72 / 142
南北戦争、終結
しおりを挟む
「………………ん、あれ?」
俺はゆっくりと閉じていた瞼を開けた。
そして、見え始めたその光景に俺は呆けた面になってしまう。
「……………………いやぁ私は知りませんからね」
「……………………主に殺されるどこだったぜ」
俺の隣には必死な形相を浮かべた二人がいた。
二人は真顔のまま自分たちの目の前に広がっている光景に目を合わせようとしない。
まぁ俺も合わせたくないのだが。
「これって俺のせいじゃないよね?」
ほら。俺だって現実逃避しそうになっている。
しかし、二人とも現実を見ていないくせに、
「いえ、アレン様のせいです」
「ああ。そうだな。主のせいだ」
「え!? なんか俺の対応酷くない!?」
俺はけめはめ波は上手く成功させることが出来ました。
そのため、今の俺たちの目の前には何もありません。
そうです。何もないんです。
ランドロフに向かって直線状は大地もえぐれ、障害物である岩や向こうに見えていた小さな山も跡形もなくなっていた。
あそこに山なんてありましたっけ? というレベルである。
「うん。一度帰ろっか。二人とも治療してもらうから俺の手を握って」
「承知しました」
「分かったぜ」
二人とも待ってましたと言わんばかりの勢いで俺が差し出した手を握った。
そして、俺はため息をつきながら魔法を行使する。
「はぁ。【テレポート】!」
その瞬間、視界から色が失われ、真っ暗に染まった。
***********************
「あ、お帰りなさぁい」
俺たち三人は魔王城に転移するとそこには天井に留まったままのリーシャがいた。
なので俺は軽く頭を下げながら言う。
「ただいまリーシャ。すぐで悪いんだけどこの二人を頼める?」
「…………いいですよぉ。でも、さっきの続きをしてくれるならですけどねぇ」
「……………………カンガエトクヨ」
小悪魔的な表情を浮かべているリーシャはそう口にして、二人を抱きかかえ自分の部屋に帰っていった。
ちなみにリーシャは回復魔法のエキスパートである。
リーシャに任せておけばどんな傷でも、そして死んでいても蘇生させることが出来るのだ。
「出てきていいですよ」
俺はリーシャたちが出ていったことを確認した俺は一人そう口にした。
すると、
「やっぱりあなた、ただものじゃないわね」
「普通のにん…………魔族なんですけどね」
俺はカーテンの後ろに隠れていたサルバディが苦笑いしながら出てきた。
その表情からはしっかりと区切りがついていたことが垣間見える。
なので、俺は少し安心した表情で口を開いてサルバディに話しかける。
「父さんは何処に行ったんですか?」
「……………………あなたのお父様はここで働いてらっしゃるの?」
「……………………え?」
どうやらやらかしてしまったようです。
まさか、魔王がそのことを先に言ってなかったとは思わず、俺は少し動揺してしまう。
(さて、どう説明したらいいものか…………)
しかし、俺が心の中で一生懸命考えているとサルバディはフッフと手を顔に当てながら笑い始めた。
「フッフッフ。冗談よ。そのことは魔王から聞いてるわ…………ってことは私の息子になるのかしら?」
「その位置はランドロフさんがいるでしょう? 多少刑罰を受けることになりますが、流石の父さんでも殺さないとは思いますよ」
俺がそう苦笑いしながら言うとサルバディはポカンとした呆けた表情になる。
そして、
「ランドロフさん? それって誰なのかしら? アレン君の知り合い?」
「アハハ。サルバディさんも御冗談を言うんです……………………本気で言ってます?」
俺はそのサルバディの言葉を冗談としてとらえた。
だって、少し前に魔王のこともからかっただろう?
しかし、全くふざけている様子がサルバディから感じられず俺は本気で戸惑ってしまう。
しかし、そんな俺を放ってサルバディは笑い始めた。
「大丈夫よ。そんなに話を逸らそうとしなくても魔王とはもう仲直りできたから…………あ、でもあなたみたいな子供が結婚してるなんてことは驚いたわね」
「……………………結婚? ちょっと話の中身がよく見えないんですが」
俺は本気で脳内がパンクしそうになる。
ランドロフのことを忘れてる? しかも俺が結婚?
