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≪本編≫
【本編48】
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朝、目が覚めると、腕の中で安心しきって寝ている十夜さんがいる。
いつも抱えて寝ている竜也さんや高千穂さんが羨ましくて堪らなかったけど、やっぱり可愛い♡
気持ちが通じ合うとこんなに幸せな気持ちになるんだな。
十夜さんの頭を撫でながら考える。
ねぇ、十夜さん。
俺、気付いちゃったんですよ。
貴方のお母さん、小夜さんが何で十夜さんを産んだのか。
だって、いくら宿った命とはいえ世間にバレたら子供が何を言われるかぐらい解るでしょう?
普通はおろした方が子供の為だと思うでしょう?
14歳という若さで生むにはリスクがありすぎるでしょう?
なのに小夜さんは十夜さんを産んだ。
周りの反対を押しきってまで。
確かに、優しい人なら宿った命を散らせないだろうけど、一番の理由は貴方が愛する人の子供だったからなんですよ。
小夜さんとあの男は、ちゃんと愛し合っていたんだ。
ただ、子供が出来てしまったから、年齢が幼かったから、兄妹だったから、どっかでねじ曲がってしまったんじゃないのかな?
竜也さんと高千穂さんが言っていた「俺達は同じ血の俺達しか愛せない」って、あの男と小夜さんにも当てはまる事だったんじゃないかな?
たまたま十夜さんには兄弟が居なかったから解らなかっただけで、もし、兄弟がいたら俺は選ばれなかったんだと思うよ?
まぁ、その辺は憶測でしかないけど、愛し合っていたのは真実なんだと思う。
あの男は、十夜さんの父親が誰か知らなかったんだろう。
無理矢理引き離されたまま小夜さんが亡くなって、亡くなった事を認められないまま十夜さんを見付けてしまった。
自分の子供だと知らないあの男の中で、同じ顔の十夜さんが小夜さんに刷り変わってしまってもおかしくはない。
“小夜、どうしたんだい?”
“今日はいつものように抱きついてくれないのかい?”
“なぜ、兄さん愛してると言ってキスしてくれないんだ?”
“それに、俺のあげた指輪はどうしたんだい?”
あの時、十夜さんは気絶していたから知らないだろうけど、あの男が捨てられたような顔で十夜さんの頭を撫でて呟いていた言葉。
退院する時に夜弌さんに聞いてみた。
「小夜さんが大事にしていた物の中に指輪はありませんでしたか?」と。
夜弌さんは驚きながらも、首に下げていた二つの指輪を見せてくれた。
一つは妻、八重さんの物。
もう一つは小夜さんがどこで手に入れたのか解らないが、いつも身に付けていた物だと聞いた。
小夜さんはあの男からもらった指輪を大事にしていた。
それが決定的な証拠。
だって、あの男も同じ指輪を嵌めていたから…。
何度も首を絞められる度に見たから間違いない。
同じデザインだった。
あの男のした事はとても許せる事じゃないけれど、真実を知ってしまうと切なくなる。
…もしも、2人の仲が引き裂かれなかったら?
もしも、子供が出来た事をあの男に伝えていたら?
もしも、小夜さんが生きていたら?
たぶん、いくつ“もしも”をあげても意味は無いだろう。
十夜さんが辛い目に合わなかったら俺達は出会っていないから…。
それに、あの男は無意識に十夜さんを小夜さんじゃないと認識していたハズだ。
その証拠に前から犯す事は無かった。
前からだとどうしても男の証が見えるからね。
その分、口でさせていたんだろう。
…いつか真実を伝えた方が良い日は来るんだろうか?
それとも、誰にも言わない方が良いんだろうか?
俺には判断がつかない…。
「…う‥ん」
頭を撫でながら寝顔を眺めていたら、十夜さんが目を覚ました。
「おはようございます」
「…はよ‥」
まだ寝ぼけていて、意識がはっきりしないのか、すり寄ってきてめちゃくちゃ可愛い。
俺は気持ちを切り替えて、十夜さんを見つめる。
暫くそのままやりたいようにさせて、軽く抱き締める。
…って、誰だと思ってすり寄ってます?
