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二人目 魔術大会
しょんぼり
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私たちは学院の訓練場でだらだらとしていた。
「「「……………………はぁ~」」」
アレン、キール、マルクの三人は大きなため息を吐いた。
ダンジョンの70階層に挑戦して今日で一週間が経った。
今まで三人は一度たりともハデスに攻撃を加えることが出来ていない。
いつも私に連れて帰られる日々を送っていた三人は、精神的に辛い状況に陥っていたのだ。
しかし、それも今日で終わる。
「来週は魔術大会ですね~」
そう。来週には魔法学院の中でも人気のある行事。魔術大会が開かれるのだ。
そのため、ここで三人を追い詰めて鍛えるのはどうかと思い、ハデスと話し合って二週間ほど攻略は中止となったのだ。
「そうだな。もちろん俺が優勝するだろうけど」
「ん? 今のは聞き捨てならないね」
「そうですね。なんかエリス様に良いところを見せようとして入学してきたなんて噂もありましたけど?」
先ほどまでぐったりしていたはずの三人は視線をバチバチとぶつけ合っている。
仲がいいことは何よりだ。
私はそんな風に思いながら三人の仲睦まじい様子を見ていた。
そう。この時の私は魔術大会を客観的に見ていたのだ。
私は三人を応援するだけだと…………そう思っていた。
「結局、エリス様も参加するんですね」
「ってかエリスに負ける俺らってダサくね?」
「いや、エリスが出たら試合にならないよね?」
「な、なんかごめんね…………?」
私は三人の重たい視線を受け、ただ謝ることしか出来なかった。
私だって魔術大会など出たくなかったのだ。
モンスターのようにストレスを発散できるわけでもなく、ちょこまかと魔法を放つだけの試合をしたいなどと思うはずもない。
しかし、
「まさか父上が直々に冒険者ギルドに頼み込むとは思ってもいなかったわ」
私は頭を抱えながら口にする。
私が魔術大会に出る。それには少し語弊があるのだ。
私ではなく破壊者が試合に出る。これが事実である。
それは私の父がどうにか学院の魔術大会にゲストとして参加させてほしいと冒険者ギルドに頼み込んだためである。
父も王族の次に権力を持つ人間。冒険者ギルドも逆らうことが出来ず、私にお願いしてきた。
そして、父は娘を魔術大会に出すという結果が残ったのだ。
どうやら父は本気で破壊者にぞっこんのようだ。
特にアレンと破壊者の戦いを見てみたようで、当日はわざわざ足を運ぶらしい。
「くっ! エリスに良いところを見せる作戦が」
「これなら僕はアシストにまわって、好感度を上げた方がいいのでは?」
「せっかくエリスに凄い魔法を見せられると思ってたのに…………」
三人とも私には聞こえない声量でぶつぶつと呟いた。
各個人は私の参戦に項垂れている。まぁこの中で私が一番強いのは自分でも理解している。
しかし、私は空気の読める女だ。大事なところではわざと負けるなんてこともできる。
絶対に三人には恥はかかせないようにしよう。心の中でそう誓ったのだった。
「じゃあ練習するわよ! 立って立って!」
私はだらだらとしていた三人を立たせる。
魔術大会まではあと一週間もある。それまでに魔術大会ではなく、ハデスと渡り合える力を確保しておきたいのだ。
私は【殺戮の鉄鍋】を行使して、右手に巨大な漆黒の鉄鍋を持つ。
「じゃあ私が攻撃するからみんなは頑張って防いでね!」
「「「…………は?」」」
こうして私たちの特訓が始まったのだった。
*******************
申し訳ございません。
この更新で一度更新を停止しようと思います。
理由としては来月開催のファンタジー大賞に向けて書いている新作に全力を注ぎたいからです。
僕は現在高1で、高校生の間に書籍化。そんな目標を掲げて毎日頑張って執筆しています。
そのため、このファンタジー大賞で結果を残し、書籍化を目指したい。というのが僕の現段階の目標です。
新作を二作用意するつもりで、そのうちの一作で百位以内を目指して頑張ろうと思います!
もし、よろしければその際には投票やお気に入り、感想などで応援していただけると嬉しいです!
