奥さまは魔王女

奏 隼人

文字の大きさ
上 下
76 / 105

ミラール防衛ライン

しおりを挟む

「さあ…ミラールへ急ごう…ティナ!!」

「はい!!ダーリン!!」




その頃、ミラールではゴルドの予想通りエクスとパルテの襲撃に手を焼いていた…

「姫様…第ニ次防衛ラインを突破されました…誰も奴等を止められません…それどころか時間稼ぎさえ難しい状況です…」 

「もう…私しかいないわね…なんとか二人の魔女を止めないと…」

アイは高校生の頃、優也からもらった胸のペンダントを握りしめる…

「ふふ…こんな時、どうしてあの人を思い出してしまうのかしらね…

私…やっぱり…彼にゾッコンなんだわ…

優也くん…私に力を貸して…」

アイは未来眼の能力を使った…

「何…この人…一体誰なの…?」




ズウゥゥゥゥン…!!!

攻撃魔法でミラールの街を破壊する二人の魔女の前にアイは立ちはだかった…

「待ちなさい…これ以上は好きにさせないわ!!」

「お前がこの国の長か?大人しく我等に従えば攻撃を止めようではないか…どうじゃ?」


「随分と勝手な言い草ね…そんなのお断りに決まってるでしょ!!」

アイはキツネの精霊を呼び寄せた…

「玉藻前!!」

光の粒子で出来たキツネは二人の魔女に襲いかかった…





ミラールに着いた優也とプラティナはアイの居場所を探して魔法因子を探知していく…

「ダーリン!!あっちよ!!」

ティナが指差す方へ僕達は向かった…


優也とプラティナは広大な広さの神社の境内へ続く階段に辿り着いた…


パアァァァァッ!!!

辺りを包んでいた光が一瞬にして消えた…

「ダーリン…!」

「行ってみよう…」





「はぁ…はぁ…」

二人の魔法使いと対峙したアイはガックリとうなだれて魔法力も残っていない様子である…

もちろん精霊の姿も無い…

「…もう私に力は残っていないわ…好きにしなさい…」

アイは目をつむって優也の顔を思い浮かべた…

「ほう…往生際が良いな!!この国の事は我々に任せてあの世に行くがよい…」


アイの睫毛が涙で濡れていく…



ドガァァァァン…!!!

近くで攻撃魔法の爆発が起こった…


「あれ…?」


彼女の眼前にはマントを拡げて魔法を防いだ紳士が現れた…

「この人…未来眼で見た…」

アイはシルクハットに黒マント、タキシード姿の紳士をすでに見ていた…

しかしその正体までは分からなかった…



「貴方は…?」

「愛…オレの背後うしろに隠れていろ…」

「もしかして…優也…くん」


自分を呼び捨てにした紳士…そのシルクハットの下の野獣のような紅い眼にアイはドキッとした…

「いつもの優也くんじゃない…
見た事も無いくらいワイルド…」


二人の魔女達は優也を見つめる…

「何だ…お前は…」

「これは失礼致しました…名乗るほどのものではございませんが…少しご理解頂きたく思いまして…」

エクスとパルテは顔を見合わせる…

「…理解…?一体何をだ…?」

優也はその紅い眼を光らせて魔女達に言い放った…


「オレの大切なひとに手を出した馬鹿野郎はどうなるかって事だよ!!」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

もういいです、離婚しましょう。

杉本凪咲
恋愛
愛する夫は、私ではない女性を抱いていた。 どうやら二人は半年前から関係を結んでいるらしい。 夫に愛想が尽きた私は離婚を告げる。

浮気をなかったことには致しません

杉本凪咲
恋愛
半年前、夫の動向に不信感を覚えた私は探偵を雇う。 その結果夫の浮気が暴かれるも、自身の命が短いことが判明して……

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

夫から国外追放を言い渡されました

杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。 どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。 抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。 そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……

旦那様に離縁をつきつけたら

cyaru
恋愛
駆け落ち同然で結婚したシャロンとシリウス。 仲の良い夫婦でずっと一緒だと思っていた。 突然現れた子連れの女性、そして腕を組んで歩く2人。 我慢の限界を迎えたシャロンは神殿に離縁の申し込みをした。 ※色々と異世界の他に現実に近いモノや妄想の世界をぶっこんでいます。 ※設定はかなり他の方の作品とは異なる部分があります。

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

処理中です...