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【4月9日①】過去にあった出来事。

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今日は部活もなく、学校から帰った後で時雨と買い物に出かける。

おじいちゃんからのリクエストで、夜はとんかつになったので買い出し。

その帰り道。

「雫、あの転入生にはあんまり近付くなよ?」

「あ、福田さん?」

「そう。しづ兄が構う度にお前を睨んでたから、気を付けた方がいい」

「やっぱ、気付いてた?」

「ああ、多分しづ兄も気付いてる。頭を撫でるのは確認」

なるほど。

最近、頭をなでなでされる率が高かったのはそんな理由か。

「うーん」

「春休みに職員室でも思ったけど、何かヤバそうな奴だ」

「そうね。確かにめちゃくちゃ怖かったわ」

「どこかで会った事は?」

「あの時の職員室が初めてだと思う」

リアルではね。

「しづ兄狙いみたいだけど、ホント気を付けろよ?中学の時みたいなのはごめんだからな」

「…はーい」

中学で私は虐めにあった。

虐めが始まった時、周りは本当に誰も気付かなかった。

時雨を好きだった彼女達は、まず、言葉で攻撃してきた。

“ブス”や“ダサい”は挨拶みたいなもの。

その内“邪魔”とか“目障り”に変わって、しまいには“時雨の横に並ぶな”ときた。

いや、そんな事言われても‥ねぇ?

私だけが避けても時雨は関係無く寄ってくるし。

並ばせたくないなら、時雨にも言ってくれないと。

そんなこんなで彼女達を無視をしてたら、物が無くなり始めた。

最初は消しゴム。 

基本よね。

それから、シャープペンやマジック。

体操着が無くなってた時には参ったけど、結局時雨が貸してくれて、彼シャツ状態になった私がからかわれるという辱しめを受けたが、ダメージは確実に隠した彼女達も喰らっただろう。

無いと言えば時雨が貸してくれるので、彼女達はすぐに物を隠すのをやめた。

上履きに虫が入っていた時もあった。

ただ、一般女子と違って虫は国民的嫌われものの黒いあいつ以外平気だった。

実はウチの庭は広い。

庭の一角には家庭菜園が作ってあったり、奥には雑木林に近いトコもあった。

今は防犯の為に整地して、日本庭園並みの庭が出来ているけど。

この事から解るように、私は虫なんかへっちゃらであるw

集めた人には悪いけど、普通に花壇に戻しましたよ?

素手で←ここ大事w

虫が入る事は二度と無かったw

その後は、家庭科とか体育とか男子と一緒にならない授業では、他の人に解らないように突き飛ばされたり足を引っ掛けられたり。

運動神経の無い私は、いつも怪我をするようになった。

ただ、そのせいで霜月ちゃんの過保護っぷりが過剰になり、霜月ちゃんの厳命により、通常よりも溺愛モードが5割り増しぐらいになってしまった時雨の姿に、更にダメージを喰らったのは彼女達だった。
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