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27話 目標
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「じゃあ早速、目標をたてましょう!」
シアンはギルド長らしく真剣な面持ちで話を切り出した。
お菓子を食べてだらだらと談笑していたらすでに昼過ぎだ。
そもそも今日は方針を決めるために集まっているのである。
「先ほどアリアさんも言っていたように一番大きな目標はギルド順位一位です」
ギルドには順位がつけられている。
このギルドは現在、最下位。順位は半年ごとに行使される。
大まかな判断材料としてはクエストの達成率。ダンジョンの攻略層。その他の活動など諸々だ。
「そのためにまず小さな目標を立てていかなければならないのですが、アリアさん。どうしますか?」
今の原初の剣には二つの選択肢がある。
一つ目・クエストの達成。
エギンも援助してくれると言っているので多くのクエストを受注することが可能だろう。
まだ私の教え子や関わった人はいる。私がここで【教育者】だと明かせばクエストを寄こしてくれる人もいるかもしれない。
二つ目・ダンジョン攻略。
これに関しては完全に実力主義の世界だ。
もしダンジョンに潜るのであればリッド独りでは難しいため、私も一緒に潜ることになるだろう。
見ていて分かるがリッドは凄く素直でいい子だ。私が教育すればそこそこの冒険者にはさせてあげることが出来るだろう。
「う~ん。ダンジョン攻略のほうがいいかもしれないわね」
「ってきり僕はクエストを主にするのだと思っていました」
予想外だったのかシアンは少し驚いた表情をする。
もちろん、クエストの方が効率もよく、目標達成への近道へと言えるだろう。
だが、一つ目を選んではいけない、そんな直感がしたのだ。
「ちょっと嫌な予感がするのよね。一つ目は」
「嫌な予感?」
「うん。何かもやもやするのよね。まぁリッドを早く成長させるためにはダンジョン攻略の方が手っ取り早し」
「ダンジョンに行けるんですか!? 楽しみっす!」
リッドは目をキラキラと輝かせている。
ダンジョンはどの英雄譚にも出てくる舞台だ。彼が楽しみにしていないわけがない。
「そのためにはまず訓練しないといけないわね」
今のリッドには知識も実力もない。
ダンジョンに潜っても命を無下に扱うだけになる。
「私とリッドは一週間訓練をするわ。その間に二人にしてもらいたいことがあるの」
今の原初の剣は補強してどうにか補っている状態である。
この状態も長くは続かないはずだ。そのために今すぐ地盤を固める必要がある。
「なんですか? 僕に出来ることなら何でも言ってください!」
「弟ばっかり活躍させてられないもん。私も頑張るよ!」
二人は何でも言ってと言わんばかりに意欲を見せる。
そんな二人を見てホッとした私は告げた。
「ミーシャはギルドで待機していてほしい。もしかしたら来るかもしれないから」
「来る?」
「まぁ確証もないし、誰とは言わないけど、客人が来るかもしれないのよ」
「分かった。任せて!」
ミーシャは豊胸な胸を張り、自信満々に答える。
まぁこれに関してはとても可能性が低い。だが、もし来るようなことがあった時、関係者が誰もいないとなると大問題なのだ。
「シアンには少し向かってほしい場所があるの」
「アリアさんが言うならどこにでも行きますよ! どこですか?」
ここまでやる気であれば私がどんなことを口にしようが頷いてくれるだろう。
私は特にためることなく、ド直球に言った。
「冒険者学院の最上階層、『円卓の会議所』に行ってきて」
「へぇ。円卓の会議所ですか。僕言ったことないん………え? 円卓の会議所?」
「……え?」
少し遅れてシアンは言葉を止める。
そんな彼と同じように聞いていたミーシャも固まった。
リッドに関しては知らないのか二人の反応を見て首を傾げているだけである。
「円卓の会議所にいる三人に会ってきてほしいの」
「そ、それってまさか……」
シアンは左右に首をゆっくりと振り、否定してと言わんばかりの表情で訴えてくる。
もちろん恐れるのも分かる。なにせ最強と謳われる三人なのだから。
しかし、これから三人の助力は必須。助力を乞うなら私ではなくギルド長のシアンが行かなくてはならないのだ。
私は苦笑を浮かべながら答えた。
「至極の三剣がいる場所よ。三人と関わりを持っていてほしいの」
