フィギュアな彼女

奏 隼人

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消えた衣装

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ブルッ…ブルブルッ…

プログラムを確認したり、曲に合わせた会場の演出のタイムキーピングをしたり…サポーターとしての最終チェックに追われていた僕のブレスフォンに突然着信が入った…

「はい…あっ…ミキ?…なんだって?リカの衣装が…?」

僕はミドリコーチに事情を説明してノブと一緒に三人で選手のロッカールームへ急いだ…

ロッカールームの脇では人だかりが出来ていて警備員がロッカールームを調べていた…

僕達は遅れて駆けつけてくださったシズカさん、シズカさんの胸で泣きじゃくるリカ…

リカを困った表情でみつめるミキの姿を見つけた。

「ママ…ゴメンなさい…ママが作ってくれた大切な衣装なのに!」

「何言ってるの…あなたは何も悪くないわ…きっと見つかるわよ…」



「…おかしいわね…私やミヤさんは何度か学生杯には出ているから知っている人がいるかもしれないけどリカさんは全くの新人…

動画を見て知っているだけの人は関係者エントランスからしか来られないここには出入り出来る筈がないわ…一体誰が…」




「ハァ…ハァ…やったわね…これであの子は衣装が無いから大会に出られないわ…」

「上手くいったわね…ケリー。さあ…証拠が残らないように燃やしてしまいましょう!ミヤさんの彼氏にちょっかいを出した罰よ…」

「本当に何よ…あの子…同じスクールだからっていつもピッタリ横に居ちゃってさあ…!!ミヤさんのほうがお似合いなのに!!」

ハーディーは取り出したライターでリカの衣装に火を着けた…

会場の裏手の茂みで燃えていく衣装を眺めるケリーとハーディーの二人…

「こら…君達…一体そこで何をしているんだ?」

警備員の声が辺りに響き渡る…


「ヤバイ!逃げよう!」 

「ええ…」

二人は走り出した…





「でも困ったわね…リカ…練習着は持っているの?」

「はい…ママ…ヴェガスクールで調整練習をさせて頂きましたからちゃんと洗濯してバッグに入れてあります…」

「それに装飾品を着けるしか無いわね…でも…今からスパンコールを用意している暇が無いわ…」


ミドリコーチが時計を見る…

「試合まで後、一時間半…ああ…せめてそれに二時間位あれば…」



「あら…」

ロッカールームに戻って来たヴェガのジュンコーチが僕達に気づいて三人のエリジブルと一緒に挨拶に来られた…

しかし何時もと違う雰囲気に「皆さん…昨日はどうも…どうされたのですか?」

「実は…」ミドリコーチは経緯を伝えた…

「…えっ!衣装が盗まれた!それは困りましたね…でももう時間が…何かお力添えが出来たら良いのですが…」


その時、館内放送が僕達の頭上から響き渡った…


「ヴェガスクールの関係者の方にご連絡致します…至急警備員室までお越し下さい…繰り返します…」
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