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≪番外編【不器用な彼】≫

#2

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【不器用な彼】#2

そんな息の合った俺達を見ていたスタッフさん達が騒ぎ出す。

「羨ましい!僕も可愛い子と仲良くしたいです!」

「とゆーか、紹介して!」

「可愛い恋人欲しいです!」

「OMIくんなら一杯知り合いに可愛い子いそうだよね?」

「俺はYORU以外で可愛い人知りませんよ」

スタッフさん達に可愛い子と言われたけど、俺は真顔で言いきった。

めちゃくちゃ本心です。

生まれて16年。

その内の半分はずっと片想いだったんだから。

他の人を可愛いと思った事は無い。

それに、正直言って背が伸びるまでは女の子のモデル仲間には認めてもらえず、呼び出されて辛辣な言葉を浴びせられたのは一度や二度じゃない。

バレンタインに起きた事も似たようなもんだ。

呼び出されて何時間も待たされたり、勝手に机に入れておきながらお返しをねだられたり。

女の子ってろくなもんじゃないとずっと思っていた…いや、思っている。

「うわっ、言い切ったよ!」

「イケメン滅べ!」

「滅んでも選んでもらえる確率低いから駄目じゃない?」

「羨ましいぃぃぃぃ!!」

結局、コンセプトも決まらないまま、撮影の準備が始まるまで、大野さんと桜井さん、スタッフさん達と和気藹々としていた。

この雰囲気好きだなぁ。

十夜さんもそうなのか、ずっとニコニコしていた。

「イケメンがしょんぼりしてるのが見たいです!」

一人のスタッフさんがとんでもない事を言い出した。

「いいねぇ」

「フラれるのは宣伝的にNGなんだけどね。振り回されるのは良いんじゃないか?」

大野さんも桜井さんもノリ出した。

「俺、今でもYORUに振り回されてますが?」

そう言うと腕を絡めていた十夜さんが口を尖らせてムッとしていた。

「まぁ、好きで振り回されてるんですけどね」

ぶーたれながらも顔を赤くするところとか可愛くて堪らない。

微笑んで見つめると、抱き付いて返してくれる。

「「「リア充爆発しろ」」」

スタッフさん達の声が揃った。

「ははは、尻に敷かれてるなら、今のご時世には自然で良いかもね」

「じゃあ、その方向で考えてみようか」

あーでもないこーでもないと話し合った結果。

俺は初めてのバレンタインに彼女を店内で待つが、中々彼女が来なくて落ち込むという設定になった。

ちょっとー。

来ない彼女を待つ役とか、何度も通っては居ない事実を突きつけられた裏庭を思い出すんですけど?

まぁ、今は腕の中に居るけどね。

で、十夜さんはなかなかチョコを渡す勇気が持てなかった彼女が、慌てて店内に駆け込んでくる設定ね。

後はまぁ、臨機応変にって感じ。

何となくコンセプトも決まり、エキストラの人達にも伝えられる。

って、またアイツ睨んでる。

ホントに何なんだ一体?

それからすぐに持ってきた衣装に着替える為、俺達は衣装用のバスに乗り込んだ。

カーテンで仕切られているから中は外から見えない作りだ。

ヘアメイクは十夜さんと竜也さんが交互にやってくれた。

高千穂さんは人が来ないように入り口で待機している。

撮影は最初は順調だったけど、十夜さんが絡みそうになると、何故か何かしらハプニングが起きた。

主にエキストラの睨んできたアイツなんだけど、物を落としたり、転んだり、大きな物音を立てたりと、度々撮影を止める。

一度や二度なら単なるミスで済ますんだけどね。

さすがに続けてだと悪意が感じられる訳で、桜井さんがキレそうになりながら撮影中断宣言を出した。

まだマトモに十夜さんと絡んでいないのに。

十夜さんは所定の立ち位置で立っているが、衣装のニーハイブーツがピンヒールなので生まれたての小鹿状態だ。

これが、撮影が始まるとちゃんと歩くから不思議なんだけど、本人曰く“勢いが大事”なんだそう。

俺は席から立ち上がって十夜さんの所に行く。

支えないと転びそうだ。

「YORU、掴まって」

近くまで行って声をかけるとホッとしたような顔で俺に手を伸ばした。

†††††゚・*:.。. .。.:*・゜†††††

あの人は今。

ただのイチャラブになってきた。

リア充爆発しろと思いながら書いてます←w

誤字脱字があった場合はご報告頂けたらありがたいです。人( ̄ω ̄;)
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