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睡余の後の片言隻語 - 9 -
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しんと静まり返った室内、傾き始めた西日が窓から緩く差し込んでくる。直接ではないものの柔らかなオレンジ色は床の上で踊っていた。夕刻である。階下からは食事の準備をしているのだろう、かぎ慣れない匂いが漂ってきている。三食食事を必要とする人間は確かに都市なり集落なり作る必要があるのだろう。脆弱な肉体しか持たぬ以上、協力し合わなければ生きていけないらしい。
「……貴様の種族だの、竜人だの、私には興味がない事だな」
何とも気まずくなってしまった空気の中でルーシェルは正直な感想を告げる。そもそもこの空気の悪さだって自分には何ら関係がない。ルアードが人間であろうがなかろうが、アーネストがそれを上手く説明できなかろうが、天使が馬鹿正直であろうが自分には一切関係がないのだ。何をやっているのだ馬鹿どもが、とは思ったが。
「黙ってたこと怒ってない?」
「どうでもいい」
テーブルの上に突っ伏したまま、器用にこちらへと顔を向けたルアードの捨て犬のような声を斬り捨てる。興味がないのだから呆れこそすれ怒りなど湧くこともないのだが、それはそれで不満でもあるのかもう少し関心持ってよおと泣き言が飛んでくる。
「何か理由があったんですよね」
成人した男の泣き言などうっとおしいだけなのに天使がすかさずフォローに入る。随分と甘やかすことだ。そおなんだよお、続く声にうんざりする。どうでもいいと言っているだろうが。
「エルフは人にも竜人にも関与しない……だから、集落から外には出ないし人前に出てきちゃいかんのだよ本来は。中立とでもいうのかな、竜人どもが喰うのは人間だけだし」
「そうなんですか?」
ほらそうやって話を促す。さっさと会話を切り上げたいのに余計な事を。
忌々しく天使を睨むが面の皮の厚い奴は微動だにしない。
「まずいんだってさ、エルフって。食わないから襲われないだけなのに昔それで人間と揉めた事もあるとかないとか。元々俺らって森の精霊の一種だし、もう面倒だからって人間との交流を止めたらしい」
引きこもりってやつさ。
やれやれとばかりにルアードは身体をようやく起こす。さらりとした金の髪、明るい緑の瞳。人間の三倍の寿命だとは言うが、年のころはアーネストそう変わらないように見える。
「そうはいっても何百年も引きこもっているわけにもいかない。年寄どもは嫌がるが、若い世代は目新しい物にも興味がある。正体を明かさないことを条件に、たまに人間の街に出る奴や冒険したりする奴が出始めたんだ」
長らく交流がなかったので最初は勝手も解らず、街をぶらつくばかりだったが次第に人間との言語の違いもはっきりしてきた。ならばと言語通訳の魔法を使い人との接触を図る。そうやって少しずつ個々人間で交流をしているのだという。
「流石に村から出て人と紛れて暮らしてるやつはいないけどね。俺らの老化スピードは人間と違うし」
人の百年と人でないものの百年はまるで違う。
見た目の変化がないのはいたずらに人を怖がらせるだけなのだろう、エルフが三百、竜人は幾程だろうか。我々悪魔と天使は……数えるのも馬鹿らしいほど長い年月。瞬きのような命だからだろうか、人間は異物に関して酷く敏感で排他的だ。
あの、と天使が小さく挙手をした。
「私がしているこのイヤリングもその過程で?」
今も天使の耳を飾る赤い石。涙滴型のそれは、男が動くたびにゆらゆらと揺れていた。この世界に来た時に渡されたそれは、言語変換の効果のあるものだ。
