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46、~佐藤マユside11~ 終わり

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 テーブルの上にはバリキャリが残して行った袋が三つ並べられている。あの女が出て行ったあと、この部屋ではのんびりとした時間が流れていた。

 ハロルド王子は相変わらずカウンター席で酒を煽るように飲み、宰相は、ぼうっと窓から青空を眺めている。

 マユはソファで座り、コップの水をぐっと握りしめ、酒に替えて飲もうとしていた。

 そんなとき、突然、鐘の音が聞こえてきた。

 カーン、カーン、カーン。

「宰相、なんだ、この音は?」
「さあ」

 三人は部屋を見回した。

 どこかにスピーカーがあるように、鐘の音が鳴り響いているからだった。
 そして鐘の音が鳴りやむと、窓の外では雲一つない青空に白い鳩たちが羽ばたいた。

 まるで何かの祝い事か、結婚式のようだ。

「あの女を追い出した記念に祝いの儀式でもさせたのか、宰相」
「いいえ、わたくしは指示もしておりませんし、何も聞いておりません」
「っということは」

 王子と宰相がマユを見る。

 おいおいおい、なんだその目は? 私がやったとでも思っているのか?

「私じゃありませんよ」

「なんだ、マユの聖女の力じゃないのか」

 王子があからさまにがっかりした表情になった。

 なんでもかんでも聖女の力なわけねーだろ、しかもそんな力ねーし。

 握りしめているコップの水が酒に変わるのがわかった。

「ふん」

 マユが一口飲むと、荒ぶる心が静まっていく。

 コンコン――。

 王子の部屋にノックの音が響いた。

「なんだ!」「誰ですか」
 苛立ったように王子と宰相の相次ぐ声に、扉の向こうからメイドが応えた。

「ハロルド王子宛てにお手紙が届きました」

「手紙だと? 入ってこい」

 ハロルド王子が目で合図を送り、メイドから手紙を受け取った手紙を宰相が目を通す。

 宰相が文面を読み始めたが、みるみると顔色を変えていく。

「何の手紙だ?」

 そんな王子の声が聞こえないのか宰相は手紙を手にしたまま、硬直していた。

「おい、宰相! いったいなんの手紙だと聞いているんだ!」

「えっ、あ、はい。魔導士団がこちらに向かっていると……、しかも第三部隊が」

「なんだと! 第三部隊とは……。なぜジュリアンヌが率いる第三部隊がこの屋敷に向かっているのだ」

「このお屋敷にジュリアンヌお嬢様が……」

 なんだコイツら、なにビビっているんだ。
 ジュリアンヌお嬢様って、どこかのお嬢様だろ、そんなことぐらいでビビってんじゃねーよ。

 そのときだ、ラッパの音が鳴り響いた。

 タッタタター、タッタタター。

 次から次へと、うるせーな、鐘の次はラッパかよ。

 慌てた王子と宰相が右往左往していた。

「おい、宰相、ジュリアンヌの隊だ。今すぐ逃げるぞ」
「かしこまりました。この金貨を持って裏口から」

 おいおいおい、勝手にテーブルの上の金貨を持っていくんじゃねーよ。

 だが、宰相がテーブルの上に置かれた布袋を両手に持ち上げた瞬間、不思議そうに首をひねった。

「どうした宰相?」
「金貨にしては軽いような」

 それを聞いた王子も残った一袋をテーブルから片手で持ち上げた。

「軽いな」

 なにやってんだ、こいつら? 計量ごっこかよ。

 王子が急いで、確かめるように布袋を開けた。

「なんだこれは!」

 開けたままで布袋の底を掴むと、中身を出すようにカーペットへ落とし始めた。

 ドドドド――。

 大量の小石が床へ落ちいく。

「はあ? 私の金貨は?」

 おもわずマユは立ち上がり、茫然と大量の小石を見下ろしていた。

「王子、こちらも石です」

 宰相も袋の中を開けて石ころを王子に見せた。

「どうして金貨が石になった……。おい、どういうことだ、宰相!」
「たしかにグリアティ家からの受け取ったのは金貨で……」

 そんなときだ、扉が開いて、大柄の太った男が入って来た。
 いや、違う。
 女だ。男のように騎士の格好をしているが、よく見れば胸が出ている。

 モサモサの剛毛な毛髪に、ふてぶてしい顔に鼻は上を向き、頑固そうなへの字の口。

「ジュ、ジュリアンヌ……」

 王子が顔面蒼白で言いながら、逃げるように背後の壁を伝いながら大柄な女性から離れようとする。

「あら、お久しぶりでございます。ハロルド王子」

 甘えた声で言った直後、ジュリアンヌと呼ばれた女がジロリと宰相を見る。

「ロドリック、こんなところで何をしていますの?」

 王子に話しかけるときと違った、低い声のトーンに変わっていた。

「ジュリアンヌお嬢様……」

 そう声を上げた宰相は強張った表情だった。

 いったいなんなのよ、この女。
 デカくて、異様に迫力がある女……。

 でも、負けちゃいられない……。

「あなた、何よ。勝手に入って来て。許可はもらったの? ここは王子様の部屋よ。ほんとうに図々しい。宰相、今すぐこの女を追い出しなさい!」

 マユの言葉に、宰相が慌てふためく。

「マユ様……、こ、このお方は」

「宰相? 誰が?」

 ジュリアンヌと呼ばれた女が、マユの前に立った。

 でかい。近くで見ると背も図体もデカイが、顔もデカイ。
 ぬっと、マユの顔を覗き込む。

 あまりの顔のデカさに……、マユは宰相を指さした。

「そ……、その人が……、宰相に決まっているでしょ」

 マユを指さす方向にジュリアンヌがジロリと目を向ける。

「ロドリックが宰相? アハハハ。ご冗談を。この国の宰相は、わたくしの父で、シュナイザー家の当主である、フラング・シュナイザーです。このロドリックは、うちで雇っていた、ただの下働きの男。こんな男が宰相なんてあり得ませんわ。オホホホホ。もしかして……、あなたたち、こんな辺境の地で、後継者ごっこでもしていたのかしら」