「あ、オワッタ…………」
その瞬間、シアンの目から光が失われたのだった。
シアンはギルド長らしく真剣な面持ちで話を切り出した。
お菓子を食べてだらだらと談笑していたらすでに昼過ぎだ。
そもそも今日は方針を決めるために集まっているのである。
「先ほどアリアさんも言っていたように一番大きな目標はギルド順位一位です」
ギルドには順位がつけられている。
このギルドは現在、最下位。順位は半年ごとに行使される。
大まかな判断材料としてはクエストの達成率。ダンジョンの攻略層。その他の活動など諸々だ。
「そのためにまず小さな目標を立てていかなければならないのですが、アリアさん。どうしますか?」
今の原初の剣には二つの選択肢がある。
一つ目・クエストの達成。
エギンも援助してくれると言っているので多くのクエストを受注することが可能だろう。
まだ私の教え子や関わった人はいる。私がここで【教育者】だと明かせばクエストを寄こしてくれる人もいるかもしれない。
二つ目・ダンジョン攻略。
これに関しては完全に実力主義の世界だ。
もしダンジョンに潜るのであればリッド独りでは難しいため、私も一緒に潜ることになるだろう。
見ていて分かるがリッドは凄く素直でいい子だ。私が教育すればそこそこの冒険者にはさせてあげることが出来るだろう。
「う~ん。ダンジョン攻略のほうがいいかもしれないわね」
「ってきり僕はクエストを主にするのだと思っていました」
予想外だったのかシアンは少し驚いた表情をする。
もちろん、クエストの方が効率もよく、目標達成への近道へと言えるだろう。
だが、一つ目を選んではいけない、そんな直感がしたのだ。
「ちょっと嫌な予感がするのよね。一つ目は」
「嫌な予感?」
「うん。何かもやもやするのよね。まぁリッドを早く成長させるためにはダンジョン攻略の方が手っ取り早し」
「ダンジョンに行けるんですか!? 楽しみっす!」
リッドは目をキラキラと輝かせている。
ダンジョンはどの英雄譚にも出てくる舞台だ。彼が楽しみにしていないわけがない。
「そのためにはまず訓練しないといけないわね」
今のリッドには知識も実力もない。
ダンジョンに潜っても命を無下に扱うだけになる。
「私とリッドは一週間訓練をするわ。その間に二人にしてもらいたいことがあるの」
今の原初の剣は補強してどうにか補っている状態である。
この状態も長くは続かないはずだ。そのために今すぐ地盤を固める必要がある。
「なんですか? 僕に出来ることなら何でも言ってください!」
「弟ばっかり活躍させてられないもん。私も頑張るよ!」
二人は何でも言ってと言わんばかりに意欲を見せる。
そんな二人を見てホッとした私は告げた。
「ミーシャはギルドで待機していてほしい。もしかしたら来るかもしれないから」
「来る?」
「まぁ確証もないし、誰とは言わないけど、客人が来るかもしれないのよ」
「分かった。任せて!」
ミーシャは豊胸な胸を張り、自信満々に答える。
まぁこれに関してはとても可能性が低い。だが、もし来るようなことがあった時、関係者が誰もいないとなると大問題なのだ。
「シアンには少し向かってほしい場所があるの」
「アリアさんが言うならどこにでも行きますよ! どこですか?」
ここまでやる気であれば私がどんなことを口にしようが頷いてくれるだろう。
私は特にためることなく、ド直球に言った。
「冒険者学院の最上階層、『円卓の会議所』に行ってきて」
「へぇ。円卓の会議所ですか。僕言ったことないん………え? 円卓の会議所?」
「……え?」
少し遅れてシアンは言葉を止める。
そんな彼と同じように聞いていたミーシャも固まった。
リッドに関しては知らないのか二人の反応を見て首を傾げているだけである。
「円卓の会議所にいる三人に会ってきてほしいの」
「そ、それってまさか……」
シアンは左右に首をゆっくりと振り、否定してと言わんばかりの表情で訴えてくる。
もちろん恐れるのも分かる。なにせ最強と謳われる三人なのだから。
しかし、これから三人の助力は必須。助力を乞うなら私ではなくギルド長のシアンが行かなくてはならないのだ。
私は苦笑を浮かべながら答えた。
「至極の三剣がいる場所よ。三人と関わりを持っていてほしいの」
「あ、オワッタ…………」
その瞬間、シアンの目から光が失われたのだった。
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