97 / 142
進軍
しおりを挟む
「おい。緑悪王。お前、何か隠してないか?」
「……………………丁度よかった。炎竜王。少し時間ありますか?」
「ああ…………」
二人はラークとグレードがいなくなった王城で再び同じ席に座った。
そしてゴブくんは重い口を開く。
「僕は…………僕は主に置いていかれたくないという気持ちで半年間必死に頑張ってきました」
「お前の頑張りは隣にいた俺が一番わかってるつもりだ。良くやったと思うよ。本当に」
ゴブくんはアレンが人間の大陸に行ったあと、すぐに行動に移した。
それはアレンが昔言っていた全種族が笑い合える世界を作るということだ。
そのため、魔大陸の中心に新たな国、新生人魔共栄国を建てた。
そして、すぐに仕事を割り振って、ラークには経済を。グレードには政治を。ドラには防衛を。
こうして半年で魔大陸で一番の大都市にまで登り詰めた。
「それでも、本当にこんなやり方で良かったのでしょうか?」
「まぁアレン様がいたら笑顔で頷いたりはしなかっただろうな」
新生人魔共栄国がここまで急激に成長したのには各種族の協力によるものが大きい。
当然、武力は行使せずに協力を得た。
だが、このやり方はほぼ武力に近い。
六魔獣に関しては進化しなければ魔獣の中での立場が低くなる。アレンの配下になれば、そのアドバンテージを埋めることが出来る。
邪蛇族と土竜族の二種族はどうやら本気だったようが、残りの種族はアレンのことなど、どうでもいいようだった。
「だが、お前はアレン様のためにやったんだろ? ならあの方も良く思ってくれるはずさ」
「……………………それなら良いんですけど」
しかし、ドラがそう口にしてもゴブくんの表情は晴れない。
「「…………………………………………」」
その様子を見てドラは我慢できなくなったのか、立ち上がりながら机をドンッと叩いて叫んだ。
「ああ! もうめんどくせぇ! さっさと本題を話せよ! お前はこんなことでそんな顔をする奴じゃないだろうが!」
「……………………あっはっは。僕だって少しぐらいは悪いと思っていますよ? まぁでも利用できるものは利用するのが僕の性格ですからね」
するとゴブくんは作り表情から少し悪い表情に変わる。
その様子に落ち着きを取り戻したドラは席に座り直した。
「ちッ。本当にお前が味方で良かったぜ。相手にいたら一番厄介な部類だわ」
「それは光栄ですね…………ちなみに軍を二万ほど借りれたりしますか? 全員準魔王級以上で」
次は真剣な表情と多彩な表情を持つゴブくんにドラは少し苦笑いをする。
そして、当然のようにドラは言った。
「それが本題か…………まぁ余裕だ。やばいのか? アレン様は」
「ええ…………何か悪い予感がするんです。契約上の繋がりですかね」
どんよりとした空気がこの王城に流れる。
悪い予感がするなんて今まで一度もなかった。ということは本格的にアレンに危機が襲い掛かろうとしているということだ。
「……………………どうすれば」
この旅はアレン自身の成長の旅。本当ならゴブくんたちは手出ししてはいけない。
ゴブくんはそのことを十分理解しているつもりだ。
だから、今迷っている。本当に助けに行くべきか、見守るべきか。
「そうか。なら今すぐ行くぞ」
「…………え⁉ 今すぐに行くんですか⁉」
「そりゃそうだろ。アレン様の危機なら誰でも行動してくれるさ」
そんな大胆なドラの行動にゴブくんは驚いた声を出す。
しかし、ドラは当たり前のように言って、椅子から立ち上がった。
「行くぞ。緑悪王。お前の大好きな主様がお待ちだ」
「あっはっは。あなたも十分、主にぞっこんですね」
「ふっ。お前が言うな」
二人はしっかりアレンの配下として強固な絆を感じながら王城をあとにしたのだった。
こうして二人と獣人の二万の軍勢はオースガイアへと向かうことになる。
「……………………丁度よかった。炎竜王。少し時間ありますか?」
「ああ…………」
二人はラークとグレードがいなくなった王城で再び同じ席に座った。
そしてゴブくんは重い口を開く。
「僕は…………僕は主に置いていかれたくないという気持ちで半年間必死に頑張ってきました」
「お前の頑張りは隣にいた俺が一番わかってるつもりだ。良くやったと思うよ。本当に」
ゴブくんはアレンが人間の大陸に行ったあと、すぐに行動に移した。
それはアレンが昔言っていた全種族が笑い合える世界を作るということだ。
そのため、魔大陸の中心に新たな国、新生人魔共栄国を建てた。
そして、すぐに仕事を割り振って、ラークには経済を。グレードには政治を。ドラには防衛を。
こうして半年で魔大陸で一番の大都市にまで登り詰めた。
「それでも、本当にこんなやり方で良かったのでしょうか?」
「まぁアレン様がいたら笑顔で頷いたりはしなかっただろうな」
新生人魔共栄国がここまで急激に成長したのには各種族の協力によるものが大きい。
当然、武力は行使せずに協力を得た。
だが、このやり方はほぼ武力に近い。
六魔獣に関しては進化しなければ魔獣の中での立場が低くなる。アレンの配下になれば、そのアドバンテージを埋めることが出来る。
邪蛇族と土竜族の二種族はどうやら本気だったようが、残りの種族はアレンのことなど、どうでもいいようだった。
「だが、お前はアレン様のためにやったんだろ? ならあの方も良く思ってくれるはずさ」
「……………………それなら良いんですけど」
しかし、ドラがそう口にしてもゴブくんの表情は晴れない。
「「…………………………………………」」
その様子を見てドラは我慢できなくなったのか、立ち上がりながら机をドンッと叩いて叫んだ。
「ああ! もうめんどくせぇ! さっさと本題を話せよ! お前はこんなことでそんな顔をする奴じゃないだろうが!」
「……………………あっはっは。僕だって少しぐらいは悪いと思っていますよ? まぁでも利用できるものは利用するのが僕の性格ですからね」
するとゴブくんは作り表情から少し悪い表情に変わる。
その様子に落ち着きを取り戻したドラは席に座り直した。
「ちッ。本当にお前が味方で良かったぜ。相手にいたら一番厄介な部類だわ」
「それは光栄ですね…………ちなみに軍を二万ほど借りれたりしますか? 全員準魔王級以上で」
次は真剣な表情と多彩な表情を持つゴブくんにドラは少し苦笑いをする。
そして、当然のようにドラは言った。
「それが本題か…………まぁ余裕だ。やばいのか? アレン様は」
「ええ…………何か悪い予感がするんです。契約上の繋がりですかね」
どんよりとした空気がこの王城に流れる。
悪い予感がするなんて今まで一度もなかった。ということは本格的にアレンに危機が襲い掛かろうとしているということだ。
「……………………どうすれば」
この旅はアレン自身の成長の旅。本当ならゴブくんたちは手出ししてはいけない。
ゴブくんはそのことを十分理解しているつもりだ。
だから、今迷っている。本当に助けに行くべきか、見守るべきか。
「そうか。なら今すぐ行くぞ」
「…………え⁉ 今すぐに行くんですか⁉」
「そりゃそうだろ。アレン様の危機なら誰でも行動してくれるさ」
そんな大胆なドラの行動にゴブくんは驚いた声を出す。
しかし、ドラは当たり前のように言って、椅子から立ち上がった。
「行くぞ。緑悪王。お前の大好きな主様がお待ちだ」
「あっはっは。あなたも十分、主にぞっこんですね」
「ふっ。お前が言うな」
二人はしっかりアレンの配下として強固な絆を感じながら王城をあとにしたのだった。
こうして二人と獣人の二万の軍勢はオースガイアへと向かうことになる。
12
お気に入りに追加
2,434
あなたにおすすめの小説
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる