104 / 142
運命の会合
しおりを挟む
真っ暗な視界が明るくなった時にはもう遅かった。
「…………うッ!」
隣にいたランドロフが膝から崩れ落ちているのが視界に入る。
俺は急いで手を握っていた三人に向いて叫ぶ。
「みんな敵がいる!」
すると、隣にいたリーシャが脊髄反射のようにすぐ魔法を行使した。
「闇の加護のもとにぃ! 影の軍勢となって我らを守護せよぉ! 【影の侵攻】!」
木や俺たちの影から何十もの、影の兵士たちが出現する。
そして、肉壁になるように俺たちを囲んだ。これですぐにノックダウンということはないだろう。
「ほいっ!」
俺はうずくまっているランドロフに向けて【インベントリ】から取り出したポーションを投げつける。
すると、その瓶はランドロフの肩に当たって砕け、ランドロフの傷が一気にすべて癒えた。
えぐられていた腹も塞がっている。
「普通に危ないかもしれない。僕のみぞを一気にえぐれるほどの攻撃力。多分人間じゃないよ」
ランドロフはゆっくりと立ち上がりながら言う。
影の兵士の隙間から周りの現状を見ようとするが、敵の姿は一人も見つからない。
ということは召喚を解除された獣か、もしくは【テレポート】を使えるものだけだ。
その場合、準魔王級以上の実力が必要となる。
「【偽装】」
すると、ランドロフが俺の頭に手を置いて魔法を行使した。
人間の容姿をしていた俺は二年間使っていた懐かしの魔族の容姿になる。
「ここからは危険だ。人間が魔族と獣人と手を組んでいたとなればアレンの人間としての立場がなくなるからね」
まぁ悪者として認定されている獣人と人間が一緒にいたとなれば問題になるのは間違いないだろう。
俺はそのことに感謝を伝えようと右後ろを振り向く。
そして、口を開こうとしている時にはもう遅かった。
「ラン君。ありが――」
「…………げろ!」
敵のテレポートに呑まれていたランドロフがこちらに向かって手を伸ばそうとしていた。
俺も手を伸ばすも、【テレポート】が完了した方が早い。俺の手は綺麗に空中をすかぶってしまう。
「リーシャ! リール、テール!」
俺はすぐさま反対方向から悪寒を感じ、左後ろを見る。
しかし、それもランドロフ同様。【テレポート】で三人とも連れ去れ終わるところだった。
そして術者のリーシャがいなくなったため【影の侵攻】の術も無効化されてしまう。
「っ! 一人一人相手しようってか」
魔力残滓を辿っていけば皆のもとへ行くことも可能であろう。
しかし、敵さん側はそのような行動を許してはくれないようだ。
コツコツコツ
足跡をながらしながら徐々に姿を現しながらこちらへ向かってきている人影が見える。
【テレポート】を使ってきた魔術師とは別の敵である。
最初にランドロフの腹に攻撃をいれた敵である。【テレポート】ではなく、どうやら【透明化】を使っていたようだ。
「主様の命令だ。ここから先は魔族だろうと人間だろうと通さない」
男は黒の仮面をかぶり、黒のコートで包まれた、まるで暗殺者のような容姿をしている。
その敵は腰に差していた長剣を抜刀した。
しかし、俺はここで何か違和感が心に残ってしまう。
「…………君……俺とどこか会ったことあるよね?」
「ふざけるな。僕が魔族などとつるむはずがないだろう」
敵の男は少し殺気をあらわにしながらそう答えた。
しかし、今ので確信が出来た。この敵とはどこかで会ったことがある。
顔が隠されているため分からないが、俺の耳が、脳がこの男を覚えている。
「子供を殺すのは心苦しいので拘束させてもらう。今帰るというなら見逃してやってもいいけど?」
「いや、俺はこの先に行かないといけない。手加減よろしくね」
俺は【インベントリ】から短剣を取り出して、戦闘態勢に入る。
これは、一年間の研磨をかけやっと手にした最上級の短剣だ。
ちなみにこの素材は最上級素材であるユニコーンの角を使っている。そう。俺が捨てられた時に父親の契約獣からもらった角だ。
絶対に折れることはないし、状態異常にかかればこの短剣に触れるだけで解除できる。
「…………ッ! いや、そんなはずがない」
その光景を見た敵は一瞬息をのんだ。
こんな子供がユニコーンの角の武器を使っていることに驚いたのだろう。
だが、そんなことはありえないとわりきったようだ。
「じゃあいかせてもらうよ。はああああぁぁぁ!」
男は長剣を俺に向けて振りかざすように突進してきたのだった。
「…………うッ!」
隣にいたランドロフが膝から崩れ落ちているのが視界に入る。
俺は急いで手を握っていた三人に向いて叫ぶ。
「みんな敵がいる!」
すると、隣にいたリーシャが脊髄反射のようにすぐ魔法を行使した。
「闇の加護のもとにぃ! 影の軍勢となって我らを守護せよぉ! 【影の侵攻】!」
木や俺たちの影から何十もの、影の兵士たちが出現する。
そして、肉壁になるように俺たちを囲んだ。これですぐにノックダウンということはないだろう。
「ほいっ!」
俺はうずくまっているランドロフに向けて【インベントリ】から取り出したポーションを投げつける。
すると、その瓶はランドロフの肩に当たって砕け、ランドロフの傷が一気にすべて癒えた。
