44 / 142
危険を察知
しおりを挟む
その自信満々な慈悲の笑みに俺たちは一瞬だけ背筋が凍るような気がした。
言い返すのなら所詮Dクラスだ。
逃げ回られ、旗をとられると正直勝てる可能性は激減する。
しかし、わざわざ俺たちの目の前に殺されるようにやってきたのだ。
しかも、四十人も。
Dクラスの生徒数は二百人。
ということはここにいるDクラスの生徒の五分の一は存在するというわけだ。
「何考えてるか分からないがこいつら全員殺せば俺たちの勝ちなんだろ?」
「うん。そのはずなんだけど…………」
「少し気味が悪いわね」
俺たち三人はDクラスとの距離を十分に保ったままそう口を開く。
すると、
「今のうちにあの娘のように棄権した方がいいんじゃないか?」
「そうよ。痛い目に遭うわよ?」
Dクラスの生徒たちは俺たちに棄権を促してくる。
その表情からは偽りなく、絶対的な自信があった。
「もういいや。やろうぜ」
グレーが地を駆けてDクラスの生徒の方へと近づこうとした時、サテラが叫んでグレーを静止させる。
「少し待って! 何か来るわ!」
すると、サテラの言う通り膨大な魔力がDクラスのもとへ集まっていく。
「…………まさか! あれは!」
俺はその光景を見て一瞬で何をしようとしているのかが分かった。
俺が生まれてきて何百回、何千回見てきた魔法。
そう。召喚魔法だ。
「「「「「【召喚】!」」」」」
四十人、全員がそう高く叫び、四十個ほどの魔法陣を出現させる。
このDクラスの生徒は自分たちが戦う気なんてなかったんだ。
最初に気づくべきだった。魔術師しかいないということに。
魔法陣から目を焼いてしまいそうなほどの光が溢れ出る。
そして、その光が収まり、ゆっくりと目を開けるとそこには、
「まさか本当に僕たちが呼ばれることになるとはね」
「だってあのXクラスは個々は強いじゃん。こいつ等がボコボコにされなかったのもXクラスの担任がいなかっただけだろ?」
「あれ? あんな奴いたっけ? 新入生かな?」
四十個の魔法陣から四十人もの生徒が現れた。
すると、隣でグレーとサテラが険しい顔をする。
「あれは、Bクラスの下位グループだ。一人一人は弱いが四十人もいたら流石にきついぞ」
「そうね。何故かミーナも今はいないし一度退いた方がいいかもしれないわね」
「ていうか。召喚魔法で人間を召喚するなんてせこくないですか?」
俺が先輩たちに言ったつもりの言葉にDクラスのリーダー格の生徒が口を開く。
「あッはッは! ルールを読んでいないお前らが悪いんだよ! ルールには召喚魔法も可と書いてあっただろうが!」
これが最初から狙いだったのだろう。
Bクラスとなれば先輩たちの表情からも分かるように簡単には終わらない。
いや、もしかしたらXクラスが全滅する可能性だってあり得る。
一生懸命、頭の中で打開策を考えようとしていると、急にグレーが大声を上げた。
「……………………あっ! やっば! 俺天才かも!」
その表情は先ほどの険しい表情ではなく、まるで歓喜のようなそんな表情だった。
そして、すぐにグレーはサテラに耳打ちするようにして小声で何か伝える。
すると、サテラもグレーと同じように飛び跳ねながら嬉しそうに笑った。
「いいわね! 私たちだけ怒られるものなんだし!」
「だろ? 絶対、ミーナも同じこと考えてたんだって!」
急に意気投合したように二人は嬉しそうに笑っている。
なんか俺だけ仲間外れにされている気がするのだが?
そんなことを思っていると、グレーがニヤニヤしながら俺の方へ近づいてきた。
「アレン。知ってるか? クラス対抗ランキング戦は個人ランキング戦にも反映されるんだ」
「いえ、知らなかったです」
すると、もっと口角を上げてグレーはコソコソと俺に言う。
「だから俺たちは考えたんだ。もし、アレンがこいつら全員を一人で倒せたらどれだけランキングが上がるんだろうなって。もしかしたら三桁まで行ったりするかもしれない」
今の俺のランキングは八千と少しだ。三桁になるのはもっと後の話だと思っている。
だが、グレーはそれは確定しているかのように言った。
しかし、俺一人で八十人も相手なんて可能なのだろうか。
「あの、それはどうやって――」
そう思い、俺が聞き返そうとすると、
「「棄権」」
「……………………はい?」
俺が振り返った瞬間にはもう二人はいなくなっていた。
さて、俺にはこれからボコボコにされる未来しか見えないのだがそんな俺にどうしろというのだろう……………あ!
