フィギュアな彼女

奏 隼人

文字の大きさ
上 下
58 / 92

NO COUNT

しおりを挟む
いつの間にか時計の針はランチタイムを指していて僕達は自然とプールサイドに集まる…

ここのプールサイドにはカフェがあり、いつも沢山の人で賑わっているらしいが、今日は貸し切りなので、ミヤさんとエキシビジョンの間に行った外のカフェから出前を頼むことになった。

ちょっと遅い時間になってしまったのもあったが、色々あって疲れて腹ペコになっていた僕達はピッツアやサンドウイッチを口一杯に頬張って食べた…

マイさんとカオリさん、それにミキとノブと僕は水着に上着を羽織ってテーブルの席に着いた…

更衣室で洋服に着替えたリカとミヤさんも同じテーブルの席に着いた。

全員がお腹が落ち着いて飲み物を飲んでいる時に僕はゆっくりと口を開いた…




「あの…ミヤさん…これ…」





僕が握りしめていた水着の上をそっと彼女に差し出した…

彼女は顔を真っ赤にして「ど、どうも…」と言って俯いたまま、それを受け取った。

僕はリカの方に向き直って水着を差し出した。




「リカにも…はい…」





「ダイスケさん…本当にいいんですか?私、ダイスケさんなら構わないですよ…」

僕を見つめるリカは本当に心配そうな表情をしていた。

「リカ…女性が身に着ける物を軽々しく人にあげたりしたらダメだよ。例え、それが彼氏、彼女の間柄であってもね。」

ダイスケの言葉にノブも女性陣も納得して頷いた。


特にあまり話さなかったマイさんが「そうね…ダイスケさんにはミヤさんも助けてもらっているし、今の話を聞く限りでは全く彼に非はないと私は思うわ!」

「そうやな…これは事故や!事故!…みんな、さっきの事は無かったことにしよな!な、な!」

カオリがニヤニヤしながら言うと「あら…じゃあ、あなたが勝ったって言ってる事も無かった事になるわね…」今度はミキがニヤリと笑った…

「なんやて!それはアカンで!そんなんズルいわ!」「あら…あなたが言ったんじゃない!無かったことにしようって…」「むぐぐ…」どうやら第二ラウンドはミキの優勢となった。

その時ふとマイが呟いた…「でも…ミヤさん…少し以前とは違いますね…?何かあったんですか…?」

彼女はミヤをジッと見つめる…

ミヤは顎に手を添えて目を伏せながら応えた。

「何も無いわ…ただ…」

「ただ…?」

「私…前にスランプになっちゃったでしょ?
あの時…本当に辛くて跳べなくなっちゃったの…どうしたらいいか分からなくて…

そんな時、ある人からこう言われたの…

〝あなたの笑顔でみんなも笑顔になるからあなたはいつも楽しんで…そしていつも笑顔でいなきゃ…〟って…

私…何を悩んでたんだろう…?そう思ったわ…そして肩が軽くなったわ。アルタイルから帰る時、早く滑りたくて…跳びたくて…」





「ミヤさん…」

ダイスケは心の中でミヤの名前を呟いてそして微笑んだ…

「えっ…その人ってアルタイルの人やったんですか?」

ギクッ!

カオリの鋭いツッコミにミヤとダイスケの額に汗が流れる…

「そ、そうなの…昔からの知り合いで…アハハハハ…」

ミヤさんは何とか誤魔化してくれて僕は安堵の溜息を漏らした…



「でも…素敵…私も辛い時にそんな風に励ましてもらいたい…」マイは頰を赤らめてミヤをうっとりとした目で見つめた。




みんながミヤの話に微笑んでいる時…ミキはダイスケの横顔を見つめていた…
  
「ダイちゃん…」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

処理中です...