何卒ご協力お願いします!
「「「……………………はぁ~」」」
アレン、キール、マルクの三人は大きなため息を吐いた。
ダンジョンの70階層に挑戦して今日で一週間が経った。
今まで三人は一度たりともハデスに攻撃を加えることが出来ていない。
いつも私に連れて帰られる日々を送っていた三人は、精神的に辛い状況に陥っていたのだ。
しかし、それも今日で終わる。
「来週は魔術大会ですね~」
そう。来週には魔法学院の中でも人気のある行事。魔術大会が開かれるのだ。
そのため、ここで三人を追い詰めて鍛えるのはどうかと思い、ハデスと話し合って二週間ほど攻略は中止となったのだ。
「そうだな。もちろん俺が優勝するだろうけど」
「ん? 今のは聞き捨てならないね」
「そうですね。なんかエリス様に良いところを見せようとして入学してきたなんて噂もありましたけど?」
先ほどまでぐったりしていたはずの三人は視線をバチバチとぶつけ合っている。
仲がいいことは何よりだ。
私はそんな風に思いながら三人の仲睦まじい様子を見ていた。
そう。この時の私は魔術大会を客観的に見ていたのだ。
私は三人を応援するだけだと…………そう思っていた。
「結局、エリス様も参加するんですね」
「ってかエリスに負ける俺らってダサくね?」
「いや、エリスが出たら試合にならないよね?」
「な、なんかごめんね…………?」
私は三人の重たい視線を受け、ただ謝ることしか出来なかった。
私だって魔術大会など出たくなかったのだ。
モンスターのようにストレスを発散できるわけでもなく、ちょこまかと魔法を放つだけの試合をしたいなどと思うはずもない。
しかし、
「まさか父上が直々に冒険者ギルドに頼み込むとは思ってもいなかったわ」
私は頭を抱えながら口にする。
私が魔術大会に出る。それには少し語弊があるのだ。
私ではなく破壊者が試合に出る。これが事実である。
それは私の父がどうにか学院の魔術大会にゲストとして参加させてほしいと冒険者ギルドに頼み込んだためである。
父も王族の次に権力を持つ人間。冒険者ギルドも逆らうことが出来ず、私にお願いしてきた。
そして、父は娘を魔術大会に出すという結果が残ったのだ。
どうやら父は本気で破壊者にぞっこんのようだ。
特にアレンと破壊者の戦いを見てみたようで、当日はわざわざ足を運ぶらしい。
「くっ! エリスに良いところを見せる作戦が」
「これなら僕はアシストにまわって、好感度を上げた方がいいのでは?」
「せっかくエリスに凄い魔法を見せられると思ってたのに…………」
三人とも私には聞こえない声量でぶつぶつと呟いた。
各個人は私の参戦に項垂れている。まぁこの中で私が一番強いのは自分でも理解している。
しかし、私は空気の読める女だ。大事なところではわざと負けるなんてこともできる。
絶対に三人には恥はかかせないようにしよう。心の中でそう誓ったのだった。
「じゃあ練習するわよ! 立って立って!」
私はだらだらとしていた三人を立たせる。
魔術大会まではあと一週間もある。それまでに魔術大会ではなく、ハデスと渡り合える力を確保しておきたいのだ。
私は【殺戮の鉄鍋】を行使して、右手に巨大な漆黒の鉄鍋を持つ。
「じゃあ私が攻撃するからみんなは頑張って防いでね!」
「「「…………は?」」」
こうして私たちの特訓が始まったのだった。
*******************
申し訳ございません。
この更新で一度更新を停止しようと思います。
理由としては来月開催のファンタジー大賞に向けて書いている新作に全力を注ぎたいからです。
僕は現在高1で、高校生の間に書籍化。そんな目標を掲げて毎日頑張って執筆しています。
そのため、このファンタジー大賞で結果を残し、書籍化を目指したい。というのが僕の現段階の目標です。
新作を二作用意するつもりで、そのうちの一作で百位以内を目指して頑張ろうと思います!
もし、よろしければその際には投票やお気に入り、感想などで応援していただけると嬉しいです!
何卒ご協力お願いします!
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