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二人目 魔術大会
魔術大会
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『皆さん、おはようございます! とうとう魔術大会の日がやってきましたぁ!』
魔術大会が開かれる会場にアナウンス音が響き渡る。
魔術大会は学生以外にも観客として参加することが可能なため、多くの国民がこぞって参加する。
そのため、この会場には現在、万近いほどの国民が席についていた。
『今回の学生の参加者はなんと! 五百人を超えています! そのため、まずは例年とは異なり、予選を行うことにしました』
例年の参加者は多くて二百人ほどである。
そのため、種目は一対一の魔術のぶつけ合いであった。
しかし五百人ともなると、それでは時間が足りなくなる。なので今年は例外として予選が行われることになったのだ。
何故急に参加者が増えたのか。それはやはり、マルクが参加するということが大きい。
マルクが参加するのであれば、王族たちも見に来る。そこで自分の力をアピールするチャンスというわけだ。
『予選では五ブロックに分かれてもらい、百人から五人を選抜してもらいます!』
魔術大会には何十人もの元王宮魔導士が救護として参加している。
たとえ死ぬような攻撃を受けたとしても命の安全は保障されるだろう。
「はぁ。とうとうやってきたわね」
私はそんなアナウンスを聞きながら大きなため息を吐く。
今日の私はエリスではなく、破壊者なのだ。
いつもの認識阻害のフードをかぶって私は一人、待合室でベンチに腰かけていた。
アレンやマルク、キールの三人は予選のブロックが違うためこの場にはいない。
どうやら三人とも上手く分かれたらしい。予選で誰かが落ちるなんてことはなさそうだ。
「あれぇ? こりゃあ本物の破壊者様かぁ?」
そして、この場には私と同じブロックの生徒が多く集まっていた。
学院はカースト制度を唯一取り入れていない。そのため、冒険職をかじっている平民もいるのだ。
「あのアレンと並ぶ冒険者と聞いたからどんな奴かと思えばひょろひょろじゃねぇか!」
「……………………」
男子生徒は私を見てあっはっはと下劣な笑みを浮かべる。
破壊者はそもそも公の場に出たことがない。一般人からしたら噂でしか聞かないような存在なのだ。
そんな存在が目の前にいる。少しぐらい興奮するのは私も分かる。
「ったく! こんな奴のどこが破壊者なんだよ!」
だが、この態度は流石に私でも癇に障りそうだ。
「あれぇ? 何も言い返せないのかなぁ?」
「……………………」
しかし、今は待ち時間。手を出せば問題になること間違いなしだ。
私は少し息を荒れさせながらも我慢をする。
そんな無反応な私を見て彼は面白くなさそうな表情をした。
そして、ゆっくりと私のフードに手をかけようとする。
「ちっ! つまんねぇな! さっさとその面見せ――」
「――触るな」
私は彼にしか聞こえない声量で口にする。
もちろんその言葉は殺気増し増しだ。
「…………ッ! ま、まぁ? 皆が見てる予選で見せた方がいいよな」
「はぁ…………」
男子生徒はすぐに私の視界から離れようと言い訳をしながら下がっていった。
殺戮の鉄鍋がセットにつかなくてよかったと私はこっそり安堵する。
それと同時にこれから先のことに思いやられるのだった。
(無事に魔術大会が終わればいいけど…………)
****************************
久々の更新です! 皆さんお待たせして申し訳ございませんでした!
まだ、ファンタジー大賞が終わっていないのでたまにしか更新は出来ませんが、ちょくちょく進めていこうと思ってます!
ちなみにファンタジー大賞用の新作は8月22日の午前六時に投稿する予定なので、是非一話だけでも読んでみてください!
受賞して書籍化するには皆さんのお力が必要なのでぜひ読んでいただけると嬉しいです!
魔術大会が開かれる会場にアナウンス音が響き渡る。
魔術大会は学生以外にも観客として参加することが可能なため、多くの国民がこぞって参加する。
そのため、この会場には現在、万近いほどの国民が席についていた。
『今回の学生の参加者はなんと! 五百人を超えています! そのため、まずは例年とは異なり、予選を行うことにしました』
例年の参加者は多くて二百人ほどである。
そのため、種目は一対一の魔術のぶつけ合いであった。
しかし五百人ともなると、それでは時間が足りなくなる。なので今年は例外として予選が行われることになったのだ。
何故急に参加者が増えたのか。それはやはり、マルクが参加するということが大きい。
マルクが参加するのであれば、王族たちも見に来る。そこで自分の力をアピールするチャンスというわけだ。
『予選では五ブロックに分かれてもらい、百人から五人を選抜してもらいます!』
魔術大会には何十人もの元王宮魔導士が救護として参加している。
たとえ死ぬような攻撃を受けたとしても命の安全は保障されるだろう。
「はぁ。とうとうやってきたわね」
私はそんなアナウンスを聞きながら大きなため息を吐く。
今日の私はエリスではなく、破壊者なのだ。
いつもの認識阻害のフードをかぶって私は一人、待合室でベンチに腰かけていた。
アレンやマルク、キールの三人は予選のブロックが違うためこの場にはいない。
どうやら三人とも上手く分かれたらしい。予選で誰かが落ちるなんてことはなさそうだ。
「あれぇ? こりゃあ本物の破壊者様かぁ?」
そして、この場には私と同じブロックの生徒が多く集まっていた。
学院はカースト制度を唯一取り入れていない。そのため、冒険職をかじっている平民もいるのだ。
「あのアレンと並ぶ冒険者と聞いたからどんな奴かと思えばひょろひょろじゃねぇか!」
「……………………」
男子生徒は私を見てあっはっはと下劣な笑みを浮かべる。
破壊者はそもそも公の場に出たことがない。一般人からしたら噂でしか聞かないような存在なのだ。
そんな存在が目の前にいる。少しぐらい興奮するのは私も分かる。
「ったく! こんな奴のどこが破壊者なんだよ!」
だが、この態度は流石に私でも癇に障りそうだ。
「あれぇ? 何も言い返せないのかなぁ?」
「……………………」
しかし、今は待ち時間。手を出せば問題になること間違いなしだ。
私は少し息を荒れさせながらも我慢をする。
そんな無反応な私を見て彼は面白くなさそうな表情をした。
そして、ゆっくりと私のフードに手をかけようとする。
「ちっ! つまんねぇな! さっさとその面見せ――」
「――触るな」
私は彼にしか聞こえない声量で口にする。
もちろんその言葉は殺気増し増しだ。
「…………ッ! ま、まぁ? 皆が見てる予選で見せた方がいいよな」
「はぁ…………」
男子生徒はすぐに私の視界から離れようと言い訳をしながら下がっていった。
殺戮の鉄鍋がセットにつかなくてよかったと私はこっそり安堵する。
それと同時にこれから先のことに思いやられるのだった。
(無事に魔術大会が終わればいいけど…………)
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久々の更新です! 皆さんお待たせして申し訳ございませんでした!
まだ、ファンタジー大賞が終わっていないのでたまにしか更新は出来ませんが、ちょくちょく進めていこうと思ってます!
ちなみにファンタジー大賞用の新作は8月22日の午前六時に投稿する予定なので、是非一話だけでも読んでみてください!
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是非、これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
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