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下校/おつかい
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「なぁ、今日は珍しかったな。まさか、お前が寝坊するなんて」
「その事はもういいだろ」
「はいよ、ところでさ今度の休みどこか行こうぜ」
「あいにくその日は予定があるから行けない」
「はぁっ、お、お前が予定あるなんて。またまた、行きたくないからって嘘はダメだぞ」
「いや、嘘とかじゃなくてさ。本当だから」
「はぁ、予定あるのかよ。予定あるなら仕方ねぇか」
休みの日に予定なんて立てているはずもない。だが、嘘は言っていない。それは、これから予定を立てる予定があるからだ。それには真矢と相談する必要があるが、今日帰ったら話題を切り出せばいいだろう。そして、ごめんな俊哉。
「今度埋め合わせはするから」
「お、本当だな。男に二言はないからな」
「はいはい、男に二言はないよ」
「よし、楽しみに待ってるぜ」
「楽しみに待ってろよ」
そういった会話をしていると、スマホが震えた。
スマホをポケットから出して通知を見る。
ゲーム友達から『お前大丈夫か』と来ていた。何言ってんだ。俺は何もやっていないはずだが。
アプリを開き内容を確認するとそこにはおつかいが書いてあった。何をするかは知らないがおそらくは料理だろう。買って来て欲しい物のほとんどが食材だからな。どうしようか。結構、量があるな。こいつにでも持って貰うか。どうしたら不自然なく伝えられるかだな。俺は少し悩み、いっそ趣味という事にして伝える事にした。
「なぁちょっと買い物して行っていいか」
「急にどうした」
「買う物を思い出したんだ」
「そうか、それで何を買うんだ」
「食材かな」
「食材だと。今日ほんとどうしたんだ」
「そんなに驚かなくたって良いじゃないか」
「いやいや、これは驚くなって言う方が無理だぜ。だって食材とか買う柄じゃないだろ。お前」
「えと、まぁそれはそうだけど、実はつい最近料理にハマちゃって」
「えっ、お前が料理を」
「そうだけど」
「じょ、冗談はよせって」
「冗談じゃないけど」
「信じらんねぇ」
「そんな反応をされると、俺はいつもどんなイメージをもたれているんだか」
「んっ、それは不健康な奴とか、ゲーマーみたいなイメージ持たれてんじゃねぇのか」
「俺はそんなイメージを持たれていたのか」
「まぁまぁそんなに気を落とすなって、それより買い物行くんだろ」
「あぁ、そうだけど」
「確かここら辺にもスーパーがあったな。そこで買ってこうぜ」
ここら辺だったら、個人経営のスーパーか。それだったら高いんだよな。まぁ、いいかこれ以上わがままは言えないだろうし。
「じゃあ、荷物持ちよろしく」
「ちょ、おい、それはないぜ」
こんなやり取りをしながら、俺たちはスーパーで買い物をした。
「予想以上に買いやがって、重いんだが」
「しょ、しょうがないじゃないか」
こんなに買う物があるのは知っていたが、頼まれた以上買うしかないだろうが、そもそも俺が買っていなかったのも悪いんだろうがな。まぁこいつなら平気だろ。
「お前も少しは持てよ」
「はいはい、仕方ないな。根性がない俊哉君はだめですね」
「はっ、根性がないだと、お前のマンションまで意地でも持っていってやる」
ちょ、ちょろい。
「急に、なんで料理始めたんだ」
「うーん、動画を見てたら食べたくなったからとか」
「なんで、疑問形なんだよ。まぁ、確かにそう思うことは、あるかもな」
ふう、なんとか誤魔化せたかな。
「何もないようでよかったな」
「何がだ」
「いやぁ、なんていうか。なんかあったのかって気になってからな。なんにもなさそうだなってことだ」
「なんだ、心配してくれてたんだな」
「心配なんかしてねぇから。ただ危なっかしいから気にかけただけだ」
それはもう心配してるんだけど。それに具体的に説明してるんだよな。
「ありがとな」
「何がだよ。まったく変な奴だな」
「変じゃねぇ」
「まぁ、なんだ。困った時は相談に乗るぜ。特に料理とかな」
「ただ料理が食いてぇだけじゃねぇか。まぁ、その時は相談させてもらうよ」
「どんと来いよ。あとこの荷物マンションの前まででいいか」
「あぁ、いいぞ」
「そろそろ見えてくるんじゃねぇか」
「そうだな。多分見えてくると思うぞ」
「はぁ、おみぃ」
「やっぱり、持とうか」
「いや、いい。見えてきたみたいだからな」
「そうだな。それまではお言葉に甘えて持たないからな。いやぁ、軽い軽い」
「俺がここまで頑張ってるんだから頑張れよ」
「あ、あぁそうだな。頑張るわ」
やばいなぁ。なんか申し訳なくなってきた。
「よし、ここまででいいだろ」
「あぁ、ここからは俺が運ぶから」
「本当に運べるのか」
「運べるから」
俺は力を入れて思い切り持ち上げる。
「おぉ、持ち上がったな。でもキツそうだが」
「このくらい大丈夫だ。エレベーターもあるしな」
「じゃあ、頑張って運べよ」
「このくらいは頑張るって」
「じゃあな」
「あぁ、じゃあ」
俺は帰って行く姿を見て重い荷物を持ってエレベーターに乗った。
しかしどうやって送ったんだろう。まぁ、帰ってから聞いてみるか。あぁ、あいつにどう説明しよう。
「はぁ、重いなぁ。これ。後で労ってもらわないと報われないわ」
と文句を言いつつドアの前で荷物を置き、ドアを開ける。そして
「ただいま」
と言った。
「その事はもういいだろ」
「はいよ、ところでさ今度の休みどこか行こうぜ」
「あいにくその日は予定があるから行けない」
「はぁっ、お、お前が予定あるなんて。またまた、行きたくないからって嘘はダメだぞ」
「いや、嘘とかじゃなくてさ。本当だから」
「はぁ、予定あるのかよ。予定あるなら仕方ねぇか」
休みの日に予定なんて立てているはずもない。だが、嘘は言っていない。それは、これから予定を立てる予定があるからだ。それには真矢と相談する必要があるが、今日帰ったら話題を切り出せばいいだろう。そして、ごめんな俊哉。
「今度埋め合わせはするから」
「お、本当だな。男に二言はないからな」
「はいはい、男に二言はないよ」
「よし、楽しみに待ってるぜ」
「楽しみに待ってろよ」
そういった会話をしていると、スマホが震えた。
スマホをポケットから出して通知を見る。
ゲーム友達から『お前大丈夫か』と来ていた。何言ってんだ。俺は何もやっていないはずだが。
アプリを開き内容を確認するとそこにはおつかいが書いてあった。何をするかは知らないがおそらくは料理だろう。買って来て欲しい物のほとんどが食材だからな。どうしようか。結構、量があるな。こいつにでも持って貰うか。どうしたら不自然なく伝えられるかだな。俺は少し悩み、いっそ趣味という事にして伝える事にした。
「なぁちょっと買い物して行っていいか」
「急にどうした」
「買う物を思い出したんだ」
「そうか、それで何を買うんだ」
「食材かな」
「食材だと。今日ほんとどうしたんだ」
「そんなに驚かなくたって良いじゃないか」
「いやいや、これは驚くなって言う方が無理だぜ。だって食材とか買う柄じゃないだろ。お前」
「えと、まぁそれはそうだけど、実はつい最近料理にハマちゃって」
「えっ、お前が料理を」
「そうだけど」
「じょ、冗談はよせって」
「冗談じゃないけど」
「信じらんねぇ」
「そんな反応をされると、俺はいつもどんなイメージをもたれているんだか」
「んっ、それは不健康な奴とか、ゲーマーみたいなイメージ持たれてんじゃねぇのか」
「俺はそんなイメージを持たれていたのか」
「まぁまぁそんなに気を落とすなって、それより買い物行くんだろ」
「あぁ、そうだけど」
「確かここら辺にもスーパーがあったな。そこで買ってこうぜ」
ここら辺だったら、個人経営のスーパーか。それだったら高いんだよな。まぁ、いいかこれ以上わがままは言えないだろうし。
「じゃあ、荷物持ちよろしく」
「ちょ、おい、それはないぜ」
こんなやり取りをしながら、俺たちはスーパーで買い物をした。
「予想以上に買いやがって、重いんだが」
「しょ、しょうがないじゃないか」
こんなに買う物があるのは知っていたが、頼まれた以上買うしかないだろうが、そもそも俺が買っていなかったのも悪いんだろうがな。まぁこいつなら平気だろ。
「お前も少しは持てよ」
「はいはい、仕方ないな。根性がない俊哉君はだめですね」
「はっ、根性がないだと、お前のマンションまで意地でも持っていってやる」
ちょ、ちょろい。
「急に、なんで料理始めたんだ」
「うーん、動画を見てたら食べたくなったからとか」
「なんで、疑問形なんだよ。まぁ、確かにそう思うことは、あるかもな」
ふう、なんとか誤魔化せたかな。
「何もないようでよかったな」
「何がだ」
「いやぁ、なんていうか。なんかあったのかって気になってからな。なんにもなさそうだなってことだ」
「なんだ、心配してくれてたんだな」
「心配なんかしてねぇから。ただ危なっかしいから気にかけただけだ」
それはもう心配してるんだけど。それに具体的に説明してるんだよな。
「ありがとな」
「何がだよ。まったく変な奴だな」
「変じゃねぇ」
「まぁ、なんだ。困った時は相談に乗るぜ。特に料理とかな」
「ただ料理が食いてぇだけじゃねぇか。まぁ、その時は相談させてもらうよ」
「どんと来いよ。あとこの荷物マンションの前まででいいか」
「あぁ、いいぞ」
「そろそろ見えてくるんじゃねぇか」
「そうだな。多分見えてくると思うぞ」
「はぁ、おみぃ」
「やっぱり、持とうか」
「いや、いい。見えてきたみたいだからな」
「そうだな。それまではお言葉に甘えて持たないからな。いやぁ、軽い軽い」
「俺がここまで頑張ってるんだから頑張れよ」
「あ、あぁそうだな。頑張るわ」
やばいなぁ。なんか申し訳なくなってきた。
「よし、ここまででいいだろ」
「あぁ、ここからは俺が運ぶから」
「本当に運べるのか」
「運べるから」
俺は力を入れて思い切り持ち上げる。
「おぉ、持ち上がったな。でもキツそうだが」
「このくらい大丈夫だ。エレベーターもあるしな」
「じゃあ、頑張って運べよ」
「このくらいは頑張るって」
「じゃあな」
「あぁ、じゃあ」
俺は帰って行く姿を見て重い荷物を持ってエレベーターに乗った。
しかしどうやって送ったんだろう。まぁ、帰ってから聞いてみるか。あぁ、あいつにどう説明しよう。
「はぁ、重いなぁ。これ。後で労ってもらわないと報われないわ」
と文句を言いつつドアの前で荷物を置き、ドアを開ける。そして
「ただいま」
と言った。
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