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一緒にたべよ!!
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「ど、どうしてミヤさんがここに…?」
ダイスケの質問にミヤは目を伏せて何も答えない…
リカの衣装を持ったままダイスケはミヤの表情を見た…
目に浮かんだ涙が睫毛を濡らしている…
「訳を…聞かせてもらえませんか?涙の訳を…」
ダイスケはミヤを少し離れた中庭のベンチに連れて行った…
「一体、何があったんですか?僕では力になれない事ですか?」
ミヤはずっと想い続けてきたダイスケが側にいて自分を気にかけてくれている事は嬉しかったが…
しばらく俯いていた彼女はゆっくりと口を開く…
「すみません…ダイスケさんに迷惑ばっかりかけてしまって…
実は私…少しスランプで…
ここに来てからしばらくは凄く調子が良かったんです…
だからここに来ると何か掴めるんじゃないかなと思って…
決して偵察に来たとか…そんな事では無いんです!!
…信じてください!!」
ミヤはダイスケに話せる本当の事だけを精一杯の元気を振り絞って話した…
ミヤはそっとダイスケの表情を伺う…
ダイスケはミヤの話を神妙な面持ちで聞いていたが、突然「ミヤさんの大好物って何ですか?」と訊いて彼女を面喰らわせた…
「えっ…あっ…あの…スイーツなら何でも…」
「えっ…?そんなに細くてスタイルも良いのに?」
「そんな…あまり気にした事無いです…それに私、みんなから意外に大食いだって言われますし…」
ミヤは、「何言ってるんだろう…私…」と思って真っ赤になった。
「そっか、それなら遠慮なく誘えるかなぁ
…?」
立ち上がったダイスケはミヤの手を引いて建物の方へと歩き出した。
「あっ、あの…ダイスケさん?」
「これは…」
ミヤの目の前には巨大なパフェが置かれていた。
「ジャンボパフェです。この食堂の名物なんですよ…さあ…召し上がってください!」
「い、頂きます…モグモグ…!美味しい!
凄く美味しいです…」
ミヤは食べるのに夢中になっている…
そんなミヤを見て微笑むダイスケ…
ミヤのパフェを食べる手がだんだんとゆっくりになってきた。
「はぁ…やっぱり大きいから…これはさすがに中々食べれないなぁ…」
その言葉を聞いたダイスケはパフェ用スプーンを取り出した。
「では、選手交代で…」そう言うとダイスケはパフェを反対側から食べ始めた…
「あっ…ダイスケさん!」
ミヤがそれを見てダイスケに声をかけた。
「ん?どうしたんですか?」
「その…私の食べかけですよ…?」
「あはは…だって一人じゃこんなの食べれないですよ…リカもお腹が空いてない時は途中でギブアップするんだから…」
「リカさんと…その…い、一緒に召し上がるんですか?」
「ええ…大好物なんです…」
「…今日は私と一緒でいいんですか?
リカさんじゃなくって…」
「あっ…ミヤさん…ひょっとして僕と一緒に食べるの…嫌でしたか…?
その…彼氏とかに気を遣われて?」
「わ、私…彼氏なんていません!それに…嫌じゃありません!」
思わず大きな声で立ち上がったミヤの迫力にダイスケは驚いた。
「そ、そう…」
「ご、ごめんなさい…大きな声を出して…」
「い、いえ…でもパフェを食べてるミヤさん…本当に楽しそうでしたよ…」
「えっ…」
「…僕にはリカやミヤさんのようなスケート技術はありません。悩みがあってもその苦しみを共有することは出来ないかもしれない…
でも前も言いましたが…あなたの笑顔でみんなが元気になる…それにはあなたが楽しくなければ…
楽しい事を沢山経験して色んなモノから元気を貰って…それを演技に出せたらまたみんなを元気に出来るようにきっとなれますよ…」
「私の笑顔でみんなを…」
ミヤの呟きにダイスケは笑顔で大きく頷いた。
ミヤはまたパフェを食べ始めた…その食べっぷりを眺めていたダイスケに「ほら…ダイスケさんもそっちから食べるの手伝ってください!早く!」
ダイスケはニッコリと笑いながらミヤと一緒にパフェを食べ始めた…
夕焼けの中…ミヤはダイスケと宇宙港行きのバスを待つ…
「…ありがとうございます。とっても元気が出ました!」
「そうですか!良かった!また元気が無くなったらここでパフェを食べましょう!…僕、手伝いますよ!」
そう言って僕とミヤさんは一緒に笑った。
バスがターミナルに入ってきたのを見て「あっ!あのバスだ!ミヤさ…」
そう言った時、彼女は背伸びして僕の頬にキスをした…
驚いてボーッとしている僕に「ありがとう!」と言い残して彼女はバスに乗った…
「…気をつけて!」
手を振る僕にこちらを見つめて彼女も手を振っている。
バスは夕焼けの並木道を走り出してだんだんと小さくなっていく…
「さあ…リカを迎えに行かないとな…」
長く伸びる自分の影を見つめながら僕はリンクの方に向かって歩き出す…
ダイスケの質問にミヤは目を伏せて何も答えない…
リカの衣装を持ったままダイスケはミヤの表情を見た…
目に浮かんだ涙が睫毛を濡らしている…
「訳を…聞かせてもらえませんか?涙の訳を…」
ダイスケはミヤを少し離れた中庭のベンチに連れて行った…
「一体、何があったんですか?僕では力になれない事ですか?」
ミヤはずっと想い続けてきたダイスケが側にいて自分を気にかけてくれている事は嬉しかったが…
しばらく俯いていた彼女はゆっくりと口を開く…
「すみません…ダイスケさんに迷惑ばっかりかけてしまって…
実は私…少しスランプで…
ここに来てからしばらくは凄く調子が良かったんです…
だからここに来ると何か掴めるんじゃないかなと思って…
決して偵察に来たとか…そんな事では無いんです!!
…信じてください!!」
ミヤはダイスケに話せる本当の事だけを精一杯の元気を振り絞って話した…
ミヤはそっとダイスケの表情を伺う…
ダイスケはミヤの話を神妙な面持ちで聞いていたが、突然「ミヤさんの大好物って何ですか?」と訊いて彼女を面喰らわせた…
「えっ…あっ…あの…スイーツなら何でも…」
「えっ…?そんなに細くてスタイルも良いのに?」
「そんな…あまり気にした事無いです…それに私、みんなから意外に大食いだって言われますし…」
ミヤは、「何言ってるんだろう…私…」と思って真っ赤になった。
「そっか、それなら遠慮なく誘えるかなぁ
…?」
立ち上がったダイスケはミヤの手を引いて建物の方へと歩き出した。
「あっ、あの…ダイスケさん?」
「これは…」
ミヤの目の前には巨大なパフェが置かれていた。
「ジャンボパフェです。この食堂の名物なんですよ…さあ…召し上がってください!」
「い、頂きます…モグモグ…!美味しい!
凄く美味しいです…」
ミヤは食べるのに夢中になっている…
そんなミヤを見て微笑むダイスケ…
ミヤのパフェを食べる手がだんだんとゆっくりになってきた。
「はぁ…やっぱり大きいから…これはさすがに中々食べれないなぁ…」
その言葉を聞いたダイスケはパフェ用スプーンを取り出した。
「では、選手交代で…」そう言うとダイスケはパフェを反対側から食べ始めた…
「あっ…ダイスケさん!」
ミヤがそれを見てダイスケに声をかけた。
「ん?どうしたんですか?」
「その…私の食べかけですよ…?」
「あはは…だって一人じゃこんなの食べれないですよ…リカもお腹が空いてない時は途中でギブアップするんだから…」
「リカさんと…その…い、一緒に召し上がるんですか?」
「ええ…大好物なんです…」
「…今日は私と一緒でいいんですか?
リカさんじゃなくって…」
「あっ…ミヤさん…ひょっとして僕と一緒に食べるの…嫌でしたか…?
その…彼氏とかに気を遣われて?」
「わ、私…彼氏なんていません!それに…嫌じゃありません!」
思わず大きな声で立ち上がったミヤの迫力にダイスケは驚いた。
「そ、そう…」
「ご、ごめんなさい…大きな声を出して…」
「い、いえ…でもパフェを食べてるミヤさん…本当に楽しそうでしたよ…」
「えっ…」
「…僕にはリカやミヤさんのようなスケート技術はありません。悩みがあってもその苦しみを共有することは出来ないかもしれない…
でも前も言いましたが…あなたの笑顔でみんなが元気になる…それにはあなたが楽しくなければ…
楽しい事を沢山経験して色んなモノから元気を貰って…それを演技に出せたらまたみんなを元気に出来るようにきっとなれますよ…」
「私の笑顔でみんなを…」
ミヤの呟きにダイスケは笑顔で大きく頷いた。
ミヤはまたパフェを食べ始めた…その食べっぷりを眺めていたダイスケに「ほら…ダイスケさんもそっちから食べるの手伝ってください!早く!」
ダイスケはニッコリと笑いながらミヤと一緒にパフェを食べ始めた…
夕焼けの中…ミヤはダイスケと宇宙港行きのバスを待つ…
「…ありがとうございます。とっても元気が出ました!」
「そうですか!良かった!また元気が無くなったらここでパフェを食べましょう!…僕、手伝いますよ!」
そう言って僕とミヤさんは一緒に笑った。
バスがターミナルに入ってきたのを見て「あっ!あのバスだ!ミヤさ…」
そう言った時、彼女は背伸びして僕の頬にキスをした…
驚いてボーッとしている僕に「ありがとう!」と言い残して彼女はバスに乗った…
「…気をつけて!」
手を振る僕にこちらを見つめて彼女も手を振っている。
バスは夕焼けの並木道を走り出してだんだんと小さくなっていく…
「さあ…リカを迎えに行かないとな…」
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