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レゾナンス

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「…………なんでこんな事に」

 ランドロフは草原にて訓練をしているアレンと祖父を見ながらそう口にした。
 ちなみにランドロフはクレープ片手に草原に座っている。

 時を遡ること二時間前。
 昨日ぐっすり寝た俺たちは昼に起きた。
 そして、祖父はもう別れるつもりだったようだが、俺が無理を言って引き止めたのだ。

 そして、今その引き止めた理由である訓練をしている。

「これは魔力ではない。全身に散らばっている契約の繋がりを自分で統率し、完璧に操作することが大事なのじゃ」
「分かった!」

 俺は祖父に言われた通りに契約のつながりを探して統率し始める。

 そもそも、俺がオースガイアに来た理由は祖父に会うためであった。
 それは何故か。今祖父が言ったように魔力を使わない状況下でも魔族並みの力を得るためだ。

 というのも、正直これは賭けに近かった。
 俺が参考にしたものはおとぎ話であり、その話をしてくれたのは祖父である。

「違う違う。そうじゃない。もっと繋がりの深淵を覗くんじゃ」
「……………………難しいね」

 そのおとぎ話の主人公である原初のテイマーは自分も獣と渡り合える力が欲しかった。
 これは今の俺と同じような境遇である。
 そして、その後に原初のテイマーがとった行動は、

「……………………出来た…………出来たよ! おじいちゃん!」
「おお…………まさか数時間で【契約憑依レゾナンス】が出来るとはの。あのおとぎ話も嘘ではなかったということか」

 そう。俺が求めていたものは【契約憑依レゾナンス】。
 契約獣の繋がりを強めてその獣の力を分けてもらうというものだ。

 これは魔力ではなく契約根本の繋がりの太さを変えるだけであるため、魔力は使わなくて済む。
 その代わりと言っては何だが、信頼度が低いと数十秒しか行使できなかったり、信頼し合っていても数分という制限時間がかけられている。

 だが、それだけ時間があれば戦闘など終わるはずだ。

「アレン。誰か【契約憑依レゾナンス】してみてくれよ」

 ずっと俺のことを見ていたランドロフがそう言う。

 最初はランドロフはこの訓練にそこまで興味を示してくれなかった。
 それはそう。そもそもおとぎ話を誰が信じるというのだ。

 すると祖父がクレープを奢っていやるから付き合ってくれと賄賂を贈った。
 するとどういうことか。一秒も経たないうちに首を縦に振ったのだ。

 今も少し機嫌が悪そうな表情をしているが、実際はクレープを食べて満足している。

 ってかスイーツ大好き系男子多くないですかね?
 俺もパフェ好きとか言った方が株上がりますか?
 まぁそれはあとで考えることにしよう。

「【契約憑依レゾナンス】…………ドラ!」

 ゴブくんは何かすごいことをしていると言っていたので、その次に契約してたドラにしてみた。
 【契約憑依レゾナンス】を行使すると、相手側にも負荷がかかるかもしれないのだ。
 まぁそれは信頼度によるらしい。

「……………………ッ!」

 そんなことを考えていると細かった繋がりが一気に拡大されたのが分かった。
 まるで、ドラと一心同体になっているようだ。

「見た目はそこまで変わりないのぉ。ちょっとあの岩でも殴ってみ」

 祖父は俺の身体をじろじろと見て巨大な岩に指をさした。
 その大きさは岩というよりは小さな小山ぐらいの大きさに近い。
 今までの俺なら俺の手が真っ赤に染まるだけだろう。

 その様子を見てランドロフは呆れたように口を開く。

「流石に人間にはそんな巨大な岩にひびをいれるなんて――」
「おりゃ」

 そんな小山ともいえる巨大な岩は俺の軽めの拳で殴ってみたのだが、

 ドガンッ!

「「「……………………あ」」」

 その巨大な岩は俺が殴り終えた時には跡形もなく、目の前にはなくなっていたのだった。
 あれ? また俺やっちゃった?
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