俺は考えに考え込んだ内の一つの言葉を振り絞るように言った。
「あの……………………俺は誰と結婚したのでしょうか?」
すると、サルバディも少し唖然としたが苦笑いしながら口を開く。
「リーシャちゃんと結婚したのでしょう? 私は魔王がリーシャちゃんに取られたと思って嫉妬しちゃって、こんなこと…………だから魔王と復縁するのにはいい出来事だったわ」
「……………………」
「…………え? どうしたの?」
俺はその瞬間、心の中の何かの枷が外れた気がした。
そして、一度うずくまった俺を心配するようにサルバディが声をかけてくれる。
すみません。サルバディさん。ちょっとうるさくなります。
「おい! リーシャあああああああああぁぁぁぁぁぁ!」
俺は魔王城全体に響き渡る声でそう叫んだのだった。
俺はゆっくりと閉じていた瞼を開けた。
そして、見え始めたその光景に俺は呆けた面になってしまう。
「……………………いやぁ私は知りませんからね」
「……………………主に殺されるどこだったぜ」
俺の隣には必死な形相を浮かべた二人がいた。
二人は真顔のまま自分たちの目の前に広がっている光景に目を合わせようとしない。
まぁ俺も合わせたくないのだが。
「これって俺のせいじゃないよね?」
ほら。俺だって現実逃避しそうになっている。
しかし、二人とも現実を見ていないくせに、
「いえ、アレン様のせいです」
「ああ。そうだな。主のせいだ」
「え!? なんか俺の対応酷くない!?」
俺はけめはめ波は上手く成功させることが出来ました。
そのため、今の俺たちの目の前には何もありません。
そうです。何もないんです。
ランドロフに向かって直線状は大地もえぐれ、障害物である岩や向こうに見えていた小さな山も跡形もなくなっていた。
あそこに山なんてありましたっけ? というレベルである。
「うん。一度帰ろっか。二人とも治療してもらうから俺の手を握って」
「承知しました」
「分かったぜ」
二人とも待ってましたと言わんばかりの勢いで俺が差し出した手を握った。
そして、俺はため息をつきながら魔法を行使する。
「はぁ。【テレポート】!」
その瞬間、視界から色が失われ、真っ暗に染まった。
***********************
「あ、お帰りなさぁい」
俺たち三人は魔王城に転移するとそこには天井に留まったままのリーシャがいた。
なので俺は軽く頭を下げながら言う。
「ただいまリーシャ。すぐで悪いんだけどこの二人を頼める?」
「…………いいですよぉ。でも、さっきの続きをしてくれるならですけどねぇ」
「……………………カンガエトクヨ」
小悪魔的な表情を浮かべているリーシャはそう口にして、二人を抱きかかえ自分の部屋に帰っていった。
ちなみにリーシャは回復魔法のエキスパートである。
リーシャに任せておけばどんな傷でも、そして死んでいても蘇生させることが出来るのだ。
「出てきていいですよ」
俺はリーシャたちが出ていったことを確認した俺は一人そう口にした。
すると、
「やっぱりあなた、ただものじゃないわね」
「普通のにん…………魔族なんですけどね」
俺はカーテンの後ろに隠れていたサルバディが苦笑いしながら出てきた。
その表情からはしっかりと区切りがついていたことが垣間見える。
なので、俺は少し安心した表情で口を開いてサルバディに話しかける。
「父さんは何処に行ったんですか?」
「……………………あなたのお父様はここで働いてらっしゃるの?」
「……………………え?」
どうやらやらかしてしまったようです。
まさか、魔王がそのことを先に言ってなかったとは思わず、俺は少し動揺してしまう。
(さて、どう説明したらいいものか…………)
しかし、俺が心の中で一生懸命考えているとサルバディはフッフと手を顔に当てながら笑い始めた。
「フッフッフ。冗談よ。そのことは魔王から聞いてるわ…………ってことは私の息子になるのかしら?」
「その位置はランドロフさんがいるでしょう? 多少刑罰を受けることになりますが、流石の父さんでも殺さないとは思いますよ」
俺がそう苦笑いしながら言うとサルバディはポカンとした呆けた表情になる。
そして、
「ランドロフさん? それって誰なのかしら? アレン君の知り合い?」
「アハハ。サルバディさんも御冗談を言うんです……………………本気で言ってます?」
俺はそのサルバディの言葉を冗談としてとらえた。
だって、少し前に魔王のこともからかっただろう?
