上 下
35 / 76

嗚咽

しおりを挟む

「うむ……父上はこの地球を離れて王子と一緒に宇宙に昇る事を選ばれたのじゃ…


そしてジーニャ…お主達が密林へと逃げ込んだ後で…」


「そんな…そんなことなら私も…」


「王子は…

そなた達にバビロナを託したのじゃ…

国は滅んでも…いつか…

バビロナを愛する者達でもう一度と…」




「ううう……うわぁぁぁぁ…」



そこまで話を聞いたところで…薄ら涙を浮かべて我慢をしていたが、とうとうジーニャの涙腺は崩壊してしまった…



「だ、大丈夫ですか…⁉︎…王女様…!!」



サブリナはその場に泣き崩れたジーニャの背中をさすっていたが…やがて顔を上げると…




「そ、それはそうと…

その王子様は一体どうやって…宇宙へと向かったのですか…?


王女様が仰るように一緒に行くことは叶わなかったのでしょうか…⁉︎」



「無理だったのじゃ…

クーデターの首謀者は大臣だっただけに表面おもてだった準備なんぞは出来ん。

それに一番困ったのは…王子自身の考え方じゃな…」


「考え方……⁉︎」


「おお…そうじゃ…

あやつは…

とんでもない事を言い出しよってな…


『クーデターの首謀者の大臣も…

我が国を狙う他国の兵の命も…なんとか救えないか』と言い放ちよったぞ…


わらわは呆れて開いた口が塞がらんかったわ…」




まずまずの剣の使い手なのに人を活かす事のみにそれを振るっておる…



「そ…そんな方が…ジーニャ王女様の……

私の知る限りではそんな方はあの優…




はっ…!!


な、何となくだけど…

何故ジーニャ様がこんなにも思い詰められるのかが分かったような気がする…」


「そして…」


岩肌を指差したマザーハーロットの指から光が飛び出して映像が投影された。


そこに映し出されたのは…





「バビロナ…王朝やんか…⁉︎」

「お・ま・た・せ!!」





皆が振り返るとそこにはジーナとアイが立っていた。


「ペンダントの解析が終わったから私達も老師様のお話を聞きたいと思ってね…」


「爺ちゃん!!久しぶりやなあ…元気にしてたか…⁉︎」




「フン!!ワシはお前みたいに騒がしいのは苦手じゃ!!」


「チェッ!!

つれへんなぁ…ウチは邪険にして…

姉ちゃんの事は大事にするくせに…」




「ジーナ…それにアイさん…

マザーハーロット様のご説明を伺ってください…」


ジーニャは無理矢理に涙を断ち切って二人に気丈に振る舞った。



マザーハーロットの指から伸びる光は…バビロナ王朝はまるで航空写真のように上空から建造物その物を映し出していた。


摺鉢スリバチ状にくぼんだ盆地…その周りを長い階段で中心部に向かって降りて行くとバビロナ王朝の神殿や城下町へと辿り着くことが出来たのであった…




「どうしたんや…精霊の姐さん…

こんな風景…珍しくも何ともないやん…」



「……えっ!!!ま、まさか……そんな…」


ジーニャの表情が更に険しいものになり…再びその場にしゃがみ込んでしまった…




「ジーニャは気付いたようじゃの…」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

処理中です...