言い返すのなら所詮Dクラスだ。
逃げ回られ、旗をとられると正直勝てる可能性は激減する。
しかし、わざわざ俺たちの目の前に殺されるようにやってきたのだ。
しかも、四十人も。
Dクラスの生徒数は二百人。
ということはここにいるDクラスの生徒の五分の一は存在するというわけだ。
「何考えてるか分からないがこいつら全員殺せば俺たちの勝ちなんだろ?」
「うん。そのはずなんだけど…………」
「少し気味が悪いわね」
俺たち三人はDクラスとの距離を十分に保ったままそう口を開く。
すると、
「今のうちにあの娘のように棄権した方がいいんじゃないか?」
「そうよ。痛い目に遭うわよ?」
Dクラスの生徒たちは俺たちに棄権を促してくる。
その表情からは偽りなく、絶対的な自信があった。
「もういいや。やろうぜ」
グレーが地を駆けてDクラスの生徒の方へと近づこうとした時、サテラが叫んでグレーを静止させる。
「少し待って! 何か来るわ!」
すると、サテラの言う通り膨大な魔力がDクラスのもとへ集まっていく。
「…………まさか! あれは!」
俺はその光景を見て一瞬で何をしようとしているのかが分かった。
俺が生まれてきて何百回、何千回見てきた魔法。
そう。召喚魔法だ。
「「「「「【召喚】!」」」」」
四十人、全員がそう高く叫び、四十個ほどの魔法陣を出現させる。
このDクラスの生徒は自分たちが戦う気なんてなかったんだ。
最初に気づくべきだった。魔術師しかいないということに。
魔法陣から目を焼いてしまいそうなほどの光が溢れ出る。
そして、その光が収まり、ゆっくりと目を開けるとそこには、
「まさか本当に僕たちが呼ばれることになるとはね」
「だってあのXクラスは個々は強いじゃん。こいつ等がボコボコにされなかったのもXクラスの担任がいなかっただけだろ?」
「あれ? あんな奴いたっけ? 新入生かな?」
四十個の魔法陣から四十人もの生徒が現れた。
すると、隣でグレーとサテラが険しい顔をする。
「あれは、Bクラスの下位グループだ。一人一人は弱いが四十人もいたら流石にきついぞ」
「そうね。何故かミーナも今はいないし一度退いた方がいいかもしれないわね」
「ていうか。召喚魔法で人間を召喚するなんてせこくないですか?」
俺が先輩たちに言ったつもりの言葉にDクラスのリーダー格の生徒が口を開く。
「あッはッは! ルールを読んでいないお前らが悪いんだよ! ルールには召喚魔法も可と書いてあっただろうが!」
これが最初から狙いだったのだろう。
Bクラスとなれば先輩たちの表情からも分かるように簡単には終わらない。
いや、もしかしたらXクラスが全滅する可能性だってあり得る。
一生懸命、頭の中で打開策を考えようとしていると、急にグレーが大声を上げた。
「……………………あっ! やっば! 俺天才かも!」
その表情は先ほどの険しい表情ではなく、まるで歓喜のようなそんな表情だった。
そして、すぐにグレーはサテラに耳打ちするようにして小声で何か伝える。
すると、サテラもグレーと同じように飛び跳ねながら嬉しそうに笑った。
「いいわね! 私たちだけ怒られるものなんだし!」
「だろ? 絶対、ミーナも同じこと考えてたんだって!」
急に意気投合したように二人は嬉しそうに笑っている。
なんか俺だけ仲間外れにされている気がするのだが?
そんなことを思っていると、グレーがニヤニヤしながら俺の方へ近づいてきた。
「アレン。知ってるか? クラス対抗ランキング戦は個人ランキング戦にも反映されるんだ」
「いえ、知らなかったです」
すると、もっと口角を上げてグレーはコソコソと俺に言う。
「だから俺たちは考えたんだ。もし、アレンがこいつら全員を一人で倒せたらどれだけランキングが上がるんだろうなって。もしかしたら三桁まで行ったりするかもしれない」
今の俺のランキングは八千と少しだ。三桁になるのはもっと後の話だと思っている。
だが、グレーはそれは確定しているかのように言った。
しかし、俺一人で八十人も相手なんて可能なのだろうか。
「あの、それはどうやって――」
そう思い、俺が聞き返そうとすると、
「「棄権」」
「……………………はい?」
俺が振り返った瞬間にはもう二人はいなくなっていた。
さて、俺にはこれからボコボコにされる未来しか見えないのだがそんな俺にどうしろというのだろう……………あ!
1
お気に入りに追加
2,374
あなたにおすすめの小説
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
その最弱冒険者、実は査定不能の規格外~カースト最底辺のG級冒険者ですが、実力を知った周りの人たちが俺を放っておいてくれません~
詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
※おかげさまでコミカライズが決定致しました!
時は魔法適正を査定することによって冒険者ランクが決まっていた時代。
冒険者である少年ランスはたった一人の魔法適正Gの最弱冒険者としてギルドでは逆の意味で有名人だった。なのでランスはパーティーにも誘われず、常に一人でクエストをこなし、ひっそりと冒険者をやっていた。
実はあまりの魔力数値に測定不可能だったということを知らずに。
しかしある日のこと。ランスはある少女を偶然助けたことで、魔法を教えてほしいと頼まれる。自分の力に無自覚だったランスは困惑するが、この出来事こそ彼の伝説の始まりだった。
「是非とも我がパーティーに!」
「我が貴族家の護衛魔術師にならぬか!?」
彼の真の実力を知り、次第にランスの周りには色々な人たちが。
そしてどんどんと広がっている波紋。
もちろん、ランスにはそれを止められるわけもなく……。
彼はG級冒険者でありながらいつしかとんでもない地位になっていく。
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる