奥様は魔王女 4th season 〜fly me to the moonな件〜

お曽祖父様

優也達はゆっくりと顔をあげると…


「あぁっ！！！」

「あぁっ！！！」







「み……美珠ミス…」







「ホ、ホンマや…ミスちゃんや…！！」


「………⁉︎」


「ミス……ちゃん⁉︎」




目の前の玉座にチョコンと腰掛けていたのは…


見紛みまごうこと無き…優也とプラティナの長女…美珠の姿をした幼い女の子だった。



「な、なぜ…」


その場に立ち上がり、女の子を見つめる優也…

彼が一歩前に踏み出そうとしたその瞬間…





ジャキーン！！！！！




衛兵達の刺股が優也の前で彼の行方を阻んだ…



「優也！！！」


ヴァルプルギスは右手に力を込める…



ボッ！！！



「ん……⁉︎」



己おのれの掌てのひらを見つめて彼女は不思議そうな表情を浮かべる。





だが…その場で驚いた表情をしたのは優也達だけでは無かった。





「お…お曽祖父様じいさま…⁉︎」




美珠の姿をしたその女の子は小さな身体を前に突き出し…

目を丸くして優也の顔を見つめていた。




「チッ！」



双方の様子を伺っていたペレットは誰にも聞こえないように小さく舌打ちをしてから両者の間に割って入った。




「へ…陛下…大丈夫でございますか…⁉︎


ご気分が優れないようでしたら謁見は中止という事に…」




ペレットの気遣いの言葉に女王陛下はハッと我に返った。




「い…いや…構わぬ…

一人…周知の者と似ていた為…驚いただけだ…」



そして優也達の方へ向き直ると…


「すまない。気にしないでくれ給たまえ…

さてと…


私は第百二十八代ヴァルハラの女王セレーネ…

タバサと申す者だ…」





「タバサ…様…」





うむ…

そなた達がここへ足を運んで頂くように手配したのは私である…」


『そうだよな…こんな異世界の…しかも地球から数十万キロ離れた月の世界に美珠がいる訳が…』



目の前の幼い女の子のその物言いに優也達は彼女が美珠とは別人である事を改めて認識した。



「理由は…

そなた達がこのヴァルハラの外部から来た者達だからだ…」





「………！！！」

「………！！！」





こちらの潜入工作が全てバレていた…⁉︎


これでは囚われの身となったのと変わりない…



優也やユミル達は息を呑んだ。



その悲壮感漂う表情を見てか知らずか…


女王陛下は不敵な笑みを浮かべながら続ける…



「安心しなさい。

別に捕らえてどうこうしようというつもりは無い…

ただし…

それにはそなた達が我々に対して害をなす存在では無いと証明されなければいけない必要がある。

そこで…先程もここにいるペレットから聞いたと思うが…

私から幾つかの質問をさせて頂こうと思う。


その質問には嘘偽り無く…真摯に答えて欲しいと思っている。


そこで…何かを隠したり…

我々に対して非協力的な態度を取ったりした場合は…」


そこで女王陛下がペレットを横目に見ると彼は念を押すように頷いた。





では…まずそなた達に問いたい…

このヴァルハラに足を踏み入れた理由…

それは一体何故なのかを…⁉︎