えぐられていた腹も塞がっている。
「普通に危ないかもしれない。僕のみぞを一気にえぐれるほどの攻撃力。多分人間じゃないよ」
ランドロフはゆっくりと立ち上がりながら言う。
影の兵士の隙間から周りの現状を見ようとするが、敵の姿は一人も見つからない。
ということは召喚を解除された獣か、もしくは【テレポート】を使えるものだけだ。
その場合、準魔王級以上の実力が必要となる。
「【偽装】」
すると、ランドロフが俺の頭に手を置いて魔法を行使した。
人間の容姿をしていた俺は二年間使っていた懐かしの魔族の容姿になる。
「ここからは危険だ。人間が魔族と獣人と手を組んでいたとなればアレンの人間としての立場がなくなるからね」
まぁ悪者として認定されている獣人と人間が一緒にいたとなれば問題になるのは間違いないだろう。
俺はそのことに感謝を伝えようと右後ろを振り向く。
そして、口を開こうとしている時にはもう遅かった。
「ラン君。ありが――」
「…………げろ!」
敵のテレポートに呑まれていたランドロフがこちらに向かって手を伸ばそうとしていた。
俺も手を伸ばすも、【テレポート】が完了した方が早い。俺の手は綺麗に空中をすかぶってしまう。
「リーシャ! リール、テール!」
俺はすぐさま反対方向から悪寒を感じ、左後ろを見る。
しかし、それもランドロフ同様。【テレポート】で三人とも連れ去れ終わるところだった。
そして術者のリーシャがいなくなったため【影の侵攻】の術も無効化されてしまう。
「っ! 一人一人相手しようってか」
魔力残滓を辿っていけば皆のもとへ行くことも可能であろう。
しかし、敵さん側はそのような行動を許してはくれないようだ。
コツコツコツ
足跡をながらしながら徐々に姿を現しながらこちらへ向かってきている人影が見える。
【テレポート】を使ってきた魔術師とは別の敵である。
最初にランドロフの腹に攻撃をいれた敵である。【テレポート】ではなく、どうやら【透明化】を使っていたようだ。
「主様の命令だ。ここから先は魔族だろうと人間だろうと通さない」
男は黒の仮面をかぶり、黒のコートで包まれた、まるで暗殺者のような容姿をしている。
その敵は腰に差していた長剣を抜刀した。
しかし、俺はここで何か違和感が心に残ってしまう。
「…………君……俺とどこか会ったことあるよね?」
「ふざけるな。僕が魔族などとつるむはずがないだろう」
敵の男は少し殺気をあらわにしながらそう答えた。
しかし、今ので確信が出来た。この敵とはどこかで会ったことがある。
顔が隠されているため分からないが、俺の耳が、脳がこの男を覚えている。
「子供を殺すのは心苦しいので拘束させてもらう。今帰るというなら見逃してやってもいいけど?」
「いや、俺はこの先に行かないといけない。手加減よろしくね」
俺は【インベントリ】から短剣を取り出して、戦闘態勢に入る。
これは、一年間の研磨をかけやっと手にした最上級の短剣だ。
ちなみにこの素材は最上級素材であるユニコーンの角を使っている。そう。俺が捨てられた時に父親の契約獣からもらった角だ。
絶対に折れることはないし、状態異常にかかればこの短剣に触れるだけで解除できる。
「…………ッ! いや、そんなはずがない」
その光景を見た敵は一瞬息をのんだ。
こんな子供がユニコーンの角の武器を使っていることに驚いたのだろう。
だが、そんなことはありえないとわりきったようだ。
「じゃあいかせてもらうよ。はああああぁぁぁ!」
男は長剣を俺に向けて振りかざすように突進してきたのだった。
0
お気に入りに追加
2,374
あなたにおすすめの小説
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
その最弱冒険者、実は査定不能の規格外~カースト最底辺のG級冒険者ですが、実力を知った周りの人たちが俺を放っておいてくれません~
詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
※おかげさまでコミカライズが決定致しました!
時は魔法適正を査定することによって冒険者ランクが決まっていた時代。
冒険者である少年ランスはたった一人の魔法適正Gの最弱冒険者としてギルドでは逆の意味で有名人だった。なのでランスはパーティーにも誘われず、常に一人でクエストをこなし、ひっそりと冒険者をやっていた。
実はあまりの魔力数値に測定不可能だったということを知らずに。
しかしある日のこと。ランスはある少女を偶然助けたことで、魔法を教えてほしいと頼まれる。自分の力に無自覚だったランスは困惑するが、この出来事こそ彼の伝説の始まりだった。
「是非とも我がパーティーに!」
「我が貴族家の護衛魔術師にならぬか!?」
彼の真の実力を知り、次第にランスの周りには色々な人たちが。
そしてどんどんと広がっている波紋。
もちろん、ランスにはそれを止められるわけもなく……。
彼はG級冒険者でありながらいつしかとんでもない地位になっていく。
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる