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#2 ウメコと虫捕り仲間たち
ウメコとワイナのコンポジション・8 こんな配給はいらない!
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8)こんな配給はいらない!
‟「8区、チャッターネーム<憂神紅蒼来人>。
『えー、ワタシは、服務先の配給食堂の隅にて、ここ数日、連合労民女子U子(仮名)が、昼休みとなると仲間をつかまえては、何やらコソコソと話し合っている様子に不審をいだき、密かに監視を始めました。
近頃の連合労民の堕落っぷりに、常日頃、腹を据えかねていたワタシは、なにか悪い企みに違いないと、ずっと監視を続けていると、U子が仲間に何かこっそりと手渡していることに気づきました。ワタシは危険をかえりみず、さらに近づいて確認してみました。
U子が手渡していたブツは、レモンでした。それもスカラボウル配給市場には滅多に出まわることのない、生形りのレモンなのです。U子は連合労民の特権を使って、密輸したレモンを横流しして配っていたのでした。
その日U子は、仲間の同志Y子(仮名)と、なんとチャットフリー・スカラボウルのスタジオを利用し、長い密談をしていました。
ワタシは尾行し、こっそりキキ耳をたて話を聞いていますと、配ったレモンを、各地に忍ばせた細胞らと計り、ある時刻に皆で一斉に絞る、というバカげた暴挙を画策しているらしいのです!
U子は、レモンの酸味の成分で虫を殺し、捕虫圏を浄化できると本気で考え、同志たちに信じ込ませていたのでした。
恐るべきことに、レモンによるテロを企んでいたのです!!!
それは、根城としているジャンクハーバーで、連中がノルマの合間に、ひそかに調達した部品を集めて製造した「レモン絞り果汁銃」なるもので、一斉に虫を殺すという計画でした。
そこでU子は、予行演習だと言って、同志Y子の顔の前でレモンの果汁をひと絞りしました。はねた果汁のせいで、Y子の目から涙がとめどなく落ちました。
イカれたU子はその姿を見て、コンポヂションがどうのと笑いこけ、やはり虫に取って変わるものはレモンである!との偏執狂さながらの妄想をより深めていくと、その手始めに、常日頃、連合労民をバカにすることの多い、自由労のチャッターボックス本社をスケープゴートとして、革命の実行場所に選んだことは間違いありません。
どうせU子にとって、自分以外は連合も自由も同じく打倒すべき権力なのだから、お構いなしなのです。
計画は虫面下で着々と進行していたようですが、コンポヂションとやらに感化されたU子は、虫を殺すだけでは飽き足らず、レモンの果汁で労民どもの目を沁みさせ、涙を流させ、ジタバタ転げ回し発動させるほうがより効果的かつ持続可能だと確信し、開拓推進、前進の、革命目標に掲げました。
そして配給の亡者たるU子は、市場独占という果てない欲望につき動かされ、各区に配置した細胞どもに総動員をかけ、この新たな計画を宣言すると、<雑居房>をアジトに、来るべき、<LeMoneTears>革命のための準備に取り掛からせました。
イカれたU子の狂気は、革命分子の技術労たちに乗り移り、<レモンバイザー>なる恐怖の発明を生み出しました。それは、労民どもの目に効率的にレモン果汁を垂らすため、トラメットのバイザーに取り付け、両目をレモン形に強制的に見開かせる、恐るべき機械でした。
