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四章 魔術大会
エルフ
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通常であれば三対三で戦うのが無難である。
一対三など自殺願望に近い。それも決勝であればなおさらだ。
しかし、ランテにドラコをぶつけるためには俺たちが他のパーティーと戦わなければならない。
もし、ランテのパーティーに俺たち、全員が行っていれば漁夫の利をされて終わりだ。
じゃあ、他のパーティーたちが戦いあっているのを見守り、最後のパーティーと戦えばいいのでは?
エルフリアにはそう言われたが俺はその提案を受け入れなかった。
それでは、殻は破れない。
ドラコが兄という憧憬を超えるための足掛けにはならない。
だから俺がゲータのパーティー。そして、エルフリアが残り二パーティーを引き受けなければならないのである。
実際、魔術大会が始まるまでは楽勝だと考えていた。
そもそも俺は幹部など余裕で超える実力を持っている。
敵わないのは魔王か、それと四天王ぐらいだろう。
だが、それも誤算だった。
完全にランテもゲータも族長レベルの実力を持っている。
ランテはもともと族長候補のクラスにいたので驚きもなかったが、一番の驚きはゲータだ。
ゲータは普通科である。決勝に出ているパーティーで唯一ゲータのパーティーだけ普通科で構成されているのだ。
どう見ても成り上がり。実力で這い上がってきたパーティーである。
ということで当初はエルフリアが一パーティー。俺が二パーティーを引き受ける予定だったのだが、急遽変更したのだ。
そして、今に至る。
右翼。エルフリアの場にて。
「…………フフフ」
エルフリアは家々の屋根を疾走しながら歪な笑みを浮かべていた。
もちろん、その心情に恐怖などはない。
あるのは試合後の妄想だけだ。
「レイ様には…………いえ、今は試合に集中しましょう」
内に秘める渇望が出そうになってくるのをエルフリアは押さえつけるように止める。
「あれ? 一人じゃない?」
「そうだね。味方のところに行くんじゃない?」
「なら殺した方がよくない?」
すると、エルフリアの行く道を阻むように三人の猫人族が現れる。
三つ子なのだろうか。とても容姿がそっくりであり、見分けるとしたら頭につけているリボンぐらいだろう。
しかし、そんなことエルフリアにとってどうでもよかった。
猫人族たちは左から、槍、長剣、弓、と多彩な武器を構える。
そして、高らかと声を上げながら名乗ろうとした。
「「「私たちは猫人族の――」」」
「――死ね」
しかし、言いきる前に三人とも頭を地につけてしまう。
いや、それでは語弊が出来てしまう。
正確に言うのであれば三人とも首を地に落とした。と言うべきか。
そんな現状を作り上げた本人であるエルフリアは口角を歪に上げる。
「な、何をし……た…………」
その首だけになった猫人族の中で一人だけ血反吐を吐きながら訪ねてくる。
魔族は生存能力が高い。人間のようにすぐに死亡とはいかないのだ。
そんな猫人族をエルフリアは上から見下ろすように視線を移す。
そして、
「さっさと死ね」
グシャッ!
そんな猫人族の頭をエルフリアは右足で押し潰した。
その瞬間、地面に激しい鮮血がまき散らされる。
そして、エルフリアはもう一つのパーティーを目指して疾走し始めた。
何故エルフリアがハデスの傘下に入っていなかったか。
それはエルフリアが説明した通り、強くなりたかったからである。
しかし、それはオブラートに包みこまれ過ぎていた。
エルフとは冷徹非道な種族。
拷問から殺人まで命令されればなんでも行える種族だ。
だからこそ、ハデスも容易には手を出せなかった。
そして、その冷徹非道な種族をまとめ上げていた男を何十時間も拷問にかけ、族長から引きずり落とした女。
それが強者に飢える雌豹。そう恐れられたエルフリアなのである。
一対三など自殺願望に近い。それも決勝であればなおさらだ。
しかし、ランテにドラコをぶつけるためには俺たちが他のパーティーと戦わなければならない。
もし、ランテのパーティーに俺たち、全員が行っていれば漁夫の利をされて終わりだ。
じゃあ、他のパーティーたちが戦いあっているのを見守り、最後のパーティーと戦えばいいのでは?
エルフリアにはそう言われたが俺はその提案を受け入れなかった。
それでは、殻は破れない。
ドラコが兄という憧憬を超えるための足掛けにはならない。
だから俺がゲータのパーティー。そして、エルフリアが残り二パーティーを引き受けなければならないのである。
実際、魔術大会が始まるまでは楽勝だと考えていた。
そもそも俺は幹部など余裕で超える実力を持っている。
敵わないのは魔王か、それと四天王ぐらいだろう。
だが、それも誤算だった。
完全にランテもゲータも族長レベルの実力を持っている。
ランテはもともと族長候補のクラスにいたので驚きもなかったが、一番の驚きはゲータだ。
ゲータは普通科である。決勝に出ているパーティーで唯一ゲータのパーティーだけ普通科で構成されているのだ。
どう見ても成り上がり。実力で這い上がってきたパーティーである。
ということで当初はエルフリアが一パーティー。俺が二パーティーを引き受ける予定だったのだが、急遽変更したのだ。
そして、今に至る。
右翼。エルフリアの場にて。
「…………フフフ」
エルフリアは家々の屋根を疾走しながら歪な笑みを浮かべていた。
もちろん、その心情に恐怖などはない。
あるのは試合後の妄想だけだ。
「レイ様には…………いえ、今は試合に集中しましょう」
内に秘める渇望が出そうになってくるのをエルフリアは押さえつけるように止める。
「あれ? 一人じゃない?」
「そうだね。味方のところに行くんじゃない?」
「なら殺した方がよくない?」
すると、エルフリアの行く道を阻むように三人の猫人族が現れる。
三つ子なのだろうか。とても容姿がそっくりであり、見分けるとしたら頭につけているリボンぐらいだろう。
しかし、そんなことエルフリアにとってどうでもよかった。
猫人族たちは左から、槍、長剣、弓、と多彩な武器を構える。
そして、高らかと声を上げながら名乗ろうとした。
「「「私たちは猫人族の――」」」
「――死ね」
しかし、言いきる前に三人とも頭を地につけてしまう。
いや、それでは語弊が出来てしまう。
正確に言うのであれば三人とも首を地に落とした。と言うべきか。
そんな現状を作り上げた本人であるエルフリアは口角を歪に上げる。
「な、何をし……た…………」
その首だけになった猫人族の中で一人だけ血反吐を吐きながら訪ねてくる。
魔族は生存能力が高い。人間のようにすぐに死亡とはいかないのだ。
そんな猫人族をエルフリアは上から見下ろすように視線を移す。
そして、
「さっさと死ね」
グシャッ!
そんな猫人族の頭をエルフリアは右足で押し潰した。
その瞬間、地面に激しい鮮血がまき散らされる。
そして、エルフリアはもう一つのパーティーを目指して疾走し始めた。
何故エルフリアがハデスの傘下に入っていなかったか。
それはエルフリアが説明した通り、強くなりたかったからである。
しかし、それはオブラートに包みこまれ過ぎていた。
エルフとは冷徹非道な種族。
拷問から殺人まで命令されればなんでも行える種族だ。
だからこそ、ハデスも容易には手を出せなかった。
そして、その冷徹非道な種族をまとめ上げていた男を何十時間も拷問にかけ、族長から引きずり落とした女。
それが強者に飢える雌豹。そう恐れられたエルフリアなのである。
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