奥様は魔王女 4th season 〜fly me to the moonな件〜

轟音

ジーニャは老師に本題を告げようとしたその時…


突然…洞窟の中に轟音が轟いた…



ゴゴゴゴゴゴゴ……


「…也……が……組の……に……れて……」


ゴゴゴゴゴゴゴ……


「何じゃ……⁉︎

何と申したのじゃ…⁉︎」


ゴゴゴゴゴゴゴ……



「ですから……優……二人……さら……」


ゴゴゴゴゴゴゴ……


「ええい…！！

うるさくてよく聞こえんわい！！

誰じゃ…⁉︎」


ガシャン！！ガシャン！！ガシャン！！


轟音が止んだと思えば、今度は鉄を打ちつけるような音が洞窟に響く……


「あっ！！お祖父様…お久しぶりですの…」


湾曲した岩肌の向こうからヒョコッと顔を出したのは…


「何じゃ……ケイティでは無いか……

ワハハ…久し振りじゃのう…

どれ……こっちへ来なさい…」


「はーいですの！！」


チョコンと自分の横に正座したケイティの頭を嬉しそうに撫でる老師の表情のなんと柔和なこと……


愛弟子のジーニャでさえ、このような寵愛を受けたことはなかった。


しかし考えてみれば…人間も魔法使いも…仮に精霊であっても…


自分の都合の為に他者を利用したり、私腹を肥やそうとする者がいる…


それに比べてケイティは…


忠実に…自身の主人の為に一生懸命に闘う…

しかし…自分の信じる正義のためにはたとえ主人の頼みであっても拒絶する…



そんな高貴な『心』を持った機械人形アンドロイド…


下衆な輩などより…よっぽど愛される理由わけがあった。



「…してケイティよ…今日はどういう用件で来たのじゃ…⁉︎

ただ遊ぶために来たのではあるまい……

そうじゃ…優也はどうしたのじゃ…

あやつ…また何かとんでもない事に巻き込まれておるのか…⁉︎」



「はっ！！

……そうですの！！

お祖父様……ケイティは…ケイティは…

ウワーン…！！」


「おお…よしよし…」


大きな声で泣き始めたケイティの頭を老師はまた…優しく撫で始めた…



「ほれ…何でも聞いてやるぞ…遠慮なく言うてみい…」



「お祖父様…王子様が…王子様が…」


「ん…⁉︎優也か…⁉︎

今日は一緒ではないのか…？」


「何処かへ行ってしまわれたようですの…！！

ケイティはずっと探しておりますのに…

王子様を見つけられませんですの…」



「どう言うことじゃ…⁉︎

お主にはGPS機能とやらも付いておるじゃろ…⁉︎

見つけるなぞ造作もない…


…ま、まさか…⁉︎」


ジーニャは目を伏せて口を開いた。



「老師様…そのまさかでございます。