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3話 国外逃亡
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王の間から出た私は自分の部屋から最低限の荷物を持って王城を出る。
その時に執事や従者たちから心配そうな目で見られた。
今はもう外は真っ暗であり、今日から明日に変わろうとしている時間帯であるためだ。
しかし、そんな感情も明日には皆なくなっているのだろう。
もう、私は皆から慕われる第一王女ではなく、ただの平民なのだから。
「う~ん。これからどうしていこうかしら?」
私は大道を歩きながら頭を抱えて唸る。
流石は王城の大通りだ。この時間でも人の行き交いが多く、警備兵も循環をしていた。
そのため、私のように十七歳の未成年の少女が出歩いていても襲われるなんてことはない。
「あぁ! そうだわ!」
私はここで全てを解決してくれる案を思いついた。
現在、私が所持している財産は平民のような暮らしをすれば一年以上は余裕で足りるほどある。
私にとっては少量のお小遣いであるが、平民からしたら一年分の給料並みだ。
だが、逆に言うと一年分しかない。
今の私には身分を証明するものなどなく、正規の仕事にもつけない。
このままでは野垂れ死ぬのは目に見えている。
そこで私が思いついたのは、
「私は冒険者になるわ!」
私は道の真ん中で大きく叫んだ。
もちろん視線は私に集中するが、今の私には高揚感でそんなこと気にしている余裕はなかった。
冒険者になれば冒険者カードが自分の証明書になる。
また、郊外で魔獣を倒すので、この国に滞在し続ける理由もなくなる。
そして、私が鍛錬するほど稼ぐ金も増えていく。
これほど完璧な策を超える策は今の私には考えられなかった。
「私もあの英雄のように……」
私が冒険者になりたいと思った最大の理由は別にある。
それは生前の母が昔、私に英雄の絵本を読み聞かせてくれていたことを思い出したからだ。
あの時の高揚感は今にでも鮮明に思い出せる。
そして、それと同時に喪失感も…………
「ってことでまず、今日は近くの宿に泊まろうかしら」
流石にこの状況では寝たくても寝れないだろう。
だが、今は休息をとらなければならない。
今焦ったところで状況は変わらないはずだ。
冒険者ギルドは二十四時間営業であるため、今から向かうことが出来る。
しかし、それは明日の朝、早めに起きて行くことにしよう。
聞きたいことも話したいことも山ほどある。
特に魔族については知らないことが多いので、知識を深めたい。
人間全てから敵対視されている魔族。
魔獣と同類だと考えられているが、その二つの関係性などは実に興味深い。
「……あ、こういうところかしら」
私はマルクや従者たちにも貴族らしくないと言われたことがある。
私は貴族の面倒な風習や慣習が大嫌いだ。
効率の悪いことこの上ない。
そして、その代わりと言っては何だがほかの貴族と比べて平民や冒険者に興味がある。
それは平民の母と呼ばれた母の影響もあるのかもしれない。いや、母の影響が大きいだろう。
そのため、貴族と諍いになることも多々あった。
だが、そのたびに父が守ってくれた。
今思えばそれは私を守るのではなく、王族という肩書を守っていたのかもしれない。
そもそも、父は私を愛してくれたことなどあったのだろうか。
こんな状況になれば秒で切り捨てる男だ。もしかしたら今までの愛も全て偽物…………
「いや、今はそんなこと考えるのは止めましょう」
私は首を横に激しく振って脳裏に浮かんできた想像を消滅させる。
悪いことを考えれば悪いことしか起きない。これは私が十七年間で培ってきた人生論だ。
「今日はもう寝るしかないわね」
脳を無理矢理に働かせるのは非効率的だ。
今のように悪い考えしか浮かんでこない。やはり体は休息を求めているということだろう。
そんなことを考えながら私は貴族御用達の宿屋へと足を運んだのだった。
その時に執事や従者たちから心配そうな目で見られた。
今はもう外は真っ暗であり、今日から明日に変わろうとしている時間帯であるためだ。
しかし、そんな感情も明日には皆なくなっているのだろう。
もう、私は皆から慕われる第一王女ではなく、ただの平民なのだから。
「う~ん。これからどうしていこうかしら?」
私は大道を歩きながら頭を抱えて唸る。
流石は王城の大通りだ。この時間でも人の行き交いが多く、警備兵も循環をしていた。
そのため、私のように十七歳の未成年の少女が出歩いていても襲われるなんてことはない。
「あぁ! そうだわ!」
私はここで全てを解決してくれる案を思いついた。
現在、私が所持している財産は平民のような暮らしをすれば一年以上は余裕で足りるほどある。
私にとっては少量のお小遣いであるが、平民からしたら一年分の給料並みだ。
だが、逆に言うと一年分しかない。
今の私には身分を証明するものなどなく、正規の仕事にもつけない。
このままでは野垂れ死ぬのは目に見えている。
そこで私が思いついたのは、
「私は冒険者になるわ!」
私は道の真ん中で大きく叫んだ。
もちろん視線は私に集中するが、今の私には高揚感でそんなこと気にしている余裕はなかった。
冒険者になれば冒険者カードが自分の証明書になる。
また、郊外で魔獣を倒すので、この国に滞在し続ける理由もなくなる。
そして、私が鍛錬するほど稼ぐ金も増えていく。
これほど完璧な策を超える策は今の私には考えられなかった。
「私もあの英雄のように……」
私が冒険者になりたいと思った最大の理由は別にある。
それは生前の母が昔、私に英雄の絵本を読み聞かせてくれていたことを思い出したからだ。
あの時の高揚感は今にでも鮮明に思い出せる。
そして、それと同時に喪失感も…………
「ってことでまず、今日は近くの宿に泊まろうかしら」
流石にこの状況では寝たくても寝れないだろう。
だが、今は休息をとらなければならない。
今焦ったところで状況は変わらないはずだ。
冒険者ギルドは二十四時間営業であるため、今から向かうことが出来る。
しかし、それは明日の朝、早めに起きて行くことにしよう。
聞きたいことも話したいことも山ほどある。
特に魔族については知らないことが多いので、知識を深めたい。
人間全てから敵対視されている魔族。
魔獣と同類だと考えられているが、その二つの関係性などは実に興味深い。
「……あ、こういうところかしら」
私はマルクや従者たちにも貴族らしくないと言われたことがある。
私は貴族の面倒な風習や慣習が大嫌いだ。
効率の悪いことこの上ない。
そして、その代わりと言っては何だがほかの貴族と比べて平民や冒険者に興味がある。
それは平民の母と呼ばれた母の影響もあるのかもしれない。いや、母の影響が大きいだろう。
そのため、貴族と諍いになることも多々あった。
だが、そのたびに父が守ってくれた。
今思えばそれは私を守るのではなく、王族という肩書を守っていたのかもしれない。
そもそも、父は私を愛してくれたことなどあったのだろうか。
こんな状況になれば秒で切り捨てる男だ。もしかしたら今までの愛も全て偽物…………
「いや、今はそんなこと考えるのは止めましょう」
私は首を横に激しく振って脳裏に浮かんできた想像を消滅させる。
悪いことを考えれば悪いことしか起きない。これは私が十七年間で培ってきた人生論だ。
「今日はもう寝るしかないわね」
脳を無理矢理に働かせるのは非効率的だ。
今のように悪い考えしか浮かんでこない。やはり体は休息を求めているということだろう。
そんなことを考えながら私は貴族御用達の宿屋へと足を運んだのだった。
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