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3章 養い対決
24話 一戦目
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食堂を後にした俺は、一直線に自室へと向かった。
エリ―ナが俺を探すとなると、場所も絞られてくる。
「やっと見つけた。エリ―ナ」
「あ、エル様!」
予想通り、エリ―ナは俺の自室の前で待機していた。
俺を見つけるとエリ―ナはパッと表情を明るくする。
「フィーリアのこと聞きましたよ! 隠匿結界を再構築したらしいじゃないですか!」
「うん、アルは何か言ってた? もしかして怒ったりは?」
「そりゃあもう、流石はエルだの、流石は勇者だの、ずっと褒めてましたよ!」
エリ―ナもそれはそれは嬉しそうに話す。
俺は今まで、アルやエリ―ナたちに何もかももらってばかりだったから。
少しでも恩返し出来たのではないだろうか。
「それで俺を探してたってことは……」
「そうです! 今日は養い対決の本番ですからね! 私が先行になったので、今日は私の番です!」
エリ―ナは意気揚々と言った。
前日から入念に準備をしてきたのだろう。傍から見てもそのやる気はビシビシと伝わる。
だが、残念なことに彼女にはどうしても先に言っておかなければならないことがあった。
「いや、それなんだけど実は――」
「ってことで時間がもったいない! どんどんやっていきますよ!」
しかし、俺の言葉はエリ―ナに遮られてしまう。
そのまま彼女に腕を引っ張られるように、後をついていったのだった。
◆
その後、すぐに目的地には辿りついた。
「もしかしてここって……」
「はい。私の自室です……養うなら自分の部屋が正しいのかなと……」
フィーリアは少し表情を赤く染めながら言った。
そもそも養うという前提が間違っているのだが、この状況でツッコミを入れるのは野暮だろう。
「な、なんと言うか凄いな」
初めて見る女性らしさのある部屋に僕は戸惑いを隠せない。
もちろん、今まで聖女のレーナや先日のフィーリアなど、女性の部屋に入ったことはある。
しかし、二人とも自分の仕事関係の物しか置いていなかった。要するに、さほど自分の部屋と変わりなかったのだ。
「そう言ってもらえると昨日頑張って掃除した甲斐がありました」
勝手にフィーリアの部屋は落ち着きのある大人びた部屋だと思っていたのだが、完全に的外れだった。
全体的に白色とピンクで構成された部屋。二人ぐらいが座れるソファーに、机と椅子が一つずつ。
部屋が大きくはないため、物量は少ないが、どれも可愛げのある家具ばかりだった。
部屋の大部分の面積を占めているベッドはレースカーテンのようなもので囲まれており、どこか高級感がある。
そして何より、そのベッドの上にあるぬいぐるみの数々。毎日囲まれて寝ているんだろう。
「エル様。朝食はもう済みました?」
「いや、まだだな」
「なら、今から作りますね。そちらのソファーででもくつろいでいてください」
俺をソファーに座らせ、エリ―ナはキッチンへと向かった。
壁に掛けてあったエプロンを着て、慣れた手つきで調理を進めていく。
そんな彼女を横目に、誰にも聞こえない声量で俺は呟いた。
「これが夢じゃないんだよな……」
三日前までは、魔族を殺し、人間界を守る。そんな使命感に駆られて愚行を繰り返していた。
血を浴び、命のやり取りをする毎日。なのに今はどうだろうか。
「ふんふんふ~ん」
エリ―ナは楽しそうに鼻歌を歌いながら野菜を刻んでいた。
魔族と接するだけではなく、今では自室に入れてもらったりもしている。
このような未来は神でさえも想像は出来ないだろう。俺も未だに実感ないし。
そんなことを考えていると、あっという間に時間は過ぎていった。
エリ―ナが俺を探すとなると、場所も絞られてくる。
「やっと見つけた。エリ―ナ」
「あ、エル様!」
予想通り、エリ―ナは俺の自室の前で待機していた。
俺を見つけるとエリ―ナはパッと表情を明るくする。
「フィーリアのこと聞きましたよ! 隠匿結界を再構築したらしいじゃないですか!」
「うん、アルは何か言ってた? もしかして怒ったりは?」
「そりゃあもう、流石はエルだの、流石は勇者だの、ずっと褒めてましたよ!」
エリ―ナもそれはそれは嬉しそうに話す。
俺は今まで、アルやエリ―ナたちに何もかももらってばかりだったから。
少しでも恩返し出来たのではないだろうか。
「それで俺を探してたってことは……」
「そうです! 今日は養い対決の本番ですからね! 私が先行になったので、今日は私の番です!」
エリ―ナは意気揚々と言った。
前日から入念に準備をしてきたのだろう。傍から見てもそのやる気はビシビシと伝わる。
だが、残念なことに彼女にはどうしても先に言っておかなければならないことがあった。
「いや、それなんだけど実は――」
「ってことで時間がもったいない! どんどんやっていきますよ!」
しかし、俺の言葉はエリ―ナに遮られてしまう。
そのまま彼女に腕を引っ張られるように、後をついていったのだった。
◆
その後、すぐに目的地には辿りついた。
「もしかしてここって……」
「はい。私の自室です……養うなら自分の部屋が正しいのかなと……」
フィーリアは少し表情を赤く染めながら言った。
そもそも養うという前提が間違っているのだが、この状況でツッコミを入れるのは野暮だろう。
「な、なんと言うか凄いな」
初めて見る女性らしさのある部屋に僕は戸惑いを隠せない。
もちろん、今まで聖女のレーナや先日のフィーリアなど、女性の部屋に入ったことはある。
しかし、二人とも自分の仕事関係の物しか置いていなかった。要するに、さほど自分の部屋と変わりなかったのだ。
「そう言ってもらえると昨日頑張って掃除した甲斐がありました」
勝手にフィーリアの部屋は落ち着きのある大人びた部屋だと思っていたのだが、完全に的外れだった。
全体的に白色とピンクで構成された部屋。二人ぐらいが座れるソファーに、机と椅子が一つずつ。
部屋が大きくはないため、物量は少ないが、どれも可愛げのある家具ばかりだった。
部屋の大部分の面積を占めているベッドはレースカーテンのようなもので囲まれており、どこか高級感がある。
そして何より、そのベッドの上にあるぬいぐるみの数々。毎日囲まれて寝ているんだろう。
「エル様。朝食はもう済みました?」
「いや、まだだな」
「なら、今から作りますね。そちらのソファーででもくつろいでいてください」
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そんな彼女を横目に、誰にも聞こえない声量で俺は呟いた。
「これが夢じゃないんだよな……」
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「ふんふんふ~ん」
エリ―ナは楽しそうに鼻歌を歌いながら野菜を刻んでいた。
魔族と接するだけではなく、今では自室に入れてもらったりもしている。
このような未来は神でさえも想像は出来ないだろう。俺も未だに実感ないし。
そんなことを考えていると、あっという間に時間は過ぎていった。
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