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三話 兄との対峙
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「主。それは私がお運びします」
「ありがとう」
先ほどラッタが自分でへし折った白く輝く角をゴブくんに渡す。
意外と重量があるため俺より力のあるであろうゴブくんに持ってもらうことにした。
何故ラッタがあのような行動をとったのかは分からない。
だが、何か意味があると思ったからラッタは行動したのだと思う。
「…………これからどうしようか」
好きなことをしようと思ったもののいざ、考えてみると見つからないものだ。
俺は頭を考えながら考えていると隣にいるゴブくんがゆっくりと口を開けて言った。
「もし、よろしければこちらに向かいませんか?」
ゴブくんが指さした方角は南。
このままいけば魔大陸、ディルガイナに向かってしまう。
「主が考えていることは分かります。魔大陸に入ると人間はすぐに魔物や魔族に見つかってしまい殺される…………ですが、私がどうにか説得するのでどうか一先ず――」
「いいよ。じゃあ早速行こう!」
ゴブくんは少し負い目を感じながらどうにか説得しようと話していた。
しかし、俺があっさり了承したためゴブくんは口を開けて驚いている。
「いや、言った本人が言うのもなんですが、命の危険が――」
「その時はゴブくんが俺を守ってね!」
どうせ夢なのだから現実ではできないことをしよう。そう思った俺はゴブくんの背中を叩きながら足を動かし始める。
「…………当たり前ですよ。僕は主の配下なんですから」
今度こそ吹っ切れたような表情をしたゴブくんは少し苦笑いしながら歩き始めた。
数時間後――
「歩きでたどり着ける距離で良かったですね」
「うん。テイム村から境界線まではそこまで距離が離れてないから」
テイム村というのは俺が追放された村のことをさす。
国王がディルガイナの境界線の近くに一族を移住させ、境界線の監視や魔物の掃討など役を務めさせている。
「…………ッ! しゃがんでください!」
ゴブくんは俺の服を引っ張り無理矢理、屈ませる。
そしてゴブくんは俺の口元に手を当てる。
「…………ん? 誰かいるのか? 探せマー!」
野太い声が草原に響く。
この声は俺の兄であるリンク。
この境界線の警備をしているのだろう。
「モオォォ!」
そんなことを考えていると後方から大きな雄叫びが上がった。
この声は兄が契約している獣『バッファロー』のマー。
そしてそのマーの雄叫びは徐々にこちらへ向かってくる。
「リンク兄さん!」
おれは草原の中から顔を出して兄の名を呼んだ。
その俺に気づいた兄は一瞬驚愕の表情をするが、
「マー! そのまま引き殺せ!」
その表情は一変、急に鬼の形相のような表情をしたリンクはマーに命令を下した。
その命令通りまるで大砲のような勢いのマーはこちらに突進してくる。
「……え? …………なんで」
俺はそのリンクの行動に唖然としてしまう。
いつもテイマーの才能がないからと一族の同年代たちに虐められていた俺を守ってくれていた優しい兄。
しかし、その面影は今は一切ない。
俺は身体を震わせ、膝を折ってしまう。
だが、
「大丈夫です主! これは夢なんですから大切な兄の偽物をしてる悪い奴をさっさと倒しちゃいましょう!」
本当ならもう俺の心は折れていてもおかしくない。
夢であってもこの夢は酷すぎる。
しかし、今はそんな暗闇に埋もれそうな俺を助けてくれる仲間がいる。
俺はゴブくんが差し出している手を握り、ゆっくりと立ち上がる。
「ここは任せてください!」
そう言ってゴブくんは俺の前に立ち塞がり木の棒を構えた。
「ありがとう」
先ほどラッタが自分でへし折った白く輝く角をゴブくんに渡す。
意外と重量があるため俺より力のあるであろうゴブくんに持ってもらうことにした。
何故ラッタがあのような行動をとったのかは分からない。
だが、何か意味があると思ったからラッタは行動したのだと思う。
「…………これからどうしようか」
好きなことをしようと思ったもののいざ、考えてみると見つからないものだ。
俺は頭を考えながら考えていると隣にいるゴブくんがゆっくりと口を開けて言った。
「もし、よろしければこちらに向かいませんか?」
ゴブくんが指さした方角は南。
このままいけば魔大陸、ディルガイナに向かってしまう。
「主が考えていることは分かります。魔大陸に入ると人間はすぐに魔物や魔族に見つかってしまい殺される…………ですが、私がどうにか説得するのでどうか一先ず――」
「いいよ。じゃあ早速行こう!」
ゴブくんは少し負い目を感じながらどうにか説得しようと話していた。
しかし、俺があっさり了承したためゴブくんは口を開けて驚いている。
「いや、言った本人が言うのもなんですが、命の危険が――」
「その時はゴブくんが俺を守ってね!」
どうせ夢なのだから現実ではできないことをしよう。そう思った俺はゴブくんの背中を叩きながら足を動かし始める。
「…………当たり前ですよ。僕は主の配下なんですから」
今度こそ吹っ切れたような表情をしたゴブくんは少し苦笑いしながら歩き始めた。
数時間後――
「歩きでたどり着ける距離で良かったですね」
「うん。テイム村から境界線まではそこまで距離が離れてないから」
テイム村というのは俺が追放された村のことをさす。
国王がディルガイナの境界線の近くに一族を移住させ、境界線の監視や魔物の掃討など役を務めさせている。
「…………ッ! しゃがんでください!」
ゴブくんは俺の服を引っ張り無理矢理、屈ませる。
そしてゴブくんは俺の口元に手を当てる。
「…………ん? 誰かいるのか? 探せマー!」
野太い声が草原に響く。
この声は俺の兄であるリンク。
この境界線の警備をしているのだろう。
「モオォォ!」
そんなことを考えていると後方から大きな雄叫びが上がった。
この声は兄が契約している獣『バッファロー』のマー。
そしてそのマーの雄叫びは徐々にこちらへ向かってくる。
「リンク兄さん!」
おれは草原の中から顔を出して兄の名を呼んだ。
その俺に気づいた兄は一瞬驚愕の表情をするが、
「マー! そのまま引き殺せ!」
その表情は一変、急に鬼の形相のような表情をしたリンクはマーに命令を下した。
その命令通りまるで大砲のような勢いのマーはこちらに突進してくる。
「……え? …………なんで」
俺はそのリンクの行動に唖然としてしまう。
いつもテイマーの才能がないからと一族の同年代たちに虐められていた俺を守ってくれていた優しい兄。
しかし、その面影は今は一切ない。
俺は身体を震わせ、膝を折ってしまう。
だが、
「大丈夫です主! これは夢なんですから大切な兄の偽物をしてる悪い奴をさっさと倒しちゃいましょう!」
本当ならもう俺の心は折れていてもおかしくない。
夢であってもこの夢は酷すぎる。
しかし、今はそんな暗闇に埋もれそうな俺を助けてくれる仲間がいる。
俺はゴブくんが差し出している手を握り、ゆっくりと立ち上がる。
「ここは任せてください!」
そう言ってゴブくんは俺の前に立ち塞がり木の棒を構えた。
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