奥さまは魔王女

奏 隼人

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またね!!

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金曜の夜…仕事が終わってスーツに着替えた僕は同窓会の会場に向かった。

会場のレストランにはもうみんな先に集まっているみたいで僕が駆けつけた時に偶然にもお店の前で仲の良い友達グループに出会えた。

「よう!優也…久しぶり!」


「ああ…結婚式の時にはありがとう!」



「えっ!仙石って結婚したの?」

「そりゃそうだろ!オレ達いくつだと思ってるんだよ…」

「コイツの奥さん、超美人なんだぜ!」

「へえ…見てみたいなあ!!」


「お、おい…お前の後ろ…」

「え?」

「あれって優也の…」


大きな柱の影からティナの姿が現れた…僕の前に来たかと思うと「あなた…ネクタイが曲がってますわよ…」と形を整えてくれた…

「これで良いわ…皆様、お友達の方ですね。主人の事、よろしくお願い致しますわね。」

「は、はい!!」

「それでは皆様ご機嫌よう…」

そう言ってティナはまた柱の影に帰って行った。


「お、お前ん家…この近くだったか?」

「いや…」

「奥さん…一体どこから来たんだ?」

「ん…多分物置のドア…」

「はぁ?」

「ま、まぁ良いじゃんか…中に入ろうよ…」

「でも…本当に超の付く美人だな!!」

「あははは…」


僕達は受付をしてくれている同級生の女の子と少し昔話をした…まあ、今はママさんかもしれないけれど…そこには触れず、立食パーティーに参加した…


「あっ…あそこにいるの、愛ちゃんじゃね…?」

「優也…話してこいよ!」
 
振り返った彼女は…丁度、肩にかかるくらいの綺麗な黒髪、クールで美人な印象の愛ちゃんは僕を見つけて微笑んだ…

僕は彼女の元へ駆け寄った。
 
「愛ちゃん…久しぶりだね…」

「…うん。」

「まだお家の仕事を?」

「うん。代々の家業だからね。」

「結婚は…?」

その問いに彼女は肩をすくめて首を横に振った。

「そう…僕はね…」

僕がそう言うと彼女は「分かってるわ…」

「あれ?誰かに聞いたの?」

その問いに彼女は答えなかった…

「愛!!こっちこっち!!」

彼女は友達のグループから呼ばれた。

「呼ばれたから行くね…またね。」



またね…?また後で話そうと言う事だろうか?

しかし、他の友達とは懐かしい話を色々する事が出来たのだが…

愛ちゃんとはそれきり話す事が出来ないまま同窓会はお開きとなった…



そして車に乗った僕はティナに電話をかけた…

「あっ…もしもし…ダーリン!お風呂沸かして待ってるからね…早く帰ってきてね!」

「お家にいたんだね。もしかして…と思ったから…」


「心配でさっきお店を覗いたらまだ終わって無いみたいだから…一度帰ったのよ…」


「あはは…やっぱりまた来てたんだね…」
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