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第二部 バンドー皇国編 3章
229.Fin
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それから半月程。バンドーのソレイユや赤備え達を率いてジュリアとジュリエッタがライズミーに到着し、さらにはウフロンの領民でテルやユキと共に防衛戦を戦った者達がインテグラーレ公と共にやって来たり。防衛戦の影で俺達が活躍していた事を知っていた者達だろう。テルんトコの宿のおやっさんやストラトちゃん、ドワーフのモーリスもいるな。
この半月の間、色々とリハビリしてみたけど殆ど回復していない。恐らくだけどこの状態で生きている事自体が無茶苦茶なんだろうな。このまま何年頑張っても多分俺は寝たきりだ。そんな気がする。
この状態の俺を見て泣いて謝って来るジュリアとジュリエッタ。自国を救ってくれた人物がこんな事になっているとは知らなかったとの事。
「しかも恩返しが元の世界へ返す事だなんて…あんまりです…お友達になったばかりだと言うのに…」
ジュリアが崩れ落ちてしまう。でもこれが最後じゃないとセリカに励まされてどうにか立ち上がる。
この半月で魔法陣への魔力の充填は終わっている。やはり精霊王が2人いると下位精霊達の協力が得られるらしく異例のスピードで充填が完了した。
「術式を起動させるのでカズトとライムは魔法陣の中へ。」
俺はライムの肩を借りてどうにか魔法陣の中へ辿り着く。
「それじゃあセリカ、頼む。みんな。感謝する。また会おう。」
「それでは起動します!」
見送りのみんなが涙を浮かべているのが見える。
セリカか地面に手を付き魔法陣に魔力を流す。すると魔法陣が青く輝き…咄嗟にライムを抱きしめた。
《二人とも、ありがとうございました。異世界を救った功績に少々サービスをしておきます。》
視界が暗転し意識が薄れていく中、そんな声が聞こえた気がした。
◇◇◇
「ちょっとお~、爆睡しすぎじゃないの?」
あれ?私ったら午後の授業すっかり眠ってたみたい。長い長い夢を見ていた気がするなぁ…
「ちょっと、まだ寝ぼけてるの?早く準備しないと!今日も自動車学校あるんでしょ?ってあれ?あんたそんな指輪付けてたっけ?しかも左手の薬指って!!」
そうだった!クラスメイトに言われて思い出す。学校近くの自動販売機の前。そこでいつも自動車学校の送迎車を待っているんだ。もう仮免許も取って路上教習に出てるんだよ。早く行かなきゃ!
それにしてもこの指輪どうしたんだろう?思い出そうとしても記憶に靄がかかる。でも、何故かとても大事なもののような気がするんだ。
あやふやな返事で友達を誤魔化して上履きを履き替えて校舎を出る。歩道を歩いて数分の所にある自動販売機。今日は少し寒いからホットにしよう。どれがいいかな?ココア?ミルクティー?
私の後ろを通ったパーカーを着た男の人。タバコを買いに来たみたい。なんとなく、気になる。
◇◇◇
うおっ!?さぶっ!
昨今流行りの異世界ものの小説を読んでて寝落ちしたらしい。俺はちょっと職場でトラブルを起こして失業中の身だ。それにしても今日は冷える。
とりあえず一服…ありゃ?タバコ切らしてたか。ん?俺って随分タバコ吸って無かった気がするな。いやいや、そんなバカな。夢だ夢。
俺はパーカーを羽織りスニーカーを履いてアパートを出る。お目当ての自販機は目と鼻の先だ。
歩道を歩いて数分。清涼飲料水やコーヒーなんかの自販機が2台並んでいてその奥がタバコの自販機だ。近くの高校の制服を着た少女がホット飲料のコーナーで何を買おうか迷っている風だ。
俺はその少女の後ろを通りタバコの自販機に千円札を飲み込ませ2箱まとめ買い。ガコン、ガコンと取り出し口へタバコが落ちてくる。
…なんだろうな、この既視感。さっきまで見ていた夢?
取り敢えずタバコと釣銭を取り出し立ち上がると女子高生と視線が交錯する。
!?