その開発実験に使われ続けた同志Y子は、自ら革命の成就のための歯車になります、と健気にレモンの形に両目を無理矢理こじ開けられながら、必死に耐え続けましたが、涙を流しジタバタもがく自分の姿を見て、労わりの言葉ひとつなく、例の、コンポヂションがどうのと、技術に指図するのみの情け容赦もないU子に、さすがに青ざめ、もう犠牲はまっぴら、治安の助けもなく、配給も止められ、すべてがアホらしくなり、Y子のアタマのどこかで、スカタンタンと、なにかが音を立てて壊れてしまいました。
実はY子は、U子に近づき信用を得て、スパイとしてU子の革命組織に潜り込んでいた、開拓連合のためなら命を惜しまない、優良適合少女なのでした。
Y子は不穏なU子を怪しみ、ノルマでもないのにスパイをかって出て、革命を阻止するため、内情を探ることが連合のためなのだと、自らが犠牲になって、心にも無いにもかかわらず、U子にずっと賛同し、同志として革命のため連帯するふりをしていたのでしたが、もう限界でした。
Y子は、レモンを投げつけ、U子にあからさまに敵対をきめました。
懸命なY子は、しかしただ敵対をきめたのではなく、ある目算がありました。それは、流した涙の、その先にある、笑いでした。
レモンの果汁がはねるたびに涙を流し、のたうつ自分を見ながら、ゲラゲラ笑い転げるU子の姿に、逆にY子は、笑わせることで発動できるのだと、U子さながらの狂気に憑りつかれた中、閃いたのです。
転向したY子は連合のため、いやスカラボウルの開拓のため、自らに課せられたノルマは、笑いを配給することなのだ!と覚醒し、虫でもレモンでもない、笑いによる持続可能な発動の革命を宣言すると、連合を離脱して、あえて捨て身となって、狂人のレッテルも怖れず、そして悪適合者U子のレモン陣営を打倒すべく、蜂起しました!
緒戦は、U子陣営のレモン絞り攻撃を、極秘裏にあみだした、鼻の穴で受けるレモン封じの必殺技「鼻水がえし」で見事、くしゃみによる鼻水の噴射で、U子に仕返し、スカラボウルに飛び交うレモン果汁を鼻水で浄化!そしてベロを出し続けるU子に、鼻の穴から垂れた鼻水で、アッカンブーとやり返しました!
さらにY子はスカラボウルを笑わせ続けるギャグ作りによって、全居住民に平等な笑いの完全配給を実現させることで、笑いによるエネルギー独裁体制の樹立を目指しました。それは、笑わせる者による、笑わされる者への、完全なる支配体制でした。
しかしやはり最大の敵は、いっさい笑いのわからないU子です。配給の申し子だったU子は、生まれてこのかた配給以外で笑うことなど知らないゆえに、配給が止まると、もはや人が苦しむ姿でしか笑えない、悪鬼のような性格が露わになりました。そんなU子を笑わせるには、Y子の笑いは平和的で、なによりY子の性格は心優しすぎたのです。
やがて、レモンvs笑いの、スカラボウルを二分する最終決戦へと進展、U子の新しいレモン絞り攻撃を、すんでのところでかわしたY子は、必殺必笑の変顔ギャグ「憂神紅蒼フラッシュ!!!」で応戦するものの、笑いのわからないU子の「はぁ!?」という反応でスベらされるが、そのとき放たれたレモン陣営の「時間差レモン果汁」を、まんまとそのスベりで回避した。すると、Y子の頭上を通り抜けたレモン果汁は、U子の目の中へ。
「イタッ!」とのたうち転げ回るU子の間抜けなコンポヂションに、うかつにも不覚をとったY子自ら笑ってしまい、「そう見えるだけや!」と必死の泣き笑いも虚しく、革命は失敗、鼻水も涸れ、やがて収容され模範的な配給笑いを身に着け、立派な連合労民へと生まれ変わったのでした。ちなみにU子は捕虫圏外へ包帯芋虫さながらに埋められたとか・・・・。こんな配給いらんわ!you think so,right?』
「なんだよこれ・・・わけわかんねえな、ユーシンク。連合民だからって自由すぎるだろ!いい加減にしろコノヤロー!しょーがねえな」
「相当病んでるみたいですね。だから連合の方も、大変だと思いますけどね、あまり根詰めてやらない方がいいですよ。配給だけがすべてじゃないってことでね」
「え~続いて、2区、チャッターネーム<透明忍者スケルニン>・・・」”
‟「8区、チャッターネーム<憂神紅蒼来人>。
『えー、ワタシは、服務先の配給食堂の隅にて、ここ数日、連合労民女子U子(仮名)が、昼休みとなると仲間をつかまえては、何やらコソコソと話し合っている様子に不審をいだき、密かに監視を始めました。
近頃の連合労民の堕落っぷりに、常日頃、腹を据えかねていたワタシは、なにか悪い企みに違いないと、ずっと監視を続けていると、U子が仲間に何かこっそりと手渡していることに気づきました。ワタシは危険をかえりみず、さらに近づいて確認してみました。
U子が手渡していたブツは、レモンでした。それもスカラボウル配給市場には滅多に出まわることのない、生形りのレモンなのです。U子は連合労民の特権を使って、密輸したレモンを横流しして配っていたのでした。
その日U子は、仲間の同志Y子(仮名)と、なんとチャットフリー・スカラボウルのスタジオを利用し、長い密談をしていました。
ワタシは尾行し、こっそりキキ耳をたて話を聞いていますと、配ったレモンを、各地に忍ばせた細胞らと計り、ある時刻に皆で一斉に絞る、というバカげた暴挙を画策しているらしいのです!
U子は、レモンの酸味の成分で虫を殺し、捕虫圏を浄化できると本気で考え、同志たちに信じ込ませていたのでした。
恐るべきことに、レモンによるテロを企んでいたのです!!!
それは、根城としているジャンクハーバーで、連中がノルマの合間に、ひそかに調達した部品を集めて製造した「レモン絞り果汁銃」なるもので、一斉に虫を殺すという計画でした。
そこでU子は、予行演習だと言って、同志Y子の顔の前でレモンの果汁をひと絞りしました。はねた果汁のせいで、Y子の目から涙がとめどなく落ちました。
イカれたU子はその姿を見て、コンポヂションがどうのと笑いこけ、やはり虫に取って変わるものはレモンである!との偏執狂さながらの妄想をより深めていくと、その手始めに、常日頃、連合労民をバカにすることの多い、自由労のチャッターボックス本社をスケープゴートとして、革命の実行場所に選んだことは間違いありません。
どうせU子にとって、自分以外は連合も自由も同じく打倒すべき権力なのだから、お構いなしなのです。
計画は虫面下で着々と進行していたようですが、コンポヂションとやらに感化されたU子は、虫を殺すだけでは飽き足らず、レモンの果汁で労民どもの目を沁みさせ、涙を流させ、ジタバタ転げ回し発動させるほうがより効果的かつ持続可能だと確信し、開拓推進、前進の、革命目標に掲げました。
そして配給の亡者たるU子は、市場独占という果てない欲望につき動かされ、各区に配置した細胞どもに総動員をかけ、この新たな計画を宣言すると、<雑居房>をアジトに、来るべき、<LeMoneTears>革命のための準備に取り掛からせました。
イカれたU子の狂気は、革命分子の技術労たちに乗り移り、<レモンバイザー>なる恐怖の発明を生み出しました。それは、労民どもの目に効率的にレモン果汁を垂らすため、トラメットのバイザーに取り付け、両目をレモン形に強制的に見開かせる、恐るべき機械でした。
その開発実験に使われ続けた同志Y子は、自ら革命の成就のための歯車になります、と健気にレモンの形に両目を無理矢理こじ開けられながら、必死に耐え続けましたが、涙を流しジタバタもがく自分の姿を見て、労わりの言葉ひとつなく、例の、コンポヂションがどうのと、技術に指図するのみの情け容赦もないU子に、さすがに青ざめ、もう犠牲はまっぴら、治安の助けもなく、配給も止められ、すべてがアホらしくなり、Y子のアタマのどこかで、スカタンタンと、なにかが音を立てて壊れてしまいました。
