに過ごす俺に対して、母さんもいつも以上に明るくて嬉しそうな顔をしてくれる。
母さん…俺、今凄い幸せだよ?
そして、いつもほんとにありがとな…?
俺は母さんに笑顔で「行ってきます」と告げ、母さんも満面の笑みで俺を送り出してくれたんだ。
◇ ◇
──待ち合わせ場所に先に着いた俺は、裕翔の到着を待っていたんだけれど…
はぁ、変に緊張する…だって考えてみろ?
あんな可愛いやつが甚平姿で登場するだなんて…!!
俺っ!落ち着け!!
へ、変な事すんなよ!俺っ!!
平然を装いながらも、早く裕翔に会いたい…
そんな事を考えていた俺の前に、履きなれない下駄をカランコロンとさせながら、可愛くて太陽のように明るい裕翔が姿を現したんだ。
「大和っ!お待たせっ!」
「おう、今着いたばかりだ…ふふっ!裕翔、甚平似合ってるじゃん」
「あ、ありがとう…!大和も似合ってるし…」
「…ん?似合ってるし…?」
「か、カッコイイよ…」
俺たちはお互い『似合ってる』だの『カッコイイ』だの言い合っては、頬を赤らめる。
バカヤロウ…お前にカッコイイなんて言われたら、たまったもんじゃねぇんだよ…
照れて暖かい頬と外の暑さが混じり合いながらも、俺たちはカランコロンと下駄の音を立て、お祭り会場へと向かっていったんだ。
◇ ◇
──さすがは、お祭りムードなだけはある。
お祭り会場にはこれでもかっ!って程の人でごった返していた。
「裕翔、迷子になるなよ?」
「ばっ!子供扱いするなよっ!」
裕翔は頬をプクッと膨らませて反論してきたけれど、その姿を見て愛しくて、可愛くて堪らなくて…何より楽しすぎて、俺はつい笑っちゃったんだ。
そしてお祭り会場は、色んな出店のイルミネーションや可愛いポップ体で描かれた屋台の名前でキラキラと彩られ、あれもこれも全てが俺たちの目に止まり、二人で楽しく屋台を見て回ったんだ。
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