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テレパシー
しおりを挟む魔法の使えない僕は無力だった…
ティナが辛い時に彼女を連れてここからジュエラ王宮や自宅へ帰る術さえも持っていない…
ああ…こんな時、ラリーさんに連絡が取れたら…
そう思ったと同時に…
「…婿殿…⁉︎ ティナの婿殿ですな?どうしました?」
「ラ、ラリーさん…大変なんです!!
すぐにミラールへ来て頂けませんか⁉︎」
「…分かりました…少々お待ちくだされ!!」
ミラールまで 駆けつけてくださったラリーさんに自宅までの瞬間移動をお願いして、取り敢えずティナを休ませた…
そして明日の朝も迎えに来てもらう事を約束して
ティナを抱きしめたまま…僕もその夜は眠りについた…
次の朝、ラリーさんが自宅まで迎えに来てくれた…
事情を説明するとラリーさんは激しく動揺した…
「それはそれは大変でしたな…
しかし兄上夫婦まで拐われたとなると…
うーむ…これはどうしたものやら…」
「僕はお義父さんとラリーさん以外に魔界に頼れる方は殆どいません…
しかし、お話を聞いて頂けて、お知恵を貸して頂けそうな方を一人だけ知っています…」
「ほう…そのお方とは…」
「ちょっとお待ち下さい…」
僕は自分の頭を指でチョンチョンと突いてラリーさんに合図を送った。
「おお…」
ラリーさんは僕の合図に気づいてくださった。
そして…
「これでいいのですな!婿殿。」
「ご理解頂けて嬉しいです。」
そう…僕達は頭の中…僕達の世界でいうテレパシーで話した。
「婿殿は頭も切れるようですな…」
「いえ…ただ、ミラール王国のアイさんは僕達の事を全て知っていました。口頭で伝えても、例えば筆談のような伝え方も全ての物理的アクセスはビジョンを見ているような相手に筒抜けになる可能性があります。
しかし、これならきっと相手にバレる事も無いでしょう…」
そして僕はラリーさんに僕の考えを説明した…
「うーむ!いや、しかしこれは名案かも知れませんな。早速連絡を入れてみます。ちょっとお待ち下され!」
この時、僕は思い違いをしていた…
僕は少なからず残留した魔法因子を纏っているから魔法使いの方とテレパシーで話せるのか…或いは魔法使いは一方的にテレパシーを送って受け取る事が出来るのだと…
実はこの思い違いこそがミラール王国が僕を狙っている理由そのものであった…
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