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信じられる本当の親友

友の存在、俺らの願い-1

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 六月
 新しい高校生活が始まってから、あっという間に時が過ぎたのは、これだけ楽しい日々を送れているからなんだと、俺は改めて感じていた。

 最近では、朝から俺は裕翔と一緒だった。
 駅までわざわざ裕翔が迎えに来てくれて、俺は俺だけの特等席に座り、二人で楽しく通学路を駆けていく。

 俺から頼んだわけじゃないのに裕翔は、どうして迎えに来てくれたんだろう?

 でも、俺は嬉しすぎて恥ずかしくて…
 裕翔に直接聞くなんて出来なかったんだ…

 そして【お前のものは俺のもの】
 このスタイルも何一つ変わってない。
 いや、ここに来て変えるつもりはなかった。

 この間も素直じゃない俺は、裕翔と連絡先を交換しあったけれど「交換しようぜ!」なんて言えなくて、連絡先まで俺のものを発揮しちまって…

 我ながらに恥ずかしい…
 そして、ほんっと俺ってちっちぇな…

 裕翔から預かった黒縁眼鏡も、変わらず俺の顔の上で温もりを放ってくれている。

 そう、いつでも裕翔が俺の傍に居てくれている感じがしていたんだ。

 お前のものは俺のもの…そんな事を発したとしても、なにも変わらない裕翔。

 そして、俺が裕翔の事が好きな事も変わらない…それと同時に嘘を貫き通す為に、俺だけが好きならそれでいいと、気持ちを押し殺していることも何ら変わりない。

 それ以上に、お互いの距離がどんどん近付き【親友】という形に変わり始めていることが俺は何よりも嬉しかったんだ。 

 ──学校に着き、教室に入った俺たちは、各々にいつもの席に座る。

 この高校に来て驚いたこと…それは、不思議と席替えという風習がないらしい。

 ああっ!?席替え!?ふざけんなっ!
 裕翔と離れるなんて考えられっか!
 しかも、駿も近くにいるのに反対だ、絶対に反対!

 そんな事を考えていると、今日もバスケ部の朝練を終えた駿がクラスに入ってきて元気に…ん?元気がないっ…?

 おいおい、元気印のムードメーカーが元気がないって…ぜってぇ何かあっただろ…

「駿…?おはよっ…」

「ああ、おはよ…」

「おい、駿?元気ねぇな…大丈夫か?」

 駿の元気がない事は、裕翔も不安だったようだ。
 そりゃそうだ、大事な親友が元気がねぇなんてすぐ分かるだろうし、何より自分の事よりも友達の事を優先して考える裕翔なら尚更な…

「…すまん…はぁ…なぁ二人とも、今日のお昼ちょっと悪いことしないか…?」

 何を言い出すかと思えば…
 悪いことって、何するつもりだよ。
 まぁ、そういうの嫌いじゃねぇけどな!

「ん?悪いこと?面白いことなら乗るぞ」

「大和、サンキュ…!裕翔はどうする…?」

 裕翔は真面目ちゃんだから『どうしよう…』って顔をしていたけれど、断りづらさもあったんだろう…仕方なしって感じで、俺らの悪巧みに乗ってくれたんだ。

 ◇ ◇

 ──その日のお昼
 俺たちは購買争奪戦争で手に入れたパンや飲み物を手にしながら、あるところへ向かっていた。

「ね、ねぇ…やっぱりやめようよ…」

「なら、裕翔は戻るか?」

「ここまで来たんだ!怒られるなら三人でだから大丈夫だって!」

 悪い事をしてるからこそ、裕翔は気が気じゃなかったんだろうけど、俺らの事を信じて後ろから離れることも無く、着いてきてくれていた。

 ガチャ…
「ははっ!やっぱここ、いつでも鍵空いてんじゃん!」

 そう、俺たちが足を踏み入れたのは、学校の屋上だ。

 普段から立ち入り禁止になっているのに、鍵の一つもかかっていない…『入っていいよー!』って言ってるのと同然じゃねぇかよ…!!

 そんな事を思いながらも、俺たちは屋上へ足を踏み入れ、いつも以上に心地の良い風に吹かれながら、三人で仲良くパンと飲み物を頬張っていったんだ。
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