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≪本編≫

【本編22】

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次の日。

大手のお菓子メーカーの撮影には十夜さんとしてじゃなく、YORUとして一緒にスタジオに行く事になった。

俺は学校だったから、放課後迎えに来てもらい、そのまま合流してスタジオに向かう。

今日のYORUはゴテゴテじゃないロリ服にいつもより低い靴。

竜也さんの手によってサイドにゆるふわな髪型に仕上がっていた。

今日も相変わらず可愛いんだよね…。

俺とYORUのマネージャーとして高千穂さん。

運転手兼表向き2人の専属ヘアメイクとして竜也さん。

まだ仮釈放されていないので、護衛の人はいない。

今日も相手役がいるので、高千穂さんと一緒に向こうのマネージャーさんと相手の子に挨拶を済ませておく。

相手役は昔何回か一緒に仕事をした事がある子だった。

ただ、いい思い出じゃないので会話は必要最低限の挨拶だけにしておいた。

クライアントさんが持ってくるハズの小道具のお菓子がまだ来ていなかったので、コンセプトが解らずそのまま待機になったのでスタジオの隅に移動する。

「ね、あれ。YORUじゃない?」

「本物?CGじゃなかったの?」

「めちゃくちゃ可愛いな」

「絶対CGだと思ってた~」

「動いてるよ!」

スタッフ達のざわめきが聞こえる。

いい加減CG説払拭しないと、十夜さんの腹筋と俺の理性がやばい。

十夜さんは物凄い笑いを堪えていて、堪えきれないと声を漏らさないように抱き付いてくる。

可愛いから!

抱き締め返したくなるから!

何とか抱き締め返さないように、取り敢えず頭を撫でておく。

「でも、何でOMIと?」

「つい最近ペア組んで撮影したって先輩に聞いた」

「え?YORUってソロ以外受けないって聞いたよ?」

「それに、YORUって気に入らないと仕事しないって話じゃん?」

「連絡もなかなか取れないって有名だよな」

「仲良いね。じゃれ合ってるw」

「もしかして、ペア組んでから付き合いだしたとか?」

「いいなぁ。お似合いだけどムカつく…。ぶっちゃけ羨ましい」

「でも、可愛いカップルだよね~」

周りが勝手に誤解していく…。

付き合ってません。

可愛いのは認めるけど。

そもそも、男なんだってば。

竜也さんと高千穂さんもポーカーフェイスだけど、内心絶対笑っている。

だって肩が揺れてる!

相手役の子がチラチラ見てくるけど、やっぱりYORUが気になるのかな?

《なんのおかし?》

ひとしきり笑い終わった十夜さんは、メモ帳を出して筆談を始めた。

「たぶん、クリスマスケーキじゃないかなってさっきカメラマンの桜井さんが言ってた」

今は10月。

予約獲得の為に早めに宣伝するから、時期的には合っている。

《たべれる?》

「どうかな?撮影用だと食べられない物を使う場合もあるし…食べたいの?」

十夜さんはこくこくと頷いて目を輝かせた。

甘い物好きなんですねw

そんなトコも可愛い…。

ああ、もうっ…ちっとも吹っ切れない…。

「遅くなりました」

そうこうしている内にクライアントさんが大量のケーキボックスをカートに乗せて現れた。

俺と高千穂さんはクライアントさんに挨拶に行き、今日のコンセプトを聞く。

やっぱりクリスマスケーキで、カップルの為の限定ものだそう。

クライアントさんは大野さんと言って、味を見てから撮影して欲しいとスタジオにいる全員にケーキを配ってくれた。

ケーキを受け取った十夜さんの目がキラッキラで笑えるw

大野さんもYORUがいる事に驚いていたけど、高千穂さんが経緯を説明していた。

こっそり、YORUとペアになるなら相手役も依頼すれば良かったと言われた。

まぁ、決まったの昨日だから。

相手役の人に悪いからそれはここだけの話にして下さいね。

《おいしかった♡》

でっかいハートを付けて、満面の笑みでメモ帳を見せてくる十夜さん。

あまりの可愛さについ頭を撫でてしまう。

「まだあるよ。食べるかい?」

《たべる!》 

大野さんのご厚意で十夜さんは二つ目のケーキをゲットしたw

めちゃめちゃ美味しそうに超笑顔で食べる十夜さんを見て、周りがほのぼのしたのは言うまでもなかった。
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