「…ひで‥おみ」
「はい?」
あ、ちゃんと解ってますね。
「…今更だけど、お前は…こんな俺で‥ホントに…いいのか?」
また、この人は…。
「こんなじゃないです!俺はこの十夜さん以外欲しくありません」
確認するように聞かれたから即答する。
今更無かった事にはしないから!
「いいんですよ。十夜さんは俺に甘やかされて、でろっでろに依存してれば」
顔を覗き込むように額同士をくっつけて言い切ってやる。
「おまっ…それもどうなんだ?」
「最高に幸せですが、何か?」
俺、間違ってない!
キリリッ!!
「…それなら、めちゃくちゃ甘えてやるからな!覚悟しろよ?」
十夜さんは言いながらキスをしてくれる。
ちょっと、ほほを染めて涙目なのが可愛い。
「大歓迎です♪何度でも言いたい。十夜さん、大好き」
「…ん。俺‥も…はぁ‥んっ…ちょ、ま‥ん‥待てって‥」
何度かキスをしていたら、待ったがかかった。
「十夜さん?」
「…ちゃん‥と、聞いて?」
「はい」
十夜さんは1回息を思いっきり吸うと、俺の目をしっかり見つめた。
「俺も秀臣が好き。好きになってくれてありがとう。だぃ‥す‥き…」
最後は涙声になっちゃったけど、しっかり伝わりましたよ。
「も、ホント可愛くて堪らない!愛してる!」
俺は十夜さんに覆い被さるように抱き付いて、唇を奪いながら時間をかけて十夜さんの中に侵入していく。
「んぁ‥んん‥はぁ…ぁ‥ひ‥でぉ…みぃ…」
舌を絡めとりながらとろっとろに溶けた顔の十夜さんを見る。
縋ってくれる背中の爪痕が幸せの証だ。
いつも抱えて寝ている竜也さんや高千穂さんが羨ましくて堪らなかったけど、やっぱり可愛い♡
気持ちが通じ合うとこんなに幸せな気持ちになるんだな。
十夜さんの頭を撫でながら考える。
ねぇ、十夜さん。
俺、気付いちゃったんですよ。
貴方のお母さん、小夜さんが何で十夜さんを産んだのか。
だって、いくら宿った命とはいえ世間にバレたら子供が何を言われるかぐらい解るでしょう?
普通はおろした方が子供の為だと思うでしょう?
14歳という若さで生むにはリスクがありすぎるでしょう?
なのに小夜さんは十夜さんを産んだ。
周りの反対を押しきってまで。
確かに、優しい人なら宿った命を散らせないだろうけど、一番の理由は貴方が愛する人の子供だったからなんですよ。
小夜さんとあの男は、ちゃんと愛し合っていたんだ。
ただ、子供が出来てしまったから、年齢が幼かったから、兄妹だったから、どっかでねじ曲がってしまったんじゃないのかな?
竜也さんと高千穂さんが言っていた「俺達は同じ血の俺達しか愛せない」って、あの男と小夜さんにも当てはまる事だったんじゃないかな?
たまたま十夜さんには兄弟が居なかったから解らなかっただけで、もし、兄弟がいたら俺は選ばれなかったんだと思うよ?
まぁ、その辺は憶測でしかないけど、愛し合っていたのは真実なんだと思う。
あの男は、十夜さんの父親が誰か知らなかったんだろう。
無理矢理引き離されたまま小夜さんが亡くなって、亡くなった事を認められないまま十夜さんを見付けてしまった。
自分の子供だと知らないあの男の中で、同じ顔の十夜さんが小夜さんに刷り変わってしまってもおかしくはない。
“小夜、どうしたんだい?”
“今日はいつものように抱きついてくれないのかい?”