何か、カチリと頭の中でピースが嵌る感覚。
いままでどこか夢のようにぼやけていた部分があった記憶が明瞭になっていく。
女子高生が俺を見て目を見開いている。
ああ、俺はこの少女を知っている。
「…よう、ライム。」
万感込めて名前を呼ぶ。
「……カズにぃ…?」
「…ああ。」
「カズにぃ!!カズにぃカズにぃカズにぃ!!!」
ライムだ。そうだ。俺が命を懸けて守ろうとした少女、ライムだ。彼女は俺に向かって駆けて来て首に手をまわして抱き着いてくる。俺もライムを抱きしめた。人目も憚らずに。
「全部思い出したよ、ライム。」
「私もだよ。カズにぃ。もう離さないでね?」
「ああ、もちろんだ。」
その時足元に青く輝く魔法陣が広がる。
「あの時と一緒だね!」
「ああ。セリカ達もせっかちだな。」
2人で苦笑しながらもしっかりと手を繋ぎ魔法陣の発する光に包まれた。
瞼を開くとそこには神に祈るような表情のセリカ達が居た。
「「ただいま、みんな。」」
☆☆☆☆☆ 完 ☆☆☆☆☆
「ライム、ステータス見たか?」
「うん、見た見た!『転移』だって!」
神様のサービスってこれか。ある程度自由に行き来出来るみたいだな。今度はライムのご両親に挨拶に行こうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上を持ちまして本作は完結致しました。拙い作品でしたがお読み頂きありがとうございました。
番外編や後日談などでまたお会い出来ればと思います。
この半月の間、色々とリハビリしてみたけど殆ど回復していない。恐らくだけどこの状態で生きている事自体が無茶苦茶なんだろうな。このまま何年頑張っても多分俺は寝たきりだ。そんな気がする。
この状態の俺を見て泣いて謝って来るジュリアとジュリエッタ。自国を救ってくれた人物がこんな事になっているとは知らなかったとの事。
「しかも恩返しが元の世界へ返す事だなんて…あんまりです…お友達になったばかりだと言うのに…」
ジュリアが崩れ落ちてしまう。でもこれが最後じゃないとセリカに励まされてどうにか立ち上がる。
この半月で魔法陣への魔力の充填は終わっている。やはり精霊王が2人いると下位精霊達の協力が得られるらしく異例のスピードで充填が完了した。
「術式を起動させるのでカズトとライムは魔法陣の中へ。」
俺はライムの肩を借りてどうにか魔法陣の中へ辿り着く。
「それじゃあセリカ、頼む。みんな。感謝する。また会おう。」
「それでは起動します!」
見送りのみんなが涙を浮かべているのが見える。
セリカか地面に手を付き魔法陣に魔力を流す。すると魔法陣が青く輝き…咄嗟にライムを抱きしめた。
《二人とも、ありがとうございました。異世界を救った功績に少々サービスをしておきます。》
視界が暗転し意識が薄れていく中、そんな声が聞こえた気がした。
◇◇◇
「ちょっとお~、爆睡しすぎじゃないの?」
あれ?私ったら午後の授業すっかり眠ってたみたい。長い長い夢を見ていた気がするなぁ…
「ちょっと、まだ寝ぼけてるの?早く準備しないと!今日も自動車学校あるんでしょ?ってあれ?あんたそんな指輪付けてたっけ?しかも左手の薬指って!!」
そうだった!クラスメイトに言われて思い出す。学校近くの自動販売機の前。そこでいつも自動車学校の送迎車を待っているんだ。もう仮免許も取って路上教習に出てるんだよ。早く行かなきゃ!
それにしてもこの指輪どうしたんだろう?思い出そうとしても記憶に靄がかかる。でも、何故かとても大事なもののような気がするんだ。
あやふやな返事で友達を誤魔化して上履きを履き替えて校舎を出る。歩道を歩いて数分の所にある自動販売機。今日は少し寒いからホットにしよう。どれがいいかな?ココア?ミルクティー?
私の後ろを通ったパーカーを着た男の人。タバコを買いに来たみたい。なんとなく、気になる。
◇◇◇
うおっ!?さぶっ!
昨今流行りの異世界ものの小説を読んでて寝落ちしたらしい。俺はちょっと職場でトラブルを起こして失業中の身だ。それにしても今日は冷える。
とりあえず一服…ありゃ?タバコ切らしてたか。ん?俺って随分タバコ吸って無かった気がするな。いやいや、そんなバカな。夢だ夢。
俺はパーカーを羽織りスニーカーを履いてアパートを出る。お目当ての自販機は目と鼻の先だ。
歩道を歩いて数分。清涼飲料水やコーヒーなんかの自販機が2台並んでいてその奥がタバコの自販機だ。近くの高校の制服を着た少女がホット飲料のコーナーで何を買おうか迷っている風だ。
俺はその少女の後ろを通りタバコの自販機に千円札を飲み込ませ2箱まとめ買い。ガコン、ガコンと取り出し口へタバコが落ちてくる。
…なんだろうな、この既視感。さっきまで見ていた夢?
取り敢えずタバコと釣銭を取り出し立ち上がると女子高生と視線が交錯する。
!?
何か、カチリと頭の中でピースが嵌る感覚。
いままでどこか夢のようにぼやけていた部分があった記憶が明瞭になっていく。
女子高生が俺を見て目を見開いている。
ああ、俺はこの少女を知っている。
「…よう、ライム。」
万感込めて名前を呼ぶ。
「……カズにぃ…?」
「…ああ。」
「カズにぃ!!カズにぃカズにぃカズにぃ!!!」
ライムだ。そうだ。俺が命を懸けて守ろうとした少女、ライムだ。彼女は俺に向かって駆けて来て首に手をまわして抱き着いてくる。俺もライムを抱きしめた。人目も憚らずに。
「全部思い出したよ、ライム。」
「私もだよ。カズにぃ。もう離さないでね?」
「ああ、もちろんだ。」
その時足元に青く輝く魔法陣が広がる。
「あの時と一緒だね!」
「ああ。セリカ達もせっかちだな。」
2人で苦笑しながらもしっかりと手を繋ぎ魔法陣の発する光に包まれた。
瞼を開くとそこには神に祈るような表情のセリカ達が居た。
「「ただいま、みんな。」」
☆☆☆☆☆ 完 ☆☆☆☆☆
「ライム、ステータス見たか?」
「うん、見た見た!『転移』だって!」
神様のサービスってこれか。ある程度自由に行き来出来るみたいだな。今度はライムのご両親に挨拶に行こうか。
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以上を持ちまして本作は完結致しました。拙い作品でしたがお読み頂きありがとうございました。
番外編や後日談などでまたお会い出来ればと思います。
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