3 / 10
3
しおりを挟む
「でもダミアン、いつになったら私を奥さんにしてくれるの?」
「あと少しだ。父から継いだ事業が完全に軌道に乗るには、まだもう少しだけ時間が必要なんだ。実は今、隣国で大きな契約を結べそうで……それが上手く行ったら、俺はあの地でも一番の金持ちになれるんだ。そうなったら、妻のエリザベスにはちゃんと離縁を言い渡す。あいつは、父の命で仕方なく婚約を受け入れただけの女だからな……愛など微塵も無いのさ。」
「だと思った。あんな地味で色気のない女、あなたが好きになる訳ないものね。あなたは、私みたいに顔が可愛くて……でも、豊満な身体を持った女が大好きだものね?」
そう言って、ミラージュは自身の自慢の胸に俺の顔を押し付けた。
あぁ、そうだ……。
俺はの好みの女は、このミラージュそのものだ。
でも俺の父親ときたら、いきなりミラージュとの婚約は取り止めだと言って来て──。
逆らった俺が彼女の元に行ってみたら、既にそこにミラージュの姿は無く……俺達はそのまま別れ別れになってしまった。
その後も彼女の行方を探ろうとする俺を、何か事情を知って居るであろう父はあの女の事とはもう忘れろと何かと邪魔して来て……俺に色々と事業を手伝わせ時間を奪い、挙句にエリザベスなどと言う地味で何の色気も無いつまらぬ女を寄こしうやむやにして──。
エリザベスは名家の娘で頭は良いと言うが、俺にとっては真面目過ぎて何の面白みも無い女に過ぎなかった。
だが……厳しい父にこれ以上五月蠅く小言を言われるのは鬱陶しかったから、大人しく言う事を聞いてやったがな。
まあ……エリザベスと結婚する事になっても、他所で愛人を作れば欲は発散する事が出来るし……酒でも飲んで酔っ払えば抱けない事も無し、ここは一つ俺が折れてやろう。
そう、思って居たが……結婚後に、またミラージュと再会出来るとは思わなかった。
ミラージュは自身が消えた理由について、自身の父親の一方的な命令によって辺境の地に身を置いて居たと言い……あなたには悪い事をした、でもずっとあなたに会いたかった……今でも俺を愛して居ると言ってくれたのだ。
そしてその言葉を聞いた瞬間……抑えて居た俺の彼女への想いは、一気に爆発した。
今俺はエリザベスと言う妻が居る身で、父もまだ健在だ。
彼女との関係がバレたら、何かと面倒な事になる。
でも、彼女もこれ程までに俺を想ってくれて居たんだ。
もう俺は、自分の気持ちを我慢しないぞ──!
そうして再び彼女と会うようになり、父が死ぬとすぐ身体の関係まで持つようになったが……俺は、何一つ後悔はして居ない。
彼女も、あいつに直談判しに行くほど俺の妻になりたがってくれて居るしな……エリザベスとは、早い所離縁してしまわねば。
そして俺は、愛するミラージュと新たな人生を歩むんだ──!