“なぜ、兄さん愛してると言ってキスしてくれないんだ?”
“それに、俺のあげた指輪はどうしたんだい?”
あの時、十夜さんは気絶していたから知らないだろうけど、あの男が捨てられたような顔で十夜さんの頭を撫でて呟いていた言葉。
退院する時に夜弌さんに聞いてみた。
「小夜さんが大事にしていた物の中に指輪はありませんでしたか?」と。
夜弌さんは驚きながらも、首に下げていた二つの指輪を見せてくれた。
一つは妻、八重さんの物。
もう一つは小夜さんがどこで手に入れたのか解らないが、いつも身に付けていた物だと聞いた。
小夜さんはあの男からもらった指輪を大事にしていた。
それが決定的な証拠。
だって、あの男も同じ指輪を嵌めていたから…。
何度も首を絞められる度に見たから間違いない。
同じデザインだった。
あの男のした事はとても許せる事じゃないけれど、真実を知ってしまうと切なくなる。
…もしも、2人の仲が引き裂かれなかったら?
もしも、子供が出来た事をあの男に伝えていたら?
もしも、小夜さんが生きていたら?
たぶん、いくつ“もしも”をあげても意味は無いだろう。
十夜さんが辛い目に合わなかったら俺達は出会っていないから…。
それに、あの男は無意識に十夜さんを小夜さんじゃないと認識していたハズだ。
その証拠に前から犯す事は無かった。
前からだとどうしても男の証が見えるからね。
その分、口でさせていたんだろう。
…いつか真実を伝えた方が良い日は来るんだろうか?
それとも、誰にも言わない方が良いんだろうか?
俺には判断がつかない…。
「…う‥ん」
頭を撫でながら寝顔を眺めていたら、十夜さんが目を覚ました。
「おはようございます」
「…はよ‥」
まだ寝ぼけていて、意識がはっきりしないのか、すり寄ってきてめちゃくちゃ可愛い。
俺は気持ちを切り替えて、十夜さんを見つめる。
暫くそのままやりたいようにさせて、軽く抱き締める。
…って、誰だと思ってすり寄ってます?
「…ひで‥おみ」
「はい?」
あ、ちゃんと解ってますね。
「…今更だけど、お前は…こんな俺で‥ホントに…いいのか?」
また、この人は…。
「こんなじゃないです!俺はこの十夜さん以外欲しくありません」
確認するように聞かれたから即答する。
今更無かった事にはしないから!
「いいんですよ。十夜さんは俺に甘やかされて、でろっでろに依存してれば」
顔を覗き込むように額同士をくっつけて言い切ってやる。
「おまっ…それもどうなんだ?」
「最高に幸せですが、何か?」
俺、間違ってない!
キリリッ!!
「…それなら、めちゃくちゃ甘えてやるからな!覚悟しろよ?」
十夜さんは言いながらキスをしてくれる。
ちょっと、ほほを染めて涙目なのが可愛い。
「大歓迎です♪何度でも言いたい。十夜さん、大好き」
「…ん。俺‥も…はぁ‥んっ…ちょ、ま‥ん‥待てって‥」
何度かキスをしていたら、待ったがかかった。
「十夜さん?」
「…ちゃん‥と、聞いて?」
「はい」
十夜さんは1回息を思いっきり吸うと、俺の目をしっかり見つめた。
「俺も秀臣が好き。好きになってくれてありがとう。だぃ‥す‥き…」
最後は涙声になっちゃったけど、しっかり伝わりましたよ。
「も、ホント可愛くて堪らない!愛してる!」
俺は十夜さんに覆い被さるように抱き付いて、唇を奪いながら時間をかけて十夜さんの中に侵入していく。
「んぁ‥んん‥はぁ…ぁ‥ひ‥でぉ…みぃ…」
舌を絡めとりながらとろっとろに溶けた顔の十夜さんを見る。
縋ってくれる背中の爪痕が幸せの証だ。
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