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バカアレン
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「はぁ。美味しかったぁ」
「それは良かった。じゃあ聞こうか? なんでリーシャがここにいるのかな?」
ランドロフにリーシャの拘束魔法を解いてもらい、俺は笑顔のままリーシャに問う。
すると、リーシャは少し頬を紅色を染めて視線を地面に逸らしながらぼそっと言った。
「アレンが心配で…………」
俺がディルガイナで暮らしていた時とは逆でリーシャは角と尾を隠していただけだった。
なので、俺は顔を見てリーシャだとすぐに分かったのだ。
「血が欲しくて…………の間違いじゃないのか?」
「…………もぅ!」
俺はリーシャの真似をしながら言うとリーシャは頬を食べ物を溜めるリスのように膨らませて怒るようなそぶりを見せる。
一瞬、本気で心配してくれたのかと思ったが俺は騙されない。
あれは俺が先輩たちとの旅行で一週間ぐらい魔王城から離れていた時のことだ。
禁断症状なのか、帰った時にお土産を渡そうとリーシャの部屋に行くと、
『アレンアレンアレンアレンアレンアレンアレンアレン』
ベッドの上で俺の名前を呪いのように連呼していた。
あの時の寒気は今でも忘れないし、これからも忘れることはないだろう。
「「「……………………」」」
「あ、紹介するね。魔王の執事のリーシャ。一応、俺の配下でもあるよ」
俺は取り残されていた三人の視線に気づき、慌ててリーシャを紹介する。
「アハハ…………」
ランドロフはその俺の言葉を聞いて苦笑いをした。
リーシャが準魔王級だと気づいたのだろう。
しかし、テールとリールは、
「「…………用が終わったなら帰りやがれ。です」」
俺の両手を再び握ってリーシャにバチバチと視線を浴びせながら言った。
すると、その幼女二人に対抗するようにリーシャは俺の手を引っ張ろうとするも、両サイドはもう占領されている。
なので、最終手段として俺の頭を引っ張って抱き寄せようとした。
「アレンは私のものですよぉ! いずれ結婚するんだからぁ!」
「「主は私たちのものなので渡さん。です。取られたら油揚げ食べられなくなっちゃう。です」
想像してみてほしい。
いや、俺も思春期真っ盛りな男なんですよ。
そりゃあ幼女と美女の争いの原因が俺だなんて嬉しいに決まってるじゃないですか。
でもね、頭と腕を引っ張るって何なの? ってか普通、頭って引っ張るところじゃないよね? 抜けたらどうすんのよ?
「やめてやめて。普通に痛いから。まぁどっちかって言うとテールとリールの方か………いたたたたた!」
しかも、この争いは両方俺自身ではないというところが俺のメンタルをグサグサとえぐる。
リーシャは俺の血を。テールとリールは俺が作る油揚げを。
そろそろ俺にもちゃんとしたラブコメ展開が来てもいいのではなかろうか。一応、主人公ではあるんだし。
「ま、まぁその辺で止めてあげてやってくれ」
「「「………………ふんっ! (です)」」」
その様子を傍から見ていたランドロフは俺が死にそうな表情をしていたため、やっと助け舟を出してくれた。
三人はその言葉に渋々聞く耳を持つも、未だに睨み合っているままだ。
「ラン君。君とは一生友達だよ」
「え? 何言ってるんだ?」
俺は危うく頭が取れるという大惨事を救ってくれたランドロフに深く感謝をする。
そして、今も俺のすぐ近くで睨み合っている三人を見てため息を吐いた。
「はぁ。リーシャ。また吸いに来ていいから一度帰ってくれ」
「……………………え?」
自分の大好きなおもちゃをとられたような目をしているリーシャはその言葉を聞いて目に涙を浮かべる。
そして、
「…………アレンのバカぁ! もう知らない!」
そう言い残してリーシャは涙を浮かべながら反対方向へと走っていった。
魔族と人間の成長速度の問題もあるかもしれないが、最初の頃はリーシャは色気のある女性というイメージが強かった。
だが、今は同年代か少し年上という感じになっている気がする。
しかし、何故急に涙など浮かべたのだろうか。
俺はこの場を収拾させようとリーシャに十分な対価を払ったつもりなのだが。
そんなことを考えているとランドロフがジト目で俺を見ながら言う。
「今のはアレンが悪いね」
「「私たちの勝ちだぜ! です!」」
テールとリールは勝ち誇ったような表情を浮かべて胸を張っていた。
「ん? 俺のせい?」
「はぁ。これは重傷すぎるよ」
今度はランドロフがため息をつき、頭を抱えていたのだった。
***********************
とうとうこの物語も100話に到達しました!
え? 俺の勝手な妄想を100話まで付き合ってもらってるの?
いやぁ。本当に読者様には感謝という言葉しか思いつかないです!
まさかここまで多くの読者様に読んでもらえるとは思ってもおらず感激してます!
