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四話 俺の特異体質

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「ここは任せてください!」

 そう言ってゴブくんは俺の前に立ち塞がり木の棒を構えた。
 俺はゴブくんからラッタの角を預かる。

「モオォ!」

 目の前にゴブくんが現れたにもかかわらずモーは突進を続ける。

「避けて!」

 バッファローは獣の中でも攻撃力は上位に位置する。
 そんなのをまともに食らえばゴブくんは一瞬でやられてしまう。
 しかし、ゴブくんもその場所から動こうとしない。
 そして、

「…………ほい!」

 ゴブくんは地を蹴って空を舞う。
 そして、モーが自分の下に来た途端、急降下し木の棒を振り下ろした。

「…………モッ!」

 バッファローの角は強靭でコンクリをも破壊するほどだ。
 そんな自慢の角を、

「主、角がまた増えましたね」

 ゴブくんはにっこりと笑って角を俺の隣に置いた。
 そう。木の棒で切り落としたのだ。

「では、主の兄の偽物をしている悪者を退治してきますね」

 痛覚を感じているのかうずくまり、動かなくなっている。
 その後ろで何度も兄の偽物が命令しているものの全く言うことを聞かない。

 その様子を見てゴブくんはゆっくりと兄の偽物の方へ向かっていく。
 このまま任せておけばすぐに終わるだろう。
 だが、

「ゴブくん。あれは俺が戦うよ」
「……分かりました。危なくなりそうであれば僕も参戦します」
「うん。頼むね」

 俺はゴブくんの足を止め、俺はゆっくりと兄の偽物の方へ近づいていく。
 
「……フッ! お前なら余裕だ!」

 ゴブくんが近づいて来た時は尻もちを着いてまでいた。
 だが、俺が来るとわかった途端急に威勢を取り戻し、歪な笑みを浮かべる。

「来い! ネリオースター!」

 そう兄の偽物が叫ぶと空から大きな怪鳥が飛んできた。
 あれは兄が契約している獣の中で一番強い獣『人食いワシ』
 その名の通りこのワシは人を食うのだ。

「主! ここは私が!」

 ゴブくんは必死な表情でこちらに向かってこようとしている。
 流石に十二歳の普通の子供が自分の身長の五倍もある鳥にかなうわけがない。
 そう。普通の子なら。

「言ったよね? 俺に任せろって」

 俺は必死に走ってきているゴブくんに言った。
 するとゴブくんは萎縮するようその場まで急停止した。
 それはまるで自分より強いものに恐れるかのように。

「キュルルル!」

 空から一直線に俺の方へとネリオースターは飛んできた。
 兄の偽物はその様子をニヤニヤしながら遠目に見ている。
 俺はネリオースターを直視してある言葉を言う。

「俺と契約しよう」
「……………ッ!」

 直線で飛んできていたネリオースターは俺がそう言うと先ほどのゴブくん、いや、それ以上恐れるようにその場に急停止。
 そしてゆっくりと地に足をつけ、頭を垂れるような格好をとった。

「やっぱり人食いワシは凄いな。俺が契約しようって言ったらすぐに嫌がって獣は逃げるのに」
「主……そいつもどう見ても怯えてますよ」
「魔族と話す…………やっぱり忌み子じゃねえか!」

 そんな話をしていると兄の偽物は短剣を腰から抜刀して俺たちに向かって突進する。

「主を忌み子だと? ………殺すぞ」
「…………ひッ!」

 ゴブくんのが兄の偽物を本気で睨む。
 すると、兄は殺されると思ったのだろう。
 短剣を放り投げて獣を【インベントリ】に戻して逃げるように去っていった。

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