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第一町①
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私は旅をしている。
窓からはなんの変哲もない草原が見える。でもこれから先、旅を続けていくとこの草原がここでしか見られない草原に変わっていくのだろう。
さて、次の町はどんなものやことがあるのか楽しみだ。
駅に着き、列車から降りる。駅員に切符を渡して、駅を出るとそこにはなんの変哲もない普通の町が見えた。しかし、一見そう見えるが、実は何か面白いのがあるかもしれないし、ひとまずは観光だ。
と思ったものの当たり前だが土地勘がない。どうすればいいか悩んでいると、1人の女性が話しかけてきた。
「あら、そんなに難しい顔してどうしたの。迷子にでもなった」
「いえ、迷子ではないんですけど、いや別の意味では迷子と言えるんですけど、うーん」
「別の意味での迷子ってなによ。おもしろいわね」
「ありがとうございます。じゃなくてえっと私、旅をしていて先ほどこの町着いたばかりでして」
「あら、そうだったの。ごめんなさいね、迷子なんて言って」
「いえ、お構いなく。迷子なのは合っていますから」
「えっ、そうなの」
「はい、そのぉ、行き先が決まっていないと言う意味での迷子でして」
「あははは、その迷子ね。お嬢ちゃんおもしろいね。よし、あたしがいい宿屋を紹介してあげるよ」
「いいんですか」
「あぁいいさ。飯がうまくて、部屋の綺麗な良い店知ってからさ。さぁ、行こうじゃないさ」
「じゃあ、お願いします」
そう言って歩き出す。どうやら今回の宿屋探しはすんなり決まりそうだ。
「ところで、お嬢ちゃんの名前はなんていうんだい。あたしは花屋のモイラって言うんだ」
「私はアリスです」
「アリスっていうのかい。よろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
自己紹介を終えた。
「モイラさん、お店は大丈夫なんですか」
「あぁ多分、今旦那がやってくれてるから。ちょっと買い物が遅くなるくらいどうってことないさ」
「そうなんですね。近々よらせてもらいますね」
「ぜひ、よっとくれ。アリスに合う花を選んであげるよ」
「ありがとうございます」
「っと、ここだよ。飯がうまくて、部屋のきれいな店は」
「ここですか。えぇとシーリスですか」
「そうさ」
そう言ってモイラさんが宿屋シーリスのドアを開けた。
「おーい、アイリスいるかい」
そう呼びかけると、奥のドアから女性がやってきた。
「もう、そんなに大きい声出さなくても聞こえるわよ」
「それは悪かったね。そんなことはどうでもいいんだけどね」
「なにがどうでもいいんだい」
「お客さんだよ。私が連れてきた」
「お客さん?あんたが連れてきたのかい。これは珍しいこともあるもんだね。明日は爆弾でも降ってくるかね」
「まったく、失礼だね。あぁ、ごめんな。話し込んじまって、この子がそのお客さんだよ」
「あの、私はアリスです」
少しドキドキしてしまって、声が小さくなってしまった。
「あっ、緊張させてごめんね。この宿屋の女将のアイリスです」
「じゃあ、あたしはもう行くよ。この町にいる間にうちの花屋によっておくれよ」
「はい、わかりました。絶対よりますね」
と言ってモイラさんと別れた。
窓からはなんの変哲もない草原が見える。でもこれから先、旅を続けていくとこの草原がここでしか見られない草原に変わっていくのだろう。
さて、次の町はどんなものやことがあるのか楽しみだ。
駅に着き、列車から降りる。駅員に切符を渡して、駅を出るとそこにはなんの変哲もない普通の町が見えた。しかし、一見そう見えるが、実は何か面白いのがあるかもしれないし、ひとまずは観光だ。
と思ったものの当たり前だが土地勘がない。どうすればいいか悩んでいると、1人の女性が話しかけてきた。
「あら、そんなに難しい顔してどうしたの。迷子にでもなった」
「いえ、迷子ではないんですけど、いや別の意味では迷子と言えるんですけど、うーん」
「別の意味での迷子ってなによ。おもしろいわね」
「ありがとうございます。じゃなくてえっと私、旅をしていて先ほどこの町着いたばかりでして」
「あら、そうだったの。ごめんなさいね、迷子なんて言って」
「いえ、お構いなく。迷子なのは合っていますから」
「えっ、そうなの」
「はい、そのぉ、行き先が決まっていないと言う意味での迷子でして」
「あははは、その迷子ね。お嬢ちゃんおもしろいね。よし、あたしがいい宿屋を紹介してあげるよ」
「いいんですか」
「あぁいいさ。飯がうまくて、部屋の綺麗な良い店知ってからさ。さぁ、行こうじゃないさ」
「じゃあ、お願いします」
そう言って歩き出す。どうやら今回の宿屋探しはすんなり決まりそうだ。
「ところで、お嬢ちゃんの名前はなんていうんだい。あたしは花屋のモイラって言うんだ」
「私はアリスです」
「アリスっていうのかい。よろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
自己紹介を終えた。
「モイラさん、お店は大丈夫なんですか」
「あぁ多分、今旦那がやってくれてるから。ちょっと買い物が遅くなるくらいどうってことないさ」
「そうなんですね。近々よらせてもらいますね」
「ぜひ、よっとくれ。アリスに合う花を選んであげるよ」
「ありがとうございます」
「っと、ここだよ。飯がうまくて、部屋のきれいな店は」
「ここですか。えぇとシーリスですか」
「そうさ」
そう言ってモイラさんが宿屋シーリスのドアを開けた。
「おーい、アイリスいるかい」
そう呼びかけると、奥のドアから女性がやってきた。
「もう、そんなに大きい声出さなくても聞こえるわよ」
「それは悪かったね。そんなことはどうでもいいんだけどね」
「なにがどうでもいいんだい」
「お客さんだよ。私が連れてきた」
「お客さん?あんたが連れてきたのかい。これは珍しいこともあるもんだね。明日は爆弾でも降ってくるかね」
「まったく、失礼だね。あぁ、ごめんな。話し込んじまって、この子がそのお客さんだよ」
「あの、私はアリスです」
少しドキドキしてしまって、声が小さくなってしまった。
「あっ、緊張させてごめんね。この宿屋の女将のアイリスです」
「じゃあ、あたしはもう行くよ。この町にいる間にうちの花屋によっておくれよ」
「はい、わかりました。絶対よりますね」
と言ってモイラさんと別れた。
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