「それは『黄の大陸』から来た行商人から買ったやつ。覚えてる? 竜人の技術で作られてる魔石の魔法道具。あいつら長命すぎて年寄と若者との言語が違いすぎるんだってよ。会話が成り立たないから高度な変換魔法編み出して会話してたたらしいんだけど、それを応用して作られてんだってさ。ただ人間にはあまり需要がなくて、まあ装飾品の一つとして土産のつもりで買ったんだ」
綺麗でしょうとルアードはへにゃりと笑った。腑抜けた顔。
そうして、テーブルの上を見つめながら少し考えこむかのように一つ間を置く。
「……俺も外に出ていく方のエルフでね、アーネストを見つけたのは本当に偶然。一目見て竜人の仕業だと解る村で、死にかけてたのを助けて里に連れ帰ったんだ」
「お前は放蕩息子だからな」
「不良みたいに言ってくれるじゃん」
「俺は頼んでない」
「生きてるのが不思議なくらいだったのによく言う~」
軽口のやり取りにも聞こえるが、この話をされるのは嫌らしい。むっすりとただでさえ仏頂面なアーネストがさらに表情を硬くしていた。村を襲われ、というからには恐らく食い荒らされたのだろう。竜人が一度にどれくらいの量を摂取するのかはわからなかったが、少人数の集落ならありえるのか。
「ま、敵討ちだよね。俺はアーネストの保護者ってとこ。こいつ喋らんし生活能力皆無だし。よく解ったでしょう、俺の事すら面倒くさがって説明出来やしない」
「……よく言う、里の事を他言しないよう見張りのくせに」
「相変わらずひねくれてんなあ」
ルアードは言いながらもへらへらと笑っている。アーネストの眉間に皴が深く刻まれていくが、お構いなしである。十五年一緒、と言うからには幼いころから面倒でも見ていたか。妙に親目線な所があるとは思っていたが、事実親代わりだったようだ。
「まあ、そんな感じで俺らは竜人を追ってるってわけ。大っぴらには言えないのもまあそういうこと」
「ほらみろ」
「お前はもうちょっと頑張れよ」
自分の過去を始め口下手な所を咎められたからだろうか、アーネストはいつもより口数が多い。相変わらず窓の傍に突っ立ったまま、ルアードを青い瞳で睨んでいる。差し込む朱色の光が男の黒髪を淡く輪郭をぼやかしていた。いつもいつでもきちりと服を着ている男。革手くらい外せばいいものを。
「一度里に戻ろうと思うんだ、ヨシュアさんは一通り旅の支度済ませてもらったからルーシェルさんにもお願いしようと思って」
むっすりとしているアーネストをやれやれと言ったような表情で見ていたルアードだったが、こちらへと向き直ると薄手の衣服だと旅には不向きだと言う。
確かに現在自分が着ているのはリリーから借りたものばかりだが、元々着ていた服はあるのだ。この世界では見慣れぬものらしいがそれより何よりこれ以上借りを作りたくない。そもそもである。
「あれだけ噂になっていて外なんか出歩けるか!」
「それはまあうん、」
困ったようにルアードは笑う。祝言、夫婦扱い、冗談ではない。天使が聞き流していればいいとでも言わんばかりの態度であるのも気に食わない。嘘も方便、その場を取り繕うための適当なウソだった筈なのにどうしてこうなった。ルアード自身もここまでの勢いで噂が広まるとは思っていなかったようだがそれにしたって他人事のように言いやがって。
「そもそも私に装備だ何だ必要ない、ナハシュがいる」
「ナハシュってその大鎌?」
ルアードが黒い刀身を見ながら言う。
随分と大きいねぇとしげしげと見つめるそれは、自分の身長を優に超える長さをしていた。細い柄には金色の装飾が施されている。緩く曲線を描く刃は長く薄く、確かに目を引く。長く長い時を共にした愛刀にそうと指を這わせて。
「重くないの?」
「ない。おい、もういいだろう。さっさと貴様の持っている一番強力な増幅装置を出せ」
「え、ええと、はいちょっと待ってくださいね」