「あと少しだ。父から継いだ事業が完全に軌道に乗るには、まだもう少しだけ時間が必要なんだ。実は今、隣国で大きな契約を結べそうで……それが上手く行ったら、俺はあの地でも一番の金持ちになれるんだ。そうなったら、妻のエリザベスにはちゃんと離縁を言い渡す。あいつは、父の命で仕方なく婚約を受け入れただけの女だからな……愛など微塵も無いのさ。」
「だと思った。あんな地味で色気のない女、あなたが好きになる訳ないものね。あなたは、私みたいに顔が可愛くて……でも、豊満な身体を持った女が大好きだものね?」
そう言って、ミラージュは自身の自慢の胸に俺の顔を押し付けた。
あぁ、そうだ……。
俺はの好みの女は、このミラージュそのものだ。
でも俺の父親ときたら、いきなりミラージュとの婚約は取り止めだと言って来て──。
逆らった俺が彼女の元に行ってみたら、既にそこにミラージュの姿は無く……俺達はそのまま別れ別れになってしまった。
その後も彼女の行方を探ろうとする俺を、何か事情を知って居るであろう父はあの女の事とはもう忘れろと何かと邪魔して来て……俺に色々と事業を手伝わせ時間を奪い、挙句にエリザベスなどと言う地味で何の色気も無いつまらぬ女を寄こしうやむやにして──。
エリザベスは名家の娘で頭は良いと言うが、俺にとっては真面目過ぎて何の面白みも無い女に過ぎなかった。
だが……厳しい父にこれ以上五月蠅く小言を言われるのは鬱陶しかったから、大人しく言う事を聞いてやったがな。
まあ……エリザベスと結婚する事になっても、他所で愛人を作れば欲は発散する事が出来るし……酒でも飲んで酔っ払えば抱けない事も無し、ここは一つ俺が折れてやろう。
そう、思って居たが……結婚後に、またミラージュと再会出来るとは思わなかった。
ミラージュは自身が消えた理由について、自身の父親の一方的な命令によって辺境の地に身を置いて居たと言い……あなたには悪い事をした、でもずっとあなたに会いたかった……今でも俺を愛して居ると言ってくれたのだ。
そしてその言葉を聞いた瞬間……抑えて居た俺の彼女への想いは、一気に爆発した。
今俺はエリザベスと言う妻が居る身で、父もまだ健在だ。
彼女との関係がバレたら、何かと面倒な事になる。
でも、彼女もこれ程までに俺を想ってくれて居たんだ。
もう俺は、自分の気持ちを我慢しないぞ──!
そうして再び彼女と会うようになり、父が死ぬとすぐ身体の関係まで持つようになったが……俺は、何一つ後悔はして居ない。
彼女も、あいつに直談判しに行くほど俺の妻になりたがってくれて居るしな……エリザベスとは、早い所離縁してしまわねば。
そして俺は、愛するミラージュと新たな人生を歩むんだ──!
299
お気に入りに追加
575
あなたにおすすめの小説
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
【完結】精神的に弱い幼馴染を優先する婚約者を捨てたら、彼の兄と結婚することになりました
当麻リコ
恋愛
侯爵令嬢アメリアの婚約者であるミュスカーは、幼馴染みであるリリィばかりを優先する。
リリィは繊細だから僕が支えてあげないといけないのだと、誇らしそうに。
結婚を間近に控え、アメリアは不安だった。
指輪選びや衣装決めにはじまり、結婚に関する大事な話し合いの全てにおいて、ミュスカーはリリィの呼び出しに応じて行ってしまう。
そんな彼を見続けて、とうとうアメリアは彼との結婚生活を諦めた。
けれど正式に婚約の解消を求めてミュスカーの父親に相談すると、少し時間をくれと言って保留にされてしまう。
仕方なく保留を承知した一ヵ月後、国外視察で家を空けていたミュスカーの兄、アーロンが帰ってきてアメリアにこう告げた。
「必ず幸せにすると約束する。どうか俺と結婚して欲しい」
ずっと好きで、けれど他に好きな女性がいるからと諦めていたアーロンからの告白に、アメリアは戸惑いながらも頷くことしか出来なかった。
形だけの妻ですので
hana
恋愛
結婚半年で夫のワルツは堂々と不倫をした。
相手は伯爵令嬢のアリアナ。
栗色の長い髪が印象的な、しかし狡猾そうな女性だった。
形だけの妻である私は黙認を強制されるが……
元婚約者が愛おしい
碧桜 汐香
恋愛
いつも笑顔で支えてくれた婚約者アマリルがいるのに、相談もなく海外留学を決めたフラン王子。
留学先の隣国で、平民リーシャに惹かれていく。
フラン王子の親友であり、大国の王子であるステファン王子が止めるも、アマリルを捨て、リーシャと婚約する。
リーシャの本性や様々な者の策略を知ったフラン王子。アマリルのことを思い出して後悔するが、もう遅かったのだった。
フラン王子目線の物語です。
婚約者の初恋を応援するために婚約解消を受け入れました
よーこ
恋愛
侯爵令嬢のアレクシアは婚約者の王太子から婚約の解消を頼まれてしまう。
理由は初恋の相手である男爵令嬢と添い遂げたいから。
それを聞いたアレクシアは、王太子の恋を応援することに。
さて、王太子の初恋は実るのかどうなのか。
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる