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決戦の火蓋

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「ヴァル…」

「分かっておる…おい!!ダイナよ…!!」


「は、はい…おひい様…」


「もう良いぞ!!…ご苦労であった…

お前でなければ王宮は今頃…瓦礫ガレキと化していただろうて…」


「お、おひい様…久々にお褒めに預かり…

このダイナ…」


「おい!!エルフの娘よ!!済まぬが後でわらわに今一度、力を貸してくれぬか…⁉︎」


「は、はい…!!」


「…………」


「ヴァ、ヴァル…ちょっと…ダイナさんに対して冷たくない⁉︎

君に褒めて貰って感動に浸られていたみたいだよ…」



「ん?…そうか?

いつもあやつにはこんな感じじゃぞ…」



「…ヴァル…君って…」




優也は思った…


おそらく…彼女の辞書に『愛弟子への配慮』という言葉は無いだろうと…









…ズ…ズズズン!!!!!



ダイナの超極大物質移動魔法により、浮遊城…ジュエラ王宮はゆっくりと元の場所へと戻った…



目標物を探して彷徨っていたゴーレムは再び王宮を見つけ…再び侵攻を始めた。






…うっとり…


黄金に光り輝くエルフの姿をしたサブリナをナギは羨望の眼差しで眺めていた…


「ああ…本物のエルフ…

まさか本当にこの目で見れるなんて思っても見なかったわ…」


「ナギ…良かったな…」

「フェンリルちゃん…」


光で出来たオオカミがナギの側に現れた。


「ずっと…森でエルフに遭うのがお前の夢だったもんな…」

「ええ…エメラルダの森のような…明るくて賑やかな森には現れないでしょうし…


ああ…夢が一つ叶ったわ…




あら…?

ちょっと待って…


あのエルフって優也さんのお友達よね…

す、凄い!!優也さんってエルフとも信頼関係を築いておられるなんて…


ああ…やっぱり…ナギは優也さんの全てをお慕い致しております…」

「チェッ!!優也め…ホントにモテる男は辛いね…」



オオカミの精霊からもジェラシーを抱かれる優也であったが…





そんなナギ達の前に…マーブルの手を引いたゴルドが駆け寄って来た。


「ナギ殿…済まぬがこの近くにあの巨大ゴーレムを操っている男がいる…

そなたとエクス様の力で捜してもらえぬか…⁉︎」



「は、はい…分かりました…!!」


夢見心地だったナギは慌てて意識を集中させる…


エメラルド色に透き通るナギの瞳が紅に染まると彼女とエクスの意識がリンクする…


…エクス様…ゴーレムを操っている男性を探したいのですが…


…ナギよ…そなたの足元には近くの大木の根が張っておる…

その根を長く伸ばして波動を感じ取るのじゃ…


…はい…やってみます…







ナギはその場にしゃがみ込むと左手の掌を地面に…右手の掌を高々と頭上に上げた…


そして大地の気の流れと空気の流れを目を閉じて感じていた。


少しずつ…少しずつ…



気を巡らせる範囲を拡げていく…



………いた!!




ナギはマイナスのオーラの波動を感じ取った。



「ゴルド様…いました…

ここから南西一キロの渓谷の高い場所…


あの辺りです…」




ナギが指差した場所を見上げる優也達…



「よし、ワシとマーブルさんとアイ殿でそこへ向かう事にしよう…


婿殿……それに皆の者…宜しく頼む!!」


「はい!!」


ゴルドの言葉に皆が大きく頷いた…


「さあ…行こうか…ヴァル!!」

「うむ…」


ヴァルプルギスが優也の身体へと戻ると…
優也の瞳はブラッドムーンの輝きに包まれる… 


タキシード姿の紳士は口元に笑みを浮かべながら叫んだ…





「クックックッ…さあ…皆さん…参りましょうか…

あのガラクタ野郎をブッ壊しにな!!!」
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