天使に向かって険のある表情で投げつければ、素直に男は何の躊躇いもなく一番大きな石のついたものを手渡してくる。華奢な細工の施された銀の台座に、コインほどの大きさをした楕円形の青く透明な石がついている腕輪だった。いや、腕輪と言うよりは手の甲を飾るものらしい、中指にはめる指輪から細い鎖が台座に繋がり、固定する為だろうやはり華奢な作りの腕輪へと続く。随分と手の込んだ装飾品である。
「……貴様の種族だの、竜人だの、私には興味がない事だな」
何とも気まずくなってしまった空気の中でルーシェルは正直な感想を告げる。そもそもこの空気の悪さだって自分には何ら関係がない。ルアードが人間であろうがなかろうが、アーネストがそれを上手く説明できなかろうが、天使が馬鹿正直であろうが自分には一切関係がないのだ。何をやっているのだ馬鹿どもが、とは思ったが。
「黙ってたこと怒ってない?」
「どうでもいい」
テーブルの上に突っ伏したまま、器用にこちらへと顔を向けたルアードの捨て犬のような声を斬り捨てる。興味がないのだから呆れこそすれ怒りなど湧くこともないのだが、それはそれで不満でもあるのかもう少し関心持ってよおと泣き言が飛んでくる。
「何か理由があったんですよね」
成人した男の泣き言などうっとおしいだけなのに天使がすかさずフォローに入る。随分と甘やかすことだ。そおなんだよお、続く声にうんざりする。どうでもいいと言っているだろうが。
「エルフは人にも竜人にも関与しない……だから、集落から外には出ないし人前に出てきちゃいかんのだよ本来は。中立とでもいうのかな、竜人どもが喰うのは人間だけだし」
「そうなんですか?」
ほらそうやって話を促す。さっさと会話を切り上げたいのに余計な事を。
忌々しく天使を睨むが面の皮の厚い奴は微動だにしない。
「まずいんだってさ、エルフって。食わないから襲われないだけなのに昔それで人間と揉めた事もあるとかないとか。元々俺らって森の精霊の一種だし、もう面倒だからって人間との交流を止めたらしい」
引きこもりってやつさ。
やれやれとばかりにルアードは身体をようやく起こす。さらりとした金の髪、明るい緑の瞳。人間の三倍の寿命だとは言うが、年のころはアーネストそう変わらないように見える。
「そうはいっても何百年も引きこもっているわけにもいかない。年寄どもは嫌がるが、若い世代は目新しい物にも興味がある。正体を明かさないことを条件に、たまに人間の街に出る奴や冒険したりする奴が出始めたんだ」
長らく交流がなかったので最初は勝手も解らず、街をぶらつくばかりだったが次第に人間との言語の違いもはっきりしてきた。ならばと言語通訳の魔法を使い人との接触を図る。そうやって少しずつ個々人間で交流をしているのだという。
「流石に村から出て人と紛れて暮らしてるやつはいないけどね。俺らの老化スピードは人間と違うし」
人の百年と人でないものの百年はまるで違う。
見た目の変化がないのはいたずらに人を怖がらせるだけなのだろう、エルフが三百、竜人は幾程だろうか。我々悪魔と天使は……数えるのも馬鹿らしいほど長い年月。瞬きのような命だからだろうか、人間は異物に関して酷く敏感で排他的だ。
あの、と天使が小さく挙手をした。
「私がしているこのイヤリングもその過程で?」
今も天使の耳を飾る赤い石。涙滴型のそれは、男が動くたびにゆらゆらと揺れていた。この世界に来た時に渡されたそれは、言語変換の効果のあるものだ。
「それは『黄の大陸』から来た行商人から買ったやつ。覚えてる? 竜人の技術で作られてる魔石の魔法道具。あいつら長命すぎて年寄と若者との言語が違いすぎるんだってよ。会話が成り立たないから高度な変換魔法編み出して会話してたたらしいんだけど、それを応用して作られてんだってさ。ただ人間にはあまり需要がなくて、まあ装飾品の一つとして土産のつもりで買ったんだ」
綺麗でしょうとルアードはへにゃりと笑った。腑抜けた顔。
そうして、テーブルの上を見つめながら少し考えこむかのように一つ間を置く。