しかし、全くふざけている様子がサルバディから感じられず俺は本気で戸惑ってしまう。
しかし、そんな俺を放ってサルバディは笑い始めた。
「大丈夫よ。そんなに話を逸らそうとしなくても魔王とはもう仲直りできたから…………あ、でもあなたみたいな子供が結婚してるなんてことは驚いたわね」
「……………………結婚? ちょっと話の中身がよく見えないんですが」
俺は本気で脳内がパンクしそうになる。
ランドロフのことを忘れてる? しかも俺が結婚?
俺は考えに考え込んだ内の一つの言葉を振り絞るように言った。
「あの……………………俺は誰と結婚したのでしょうか?」
すると、サルバディも少し唖然としたが苦笑いしながら口を開く。
「リーシャちゃんと結婚したのでしょう? 私は魔王がリーシャちゃんに取られたと思って嫉妬しちゃって、こんなこと…………だから魔王と復縁するのにはいい出来事だったわ」
「……………………」
「…………え? どうしたの?」
俺はその瞬間、心の中の何かの枷が外れた気がした。
そして、一度うずくまった俺を心配するようにサルバディが声をかけてくれる。
すみません。サルバディさん。ちょっとうるさくなります。
「おい! リーシャあああああああああぁぁぁぁぁぁ!」
俺は魔王城全体に響き渡る声でそう叫んだのだった。
0
お気に入りに追加
2,344
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが
別に気にも留めていなかった。
元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、彼には時期的にやりたい事があったからだ。
リヒトのやりたかった事、それは、元勇者のレイラが奴隷オークションに出されると聞き、それに参加する事だった。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
そんな二人がどうやって生きていくか…それがテーマです。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公になれない筈の二人が主人公、そんな物語です。
最近、感想欄から『人間臭さ』について書いて下さった方がいました。
確かに自分の原点はそこの様な気がしますので書き始めました。
タイトルが実はしっくりこないので、途中で代えるかも知れません。
最強魔獣使いとなった俺、全ての魔獣の能力を使えるようになる〜最強魔獣使いになったんで元ギルドを潰してやろうと思います〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
俺は、一緒に育ってきた親友と同じギルドに所属していた。
しかしある日、親友が俺が達成したクエストを自分が達成したと偽り、全ての報酬を奪われてしまう。
それが原因で俺はギルド長を激怒させてしまい、
「無能は邪魔」
と言われて言い放たれてしまい、ギルドを追放させられた。
行く場所もなく、途方に暮れていると一匹の犬が近づいてきた。
そいつと暫く戯れた後、カロスと名付け行動を共にすることにした。
お金を稼ぐ為、俺は簡単な採取クエストを受注し、森の中でクエストを遂行していた。
だが、不運にも魔獣に遭遇してしまう。
無数の魔獣に囲まれ、俺は死を覚悟した。
その時だった。
地面を揺らし、俺の体の芯まで響いてくる何かの咆哮。
そして、その方向にいたのはーー。
これは、俺が弱者から魔獣使いとして成長していく物語である。
※小説家になろう、カクヨミで掲載しています
現在連載中の別小説、『最強聖剣使いが魔王と手を組むのはダメですか?〜俺は魔王と手を組んで、お前らがしたことを後悔させてやるからな〜』もよろしくお願いします。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
勇者パーティーから追放されたけど、最強のラッキーメイカーがいなくて本当に大丈夫?~じゃあ美少女と旅をします~
竹間単
ファンタジー
【勇者PTを追放されたチートなユニークスキル持ちの俺は、美少女と旅をする】
役立たずとして勇者パーティーを追放されて途方に暮れていた俺は、美少女に拾われた。
そして俺は、美少女と旅に出る。
強力すぎるユニークスキルを消す呪いのアイテムを探して――――
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる