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≪番外編【不器用な彼】≫
#4
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どれくらいそうしていたのか、十夜さんがもぞもぞと動き出した。
どうやら落ち着きを取り戻し始めたみたいだ。
「十夜さん?」
「…ん」
声をかけると反応した。
「びっくりしましたね」
「ん」
しがみついたままだったけど、はっきり頷いたので、そのまま頭を撫でてあげる。
「怖かったでしょう?」
「ん」
覗き込むとさっきより顔色は良くなっていた。
「落ち着いてきましたか?」
「ん」
撫でられるのが心地いいのか、すり寄ってくる。
「撫でるの気持ちいいですか?」
「ん」
「…キスしていい?」
「ん。ん?え?ちょ…ぅんん」
その仕草が可愛くてどさくさに紛れてキスしてみた。
後頭部に手を回し上を向かせる。
たいした抵抗もなく唇を重ねる事が出来た。
そのまま啄むようなキスを何度もして、段々舌を侵入させて深いキスに変える。
「んぁ…んん‥ぁん…ふぁ‥んんぁ」
答えてくれる十夜さんが堪らなく可愛くて、このまま押し倒したいと思った瞬間、十夜さんを包んでいるケープが目に入り、まだ仕事中だと思い出した。
「…んぁ?」
急にキスをやめた事に不思議そうに見上げてくる瞳は潤んでいてめちゃくちゃ可愛いんですけど、ここは理性を総動員させる。
「ごめん。まだ仕事中でした」
「あ…」
十夜さんも忘れてたねw
もう一度だけ唇を重ねるだけのキスをして、ケープを外してあげる。
「気分はどうですか?」
「秀臣のおかげでだいぶ平気。ただ、足痛い」
「え?怪我した?…ちょっと話‥「やだ!ぎゅってしてて」…解りました」
さすがに怪我をさせられて黙っていられない。
俺は立ち上がりかけて膝の上の十夜さんを降ろそうとしたが、しっかり首に手を回されてしまった。
腹は立つが十夜さんを振りほどけるハズもなく、大人しく座り直してもう一度十夜さんを抱き締め直す。
「…はー。今日の靴ピンヒールだから、捻ったかもしれませんね。靴脱げます?」
少しして溜め息と共に怒りを静めた俺は、抱き締めた腕を緩めて十夜さんの顔を覗く。
「やってみる」
十夜さんは俺の首から腕を外すと横向きになって顔をしかめた。
「いっ…つ‥」
「痛いですか?」
「ちょっと痛い。悪い、靴脱がして」
ニーハイブーツは着脱が面倒臭いらしく足首を動かさないで脱がせるのに苦労した。
「腫れてますね」
「あちゃ~。竜也に電話して、テーピングしてもらおう」
「湿布は?」
「貼ったら靴が捌けなくなる」
「撮影は?」
「続行で!」
デスヨネ…。
あんまり無理はして欲しくないけどね。
「…解りました。少しでも楽にしてて下さい」
俺はすぐに電話して竜也さんに詳細を伝える。
高千穂さんに電話したら流血事件になりかねない。
そうなるなら、俺が自分でアイツを殴りたいんだけどね。
「むー」
そんな事を考えていると、十夜さんが唸り始める。
「どうしました?」
「あいつ、どこかで見た気がするんだよな」
「一緒に仕事をした事があるとか?」
「いや、俺、お前以外と組んだ事無い」
「エキストラとか?」
「それは解んないけど…ん~」
「最初は俺を睨んでたんですよ。何で十夜さんを掴んだんだろう?」
しゃべってる間にコンッと窓がノックされ、竜也さんが来た事を知らせる。
俺は十夜さんを膝から下ろしてから、ドアロックを外し、車のドアを開ける。
†††††゚・*:.。. .。.:*・゜†††††
あの人は今。
そろそろ誰なのか解った方もいるかな?
誤字脱字があった場合はご報告頂けたらありがたいです。人( ̄ω ̄;)
どうやら落ち着きを取り戻し始めたみたいだ。
「十夜さん?」
「…ん」
声をかけると反応した。
「びっくりしましたね」
「ん」
しがみついたままだったけど、はっきり頷いたので、そのまま頭を撫でてあげる。
「怖かったでしょう?」
「ん」
覗き込むとさっきより顔色は良くなっていた。
「落ち着いてきましたか?」
「ん」
撫でられるのが心地いいのか、すり寄ってくる。
「撫でるの気持ちいいですか?」
「ん」
「…キスしていい?」
「ん。ん?え?ちょ…ぅんん」
その仕草が可愛くてどさくさに紛れてキスしてみた。
後頭部に手を回し上を向かせる。
たいした抵抗もなく唇を重ねる事が出来た。
そのまま啄むようなキスを何度もして、段々舌を侵入させて深いキスに変える。
「んぁ…んん‥ぁん…ふぁ‥んんぁ」
答えてくれる十夜さんが堪らなく可愛くて、このまま押し倒したいと思った瞬間、十夜さんを包んでいるケープが目に入り、まだ仕事中だと思い出した。
「…んぁ?」
急にキスをやめた事に不思議そうに見上げてくる瞳は潤んでいてめちゃくちゃ可愛いんですけど、ここは理性を総動員させる。
「ごめん。まだ仕事中でした」
「あ…」
十夜さんも忘れてたねw
もう一度だけ唇を重ねるだけのキスをして、ケープを外してあげる。
「気分はどうですか?」
「秀臣のおかげでだいぶ平気。ただ、足痛い」
「え?怪我した?…ちょっと話‥「やだ!ぎゅってしてて」…解りました」
さすがに怪我をさせられて黙っていられない。
俺は立ち上がりかけて膝の上の十夜さんを降ろそうとしたが、しっかり首に手を回されてしまった。
腹は立つが十夜さんを振りほどけるハズもなく、大人しく座り直してもう一度十夜さんを抱き締め直す。
「…はー。今日の靴ピンヒールだから、捻ったかもしれませんね。靴脱げます?」
少しして溜め息と共に怒りを静めた俺は、抱き締めた腕を緩めて十夜さんの顔を覗く。
「やってみる」
十夜さんは俺の首から腕を外すと横向きになって顔をしかめた。
「いっ…つ‥」
「痛いですか?」
「ちょっと痛い。悪い、靴脱がして」
ニーハイブーツは着脱が面倒臭いらしく足首を動かさないで脱がせるのに苦労した。
「腫れてますね」
「あちゃ~。竜也に電話して、テーピングしてもらおう」
「湿布は?」
「貼ったら靴が捌けなくなる」
「撮影は?」
「続行で!」
デスヨネ…。
あんまり無理はして欲しくないけどね。
「…解りました。少しでも楽にしてて下さい」
俺はすぐに電話して竜也さんに詳細を伝える。
高千穂さんに電話したら流血事件になりかねない。
そうなるなら、俺が自分でアイツを殴りたいんだけどね。
「むー」
そんな事を考えていると、十夜さんが唸り始める。
「どうしました?」
「あいつ、どこかで見た気がするんだよな」
「一緒に仕事をした事があるとか?」
「いや、俺、お前以外と組んだ事無い」
「エキストラとか?」
「それは解んないけど…ん~」
「最初は俺を睨んでたんですよ。何で十夜さんを掴んだんだろう?」
しゃべってる間にコンッと窓がノックされ、竜也さんが来た事を知らせる。
俺は十夜さんを膝から下ろしてから、ドアロックを外し、車のドアを開ける。
†††††゚・*:.。. .。.:*・゜†††††
あの人は今。
そろそろ誰なのか解った方もいるかな?
誤字脱字があった場合はご報告頂けたらありがたいです。人( ̄ω ̄;)
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