一応残り30話以内で終わらせたいとは考えています!(無理な気がしますが😅)
是非最後までお付き合いいただけると嬉しいです!
「それは良かった。じゃあ聞こうか? なんでリーシャがここにいるのかな?」
ランドロフにリーシャの拘束魔法を解いてもらい、俺は笑顔のままリーシャに問う。
すると、リーシャは少し頬を紅色を染めて視線を地面に逸らしながらぼそっと言った。
「アレンが心配で…………」
俺がディルガイナで暮らしていた時とは逆でリーシャは角と尾を隠していただけだった。
なので、俺は顔を見てリーシャだとすぐに分かったのだ。
「血が欲しくて…………の間違いじゃないのか?」
「…………もぅ!」
俺はリーシャの真似をしながら言うとリーシャは頬を食べ物を溜めるリスのように膨らませて怒るようなそぶりを見せる。
一瞬、本気で心配してくれたのかと思ったが俺は騙されない。
あれは俺が先輩たちとの旅行で一週間ぐらい魔王城から離れていた時のことだ。
禁断症状なのか、帰った時にお土産を渡そうとリーシャの部屋に行くと、
『アレンアレンアレンアレンアレンアレンアレンアレン』
ベッドの上で俺の名前を呪いのように連呼していた。
あの時の寒気は今でも忘れないし、これからも忘れることはないだろう。
「「「……………………」」」
「あ、紹介するね。魔王の執事のリーシャ。一応、俺の配下でもあるよ」
俺は取り残されていた三人の視線に気づき、慌ててリーシャを紹介する。
「アハハ…………」
ランドロフはその俺の言葉を聞いて苦笑いをした。
リーシャが準魔王級だと気づいたのだろう。
しかし、テールとリールは、
「「…………用が終わったなら帰りやがれ。です」」
俺の両手を再び握ってリーシャにバチバチと視線を浴びせながら言った。
すると、その幼女二人に対抗するようにリーシャは俺の手を引っ張ろうとするも、両サイドはもう占領されている。
なので、最終手段として俺の頭を引っ張って抱き寄せようとした。
「アレンは私のものですよぉ! いずれ結婚するんだからぁ!」
「「主は私たちのものなので渡さん。です。取られたら油揚げ食べられなくなっちゃう。です」
想像してみてほしい。
いや、俺も思春期真っ盛りな男なんですよ。
そりゃあ幼女と美女の争いの原因が俺だなんて嬉しいに決まってるじゃないですか。
でもね、頭と腕を引っ張るって何なの? ってか普通、頭って引っ張るところじゃないよね? 抜けたらどうすんのよ?
「やめてやめて。普通に痛いから。まぁどっちかって言うとテールとリールの方か………いたたたたた!」
しかも、この争いは両方俺自身ではないというところが俺のメンタルをグサグサとえぐる。
リーシャは俺の血を。テールとリールは俺が作る油揚げを。
そろそろ俺にもちゃんとしたラブコメ展開が来てもいいのではなかろうか。一応、主人公ではあるんだし。
「ま、まぁその辺で止めてあげてやってくれ」
「「「………………ふんっ! (です)」」」
その様子を傍から見ていたランドロフは俺が死にそうな表情をしていたため、やっと助け舟を出してくれた。
三人はその言葉に渋々聞く耳を持つも、未だに睨み合っているままだ。
「ラン君。君とは一生友達だよ」
「え? 何言ってるんだ?」
俺は危うく頭が取れるという大惨事を救ってくれたランドロフに深く感謝をする。
そして、今も俺のすぐ近くで睨み合っている三人を見てため息を吐いた。
「はぁ。リーシャ。また吸いに来ていいから一度帰ってくれ」
「……………………え?」
自分の大好きなおもちゃをとられたような目をしているリーシャはその言葉を聞いて目に涙を浮かべる。
そして、
「…………アレンのバカぁ! もう知らない!」
そう言い残してリーシャは涙を浮かべながら反対方向へと走っていった。
魔族と人間の成長速度の問題もあるかもしれないが、最初の頃はリーシャは色気のある女性というイメージが強かった。
だが、今は同年代か少し年上という感じになっている気がする。
しかし、何故急に涙など浮かべたのだろうか。
俺はこの場を収拾させようとリーシャに十分な対価を払ったつもりなのだが。
そんなことを考えているとランドロフがジト目で俺を見ながら言う。
「今のはアレンが悪いね」
「「私たちの勝ちだぜ! です!」」
テールとリールは勝ち誇ったような表情を浮かべて胸を張っていた。
「ん? 俺のせい?」
「はぁ。これは重傷すぎるよ」
今度はランドロフがため息をつき、頭を抱えていたのだった。
***********************
とうとうこの物語も100話に到達しました!
え? 俺の勝手な妄想を100話まで付き合ってもらってるの?
いやぁ。本当に読者様には感謝という言葉しか思いつかないです!
まさかここまで多くの読者様に読んでもらえるとは思ってもおらず感激してます!
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