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13話 妹
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「ここを通ってと」
私は庭園の中を這いつくばりながらこっそり進む。
本当に元第一王女なのか自分でも疑いそうになる。
しかし、バレた時には一瞬で死刑だ。それだけは何としてでも避けなければならない。
時を遡ること一時間前
「ギルマ……テスラ様。流石に今日はもう日が暮れかけています。明日にしましょう」
「そうだな。明日の六時。冒険者ギルドに集合だ」
テスラのその言葉により私たちは解散になった。
しかし、サーシャはテスラに従順すぎではないだろうか。
テスラは別のことに言い換えると、サーシャに仕事をやめろと言っているようなものだ。
それを顔色変えず、更には嬉しそうに承諾するサーシャには本当に驚かされた。
そもそも、何故二人まで私に同行するのだろうか。
嬉しくないと言えば嘘になるが、正直二人には何の得もないはずだ。
だが、今私が一人で考えたところで結果が出るはずもない。
いずれ分かるだろうと結論付けて私も冒険者ギルドをあとにした。
解散理由としては日が暮れているだったが、まだ夕暮れ時。活動時間は残っている。
ということで私は唯一の心残りだったことを解消することにした。
そして今に至る
「最後に妹を見ておかないとね」
そう。私の唯一の心残りは妹についてだ。
第一王女の私の妹である第二王女のミーナは私と違っておしとやかな性格だった。
こんな私だからこそ平民として生きていける希望があるが、ミーナなら絶対に無理だろう。
それほど人見知りも強く、命令されたことしかしない従順な人形だった。
「見ておかないと安心できないもの」
私は今、王宮に潜入していた。
元王族である私だから知っている道はたくさんある。
そのため、警備兵にバレることなく王宮に侵入できているのだ。
何故、こんなリスクのあることをしたのか。
それは先ほども言った通り、ミーナが心配であるからだ。
私がいなくなればミーナを守る者はいない。
第一王女に昇格したら風当たりも強くなる。
ミーナは完全に孤独になってしまうわけだ。
「この時間なら……」
この夕暮れ時、必ずミーナは庭園に来る。
それも従者をつけずに一人でだ。
あのミーナが自分から提案してきたことであったため賛否もあったが認められた。
ということで私は今、庭園に侵入している。
そろそろミーナが来るはず時間なのだが…………
「わぁ! 今日も美しい花々!」
そんなことを考えていると一人の明るい少女の声が庭園に響く。
確かに聞き覚えのある声。何度も私の耳に入ってきた声である。
しかし、どことなく違和感があった。私の歯車を全て狂わせるような、そんな違和感があるのだ。
「ねぇ! そう思わない? マルク!」
「えぇ。とても美しいです」
「…………ッ!?」
私はそのミーナの言葉に声にならない叫び声を上げそうになる。
反射的に口を押さえてなければ声が出ていただろう。
しかし、すぐにそんな事実を覆い被さるほどの疑問が脳を埋め尽くす。
何故マルクが王宮に? 何故ミーナからマルクの名が? 何故マルクが………
ミーナののちに続いた声は確かにマルクだったのだ。
「それは花だけ?」
「いえ、もちろんミーナ様の方が美しいですよ」
「フフフ。それはよかったわ」
私はその二人のやり取りを聞いて吐き気がこみあげてくる。
こっそり茂みから二人の様子を覗くも、確かに私の知っている二人であった。
その事実に更に憎悪や憤怒が増す。
だが、その程度ではまだまだ足りないようだ。
「本当に姉がいなくなって清々したわね」
その言葉を聞いた瞬間、私の中の最後の繋がりが切れたたような気がした。
私は庭園の中を這いつくばりながらこっそり進む。
本当に元第一王女なのか自分でも疑いそうになる。
しかし、バレた時には一瞬で死刑だ。それだけは何としてでも避けなければならない。
時を遡ること一時間前
「ギルマ……テスラ様。流石に今日はもう日が暮れかけています。明日にしましょう」
「そうだな。明日の六時。冒険者ギルドに集合だ」
テスラのその言葉により私たちは解散になった。
しかし、サーシャはテスラに従順すぎではないだろうか。
テスラは別のことに言い換えると、サーシャに仕事をやめろと言っているようなものだ。
それを顔色変えず、更には嬉しそうに承諾するサーシャには本当に驚かされた。
そもそも、何故二人まで私に同行するのだろうか。
嬉しくないと言えば嘘になるが、正直二人には何の得もないはずだ。
だが、今私が一人で考えたところで結果が出るはずもない。
いずれ分かるだろうと結論付けて私も冒険者ギルドをあとにした。
解散理由としては日が暮れているだったが、まだ夕暮れ時。活動時間は残っている。
ということで私は唯一の心残りだったことを解消することにした。
そして今に至る
「最後に妹を見ておかないとね」
そう。私の唯一の心残りは妹についてだ。
第一王女の私の妹である第二王女のミーナは私と違っておしとやかな性格だった。
こんな私だからこそ平民として生きていける希望があるが、ミーナなら絶対に無理だろう。
それほど人見知りも強く、命令されたことしかしない従順な人形だった。
「見ておかないと安心できないもの」
私は今、王宮に潜入していた。
元王族である私だから知っている道はたくさんある。
そのため、警備兵にバレることなく王宮に侵入できているのだ。
何故、こんなリスクのあることをしたのか。
それは先ほども言った通り、ミーナが心配であるからだ。
私がいなくなればミーナを守る者はいない。
第一王女に昇格したら風当たりも強くなる。
ミーナは完全に孤独になってしまうわけだ。
「この時間なら……」
この夕暮れ時、必ずミーナは庭園に来る。
それも従者をつけずに一人でだ。
あのミーナが自分から提案してきたことであったため賛否もあったが認められた。
ということで私は今、庭園に侵入している。
そろそろミーナが来るはず時間なのだが…………
「わぁ! 今日も美しい花々!」
そんなことを考えていると一人の明るい少女の声が庭園に響く。
確かに聞き覚えのある声。何度も私の耳に入ってきた声である。
しかし、どことなく違和感があった。私の歯車を全て狂わせるような、そんな違和感があるのだ。
「ねぇ! そう思わない? マルク!」
「えぇ。とても美しいです」
「…………ッ!?」
私はそのミーナの言葉に声にならない叫び声を上げそうになる。
反射的に口を押さえてなければ声が出ていただろう。
しかし、すぐにそんな事実を覆い被さるほどの疑問が脳を埋め尽くす。
何故マルクが王宮に? 何故ミーナからマルクの名が? 何故マルクが………
ミーナののちに続いた声は確かにマルクだったのだ。
「それは花だけ?」
「いえ、もちろんミーナ様の方が美しいですよ」
「フフフ。それはよかったわ」
私はその二人のやり取りを聞いて吐き気がこみあげてくる。
こっそり茂みから二人の様子を覗くも、確かに私の知っている二人であった。
その事実に更に憎悪や憤怒が増す。
だが、その程度ではまだまだ足りないようだ。
「本当に姉がいなくなって清々したわね」
その言葉を聞いた瞬間、私の中の最後の繋がりが切れたたような気がした。
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