奥さまは魔王女

奏 隼人

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魔法因子

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「ただいま…」

「おかえりなさい…ダーリン!!

…どうしたの…⁉︎」

浮かない僕の表情に気付いたティナが心配そうに僕を見つめていた…

「さっき、帰りにヘンな人影を見たんだ…分厚いフード付きのローブを着た…」

「えっ?」

「なんかこっちを見てたんで目が合ったような気がしたんだけど…気のせいかな?」

その時だった…

パリィィィィ…ン!!!


ティナが持っていたお皿を落としてしまった…


「だ、大丈夫かい?ティナ…顔色が悪いよ…僕が片付けるから向こうで休んでなよ…」


「ご、ごめんなさい…ひょっとして魔法因子が見つかってしまったのかも…」


「魔法因子?」



「私達の世界の学校で習ったの…

学者さんが言うには私達魔法使いは普通の人間とさほど変わりは無いのだけど進化の過程で意図的に魔法力を纏った因子を放つ事が出来るの。

人間の世界に電力や原子力があるようにその魔法力を利用して私達は魔法を使う事が出来るらしいの。

その因子は力を使い果たしても微弱な力を持って対象物に纏わり付いているらしいわ。」


「なるほど…静電気みたいな物か…」


「でも何でそんなに気にしてるんだい?」


「言わなくていいと思っていたんだけど…実は…私、魔法界から逃げ出してきたの。親の決めた婚約者と結婚させられるのが嫌で…」


「えっ!ティナ…婚約者がいたのかい?」

「顔も知らない人よ…親は私を政治の道具のようにしか考えてないのよ…自分の幸せぐらい自分で決めたいじゃない!

私が望んでいたのは今の自分。大好きな旦那さんがいて可愛い子供達と一緒に暮らす…これ以上の幸せは無いわ…」


その時、インターホンが鳴った…

ティナは頭を抱えて「ああ…やっぱり見つかっちゃったのね…」

ティナの様子を見て仕方なく僕は応対しようとドアを開けた…

そこに立っていたのはさっき見た人影なのだろう…同じローブを纏った初老の紳士だった…

そう、雨避けにフードを被っていたのだろう。全白髪のモジャモジャした髪の毛に口ヒゲを生やしている。体型はポッチャリで失礼だがちょっとコミカルな感じでとても魔法使いには見えない。

「はい。どちら様ですか…?」

「すまんがこちらにプラティナという女性がいるはずじゃが…」

「はい…僕の妻ですが…」

「おお…今、なんと…」

初老の紳士は一歩二歩後ずさりした…
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