「……俺も外に出ていく方のエルフでね、アーネストを見つけたのは本当に偶然。一目見て竜人の仕業だと解る村で、死にかけてたのを助けて里に連れ帰ったんだ」
「お前は放蕩息子だからな」
「不良みたいに言ってくれるじゃん」
「俺は頼んでない」
「生きてるのが不思議なくらいだったのによく言う~」
軽口のやり取りにも聞こえるが、この話をされるのは嫌らしい。むっすりとただでさえ仏頂面なアーネストがさらに表情を硬くしていた。村を襲われ、というからには恐らく食い荒らされたのだろう。竜人が一度にどれくらいの量を摂取するのかはわからなかったが、少人数の集落ならありえるのか。
「ま、敵討ちだよね。俺はアーネストの保護者ってとこ。こいつ喋らんし生活能力皆無だし。よく解ったでしょう、俺の事すら面倒くさがって説明出来やしない」
「……よく言う、里の事を他言しないよう見張りのくせに」
「相変わらずひねくれてんなあ」
ルアードは言いながらもへらへらと笑っている。アーネストの眉間に皴が深く刻まれていくが、お構いなしである。十五年一緒、と言うからには幼いころから面倒でも見ていたか。妙に親目線な所があるとは思っていたが、事実親代わりだったようだ。
「まあ、そんな感じで俺らは竜人を追ってるってわけ。大っぴらには言えないのもまあそういうこと」
「ほらみろ」
「お前はもうちょっと頑張れよ」
自分の過去を始め口下手な所を咎められたからだろうか、アーネストはいつもより口数が多い。相変わらず窓の傍に突っ立ったまま、ルアードを青い瞳で睨んでいる。差し込む朱色の光が男の黒髪を淡く輪郭をぼやかしていた。いつもいつでもきちりと服を着ている男。革手くらい外せばいいものを。
「一度里に戻ろうと思うんだ、ヨシュアさんは一通り旅の支度済ませてもらったからルーシェルさんにもお願いしようと思って」
むっすりとしているアーネストをやれやれと言ったような表情で見ていたルアードだったが、こちらへと向き直ると薄手の衣服だと旅には不向きだと言う。
確かに現在自分が着ているのはリリーから借りたものばかりだが、元々着ていた服はあるのだ。この世界では見慣れぬものらしいがそれより何よりこれ以上借りを作りたくない。そもそもである。
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「それはまあうん、」
困ったようにルアードは笑う。祝言、夫婦扱い、冗談ではない。天使が聞き流していればいいとでも言わんばかりの態度であるのも気に食わない。嘘も方便、その場を取り繕うための適当なウソだった筈なのにどうしてこうなった。ルアード自身もここまでの勢いで噂が広まるとは思っていなかったようだがそれにしたって他人事のように言いやがって。
「そもそも私に装備だ何だ必要ない、ナハシュがいる」
「ナハシュってその大鎌?」
ルアードが黒い刀身を見ながら言う。
随分と大きいねぇとしげしげと見つめるそれは、自分の身長を優に超える長さをしていた。細い柄には金色の装飾が施されている。緩く曲線を描く刃は長く薄く、確かに目を引く。長く長い時を共にした愛刀にそうと指を這わせて。
「重くないの?」
「ない。おい、もういいだろう。さっさと貴様の持っている一番強力な増幅装置を出せ」
「え、ええと、はいちょっと待ってくださいね」
天使に向かって険のある表情で投げつければ、素直に男は何の躊躇いもなく一番大きな石のついたものを手渡してくる。華奢な細工の施された銀の台座に、コインほどの大きさをした楕円形の青く透明な石がついている腕輪だった。いや、腕輪と言うよりは手の甲を飾るものらしい、中指にはめる指輪から細い鎖が台座に繋がり、固定する為だろうやはり華奢な作りの腕輪へと続く。随分と手の込んだ装飾品である。
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