実はY子は、U子に近づき信用を得て、スパイとしてU子の革命組織に潜り込んでいた、開拓連合のためなら命を惜しまない、優良適合少女なのでした。
Y子は不穏なU子を怪しみ、ノルマでもないのにスパイをかって出て、革命を阻止するため、内情を探ることが連合のためなのだと、自らが犠牲になって、心にも無いにもかかわらず、U子にずっと賛同し、同志として革命のため連帯するふりをしていたのでしたが、もう限界でした。
Y子は、レモンを投げつけ、U子にあからさまに敵対をきめました。
懸命なY子は、しかしただ敵対をきめたのではなく、ある目算がありました。それは、流した涙の、その先にある、笑いでした。
レモンの果汁がはねるたびに涙を流し、のたうつ自分を見ながら、ゲラゲラ笑い転げるU子の姿に、逆にY子は、笑わせることで発動できるのだと、U子さながらの狂気に憑りつかれた中、閃いたのです。
転向したY子は連合のため、いやスカラボウルの開拓のため、自らに課せられたノルマは、笑いを配給することなのだ!と覚醒し、虫でもレモンでもない、笑いによる持続可能な発動の革命を宣言すると、連合を離脱して、あえて捨て身となって、狂人のレッテルも怖れず、そして悪適合者U子のレモン陣営を打倒すべく、蜂起しました!
緒戦は、U子陣営のレモン絞り攻撃を、極秘裏にあみだした、鼻の穴で受けるレモン封じの必殺技「鼻水がえし」で見事、くしゃみによる鼻水の噴射で、U子に仕返し、スカラボウルに飛び交うレモン果汁を鼻水で浄化!そしてベロを出し続けるU子に、鼻の穴から垂れた鼻水で、アッカンブーとやり返しました!
さらにY子はスカラボウルを笑わせ続けるギャグ作りによって、全居住民に平等な笑いの完全配給を実現させることで、笑いによるエネルギー独裁体制の樹立を目指しました。それは、笑わせる者による、笑わされる者への、完全なる支配体制でした。
しかしやはり最大の敵は、いっさい笑いのわからないU子です。配給の申し子だったU子は、生まれてこのかた配給以外で笑うことなど知らないゆえに、配給が止まると、もはや人が苦しむ姿でしか笑えない、悪鬼のような性格が露わになりました。そんなU子を笑わせるには、Y子の笑いは平和的で、なによりY子の性格は心優しすぎたのです。
やがて、レモンvs笑いの、スカラボウルを二分する最終決戦へと進展、U子の新しいレモン絞り攻撃を、すんでのところでかわしたY子は、必殺必笑の変顔ギャグ「憂神紅蒼フラッシュ!!!」で応戦するものの、笑いのわからないU子の「はぁ!?」という反応でスベらされるが、そのとき放たれたレモン陣営の「時間差レモン果汁」を、まんまとそのスベりで回避した。すると、Y子の頭上を通り抜けたレモン果汁は、U子の目の中へ。
「イタッ!」とのたうち転げ回るU子の間抜けなコンポヂションに、うかつにも不覚をとったY子自ら笑ってしまい、「そう見えるだけや!」と必死の泣き笑いも虚しく、革命は失敗、鼻水も涸れ、やがて収容され模範的な配給笑いを身に着け、立派な連合労民へと生まれ変わったのでした。ちなみにU子は捕虫圏外へ包帯芋虫さながらに埋められたとか・・・・。こんな配給いらんわ!you think so,right?』
「なんだよこれ・・・わけわかんねえな、ユーシンク。連合民だからって自由すぎるだろ!いい加減にしろコノヤロー!しょーがねえな」
「相当病んでるみたいですね。だから連合の方も、大変だと思いますけどね、あまり根詰めてやらない方がいいですよ。配給だけがすべてじゃないってことでね」
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