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一人目 つよつよ幼馴染
一撃
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「【テレポート】!」
キールは一瞬で私の目の前から姿を消す。
しかし、この転移魔法はなかなかのチートスキルではなかろうか。
一瞬で姿を消し、どこにでも転移できるとなると便利どころの話ではない。
まぁ連続行使が出来ないことを願うしかあるまい。
「…………ッ!」
後ろから殺気を感じた私は両手で握っていた【殺戮の鉄鍋】を振り回す。
カキンッ!
「…………なッ!」
キールの斬撃と私の【殺戮の鉄鍋】が交錯した。
その一撃で終わると思っていたのだろう。
キールは目を大きく見開いて反応した私を見る。
確かにあれは不可視の一撃に近い。
一瞬で背後に転移されたら多くの者が一撃でやられてしまうだろう。
キールは今のはたまたまだと思っているか、未だに余裕の笑みを浮かべて私から再度、距離をとった。
「じゃあ、次は私の番だわ」
私は片手に【殺戮の鉄鍋】を持ち直し、まるで片手剣のように【殺戮の鉄鍋】を構える。
その様子にキールは笑いをこらえるので必死なようだ。
まぁ私も本気の戦いで相手が鉄鍋を構えていたら困るだろう。
「…………ふぅ」
私は一度深呼吸をする。
やはり私の予想は当たっていたようでキールがまた【テレポート】を行使する様子はない。
どうやら私の攻撃を受けてくれるようだ。
なら、思い切り攻撃しようではないか。
流石のキールも少しは戦闘経験があるようだ。危ない攻撃は避けてくれるだろう。
呼吸を落ち着けた私はキールを瞳孔にとらえる。
「…………せやっ!」
私は地をえぐるように蹴り、キールに向かって疾走した。
まるで風と一体化したように私の身体は軽くなり、加速する。
「…………はぁ!?」
私は数百メートルの距離を数秒で詰めた。
その速さにキールは声にならないような奇声を上げる。
そして、私はキールの腹めがけてバットを振るように【殺戮の鉄鍋】を振る。
綺麗にキールを捕らえた【殺戮の鉄鍋】を私はそのまま振り切った。
「うっ! あああああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「よし! ホームランかな!」
キールは絶叫しながら空を舞うようにして飛ばされる。
私は星のようにくるくると飛んでいくキールを見てガッツポーズをした。
まさか人間がここまで飛ぶとは思っていなかったため、少し嬉くなってしまう。
あ、サイコパスではないから安心してね?
キールも空間魔導士の極致にいる男だ。
どれだけ飛ばされようと、宇宙に行こうと転移魔法で戻って…………
「…………あ、ああああああああぁぁぁ!?」
私は【殺戮の鉄鍋】を片手に花畑を疾走する。
そうだ。私はキールが【テレポート】を行使できなかったから攻撃を与えられたのだ。
ということは、キールは飛ばされ続ける。
そして、いずれ地面に落下死するということだ。
「うわあああああぁぁぁぁ!?」
「キールぅぅぅぅぅ!」
私は飛ばされ続けるキールを追いかけるように走り続けたのだった。
まるで一つの流れ星を追う少女のように。
後々、地球外生命体が市民街を走っていたと噂になっていたのはこの時の私は知らない。
キールは一瞬で私の目の前から姿を消す。
しかし、この転移魔法はなかなかのチートスキルではなかろうか。
一瞬で姿を消し、どこにでも転移できるとなると便利どころの話ではない。
まぁ連続行使が出来ないことを願うしかあるまい。
「…………ッ!」
後ろから殺気を感じた私は両手で握っていた【殺戮の鉄鍋】を振り回す。
カキンッ!
「…………なッ!」
キールの斬撃と私の【殺戮の鉄鍋】が交錯した。
その一撃で終わると思っていたのだろう。
キールは目を大きく見開いて反応した私を見る。
確かにあれは不可視の一撃に近い。
一瞬で背後に転移されたら多くの者が一撃でやられてしまうだろう。
キールは今のはたまたまだと思っているか、未だに余裕の笑みを浮かべて私から再度、距離をとった。
「じゃあ、次は私の番だわ」
私は片手に【殺戮の鉄鍋】を持ち直し、まるで片手剣のように【殺戮の鉄鍋】を構える。
その様子にキールは笑いをこらえるので必死なようだ。
まぁ私も本気の戦いで相手が鉄鍋を構えていたら困るだろう。
「…………ふぅ」
私は一度深呼吸をする。
やはり私の予想は当たっていたようでキールがまた【テレポート】を行使する様子はない。
どうやら私の攻撃を受けてくれるようだ。
なら、思い切り攻撃しようではないか。
流石のキールも少しは戦闘経験があるようだ。危ない攻撃は避けてくれるだろう。
呼吸を落ち着けた私はキールを瞳孔にとらえる。
「…………せやっ!」
私は地をえぐるように蹴り、キールに向かって疾走した。
まるで風と一体化したように私の身体は軽くなり、加速する。
「…………はぁ!?」
私は数百メートルの距離を数秒で詰めた。
その速さにキールは声にならないような奇声を上げる。
そして、私はキールの腹めがけてバットを振るように【殺戮の鉄鍋】を振る。
綺麗にキールを捕らえた【殺戮の鉄鍋】を私はそのまま振り切った。
「うっ! あああああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「よし! ホームランかな!」
キールは絶叫しながら空を舞うようにして飛ばされる。
私は星のようにくるくると飛んでいくキールを見てガッツポーズをした。
まさか人間がここまで飛ぶとは思っていなかったため、少し嬉くなってしまう。
あ、サイコパスではないから安心してね?
キールも空間魔導士の極致にいる男だ。
どれだけ飛ばされようと、宇宙に行こうと転移魔法で戻って…………
「…………あ、ああああああああぁぁぁ!?」
私は【殺戮の鉄鍋】を片手に花畑を疾走する。
そうだ。私はキールが【テレポート】を行使できなかったから攻撃を与えられたのだ。
ということは、キールは飛ばされ続ける。
そして、いずれ地面に落下死するということだ。
「うわあああああぁぁぁぁ!?」
「キールぅぅぅぅぅ!」
私は飛ばされ続けるキールを追いかけるように走り続けたのだった。
まるで一つの流れ星を追う少女のように。
後々、地球外生命体が市民街を走っていたと噂になっていたのはこの時の私は知らない。
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