「ちょ、ちょっと、宰相が宰相じゃないって、ど、どういうことよ」

 マユが王子を見た。その視線を受けて王子が応える。

「そ、それは……、俺の屋敷の執事をこう呼んでいて」

 はあ? 執事だと?
 ロドリックが宰相じゃなくて、ただの執事……。

「ただの執事を宰相なんて呼んでいたわけ?」

 ついマユは本音で王子に言っていた。

 だが、そんなマユの言葉遣いなどまったく気にする様子をみせず、王子は壁際に背中をつけて、徐々に窓際へ逃げるようとしながら応える。

「だ、だが、ロドリックは確かにシュナイザー家の血を引く息子であることには変わりはなく……」

「アハハッハ! ハロルド王子、バカなことを言わないでくださいな。このロドリックは、父がメイドに手を付けて産ませた子。シュナイザー家の者など、誰も認めていませんよ。このような平民との間にできた子供を、我が屋敷で雇っただけでも、シュナイザー家は懐が深いのでございます。ロドリックも、このような後継者ごっこで、楽しかったでしょう。そんなあなたに今ここで、仕事を与えましょう。ほら、わたくしの靴が汚れていますわ。ロドリック、ひざまずき、今すぐ、わたくしの靴を磨きなさい」

「は、はい」

 ロドリックはすぐさま膝つき、ジュリアンヌのブーツの足を自分の膝の上に乗せると、自分の袖口で靴を磨き始めた。

「汚らしい! お前の服で、わたくしの靴を磨くのではない」

 ドン――っと、ジュリアンヌはロドリックの肩を靴底で押しやった。

「も、申し訳ございません、お嬢様」

 頭を下げたロドリックの頭上に、ジュリアンヌは、ぐっと、大きな足で踏みつける。

「そのままで、いなさい」
「は、はい。お嬢様」

 ジュリアンヌはロドリックを足で踏みつけたまま、壁際にいる王子に目を向けると不気味な笑みを浮かべながら、猫なで声で呼びかける。

「さあ、ハロルド王子。今すぐ王都に帰りましょう。このような辺境の地で、少しは頭を冷やすかと思いきや、あんなことにまで手を出していたとは……、王様もお怒りでございますよ」

「父上が……」

 どんどんと話が進む中、マユは焦っていた。

「ちょ、ちょっと待ってよ。王子の婚約者は私よ。急に現れて、い、いったいなんなのよ」

「わたくしはね、幼いころからハロルド王子とは許嫁ですの。途中から現れたのは、あなたの方。しかも偽物の聖女から、とやかく言われる筋合いはございませんわ」

「に、偽物?」

 壁際にいる王子が調子はずれの声を張り上げた。

「あらあら、ハロルド王子はご存じなくて。この屋敷にいたメイド……。ええっと、名前はエミリーという使用人でしたか? そのメイドから国王陛下宛てに手紙が届きましね。そこには、こう書かれていたそうです。ハロルド王子が禁忌である、聖女召喚儀式を屋敷の地下で行った。そして召喚されたのは、ただの一般人」

「マユが一般人だと?」
「マユ様が?」

 驚くハロルド王子とロドリックがマユに視線を向けた。その視線を受け、マユは両手を伸ばした。

「あーあ、バレちゃった」

 そして開き直ったようにソファへドスンと座る。

「うぜぇな。当たり前だろ。私に聖女の力なんてあるわけねーだろ」

 驚愕する王子とロドリック。それをみてジュリアンヌが笑った。

「アハハハ、ほんとうに王子は抜けていますわね。だから王都でもバカ王子と呼ばれるんですのよ」

「俺をバカ王子と呼ぶな……」

 一応反論を試みたが、王子は消え入るような声だった。

「あらバカ王子と呼ばれるがご不満ですか。ではポンコツ王子といい替えましょうか。しかも、聖女召喚儀式に魔術がつかえる魔獣を使ったらしいですね。その魔獣は私によく似た名前に見た目だったらしいと耳に入っていますよ。もしかして私に対する憂さ晴らしで、奴隷商から魔獣を購入されたのでしょうか」

 王子は視線を外す。それが答えなのだろう。

「しかも、その魔獣さえも逃がしたというではありませんか」

「魔獣が逃げただと!?」

 ハロルド王子が驚き、ズボンの裾をめくり上げる。だがそこには何もなかった。

「主の証がない、アンクレットはどこへ消えたんだ……」

「王様も今回ばかりは見逃すわけには行けないとおっしゃっています。聖女召喚儀式など許されませんからね。まさかこんな辺鄙な領地で聖女召喚など危ないことをするとは思いもよらなかったのでしょう」

「俺は聖女召喚を成功させ、聖女を王都に連れて帰るんだ。そして俺をバカ王子と言った奴らを見返してやる」

「まだおっしゃっているのですか。大聖女を召喚した大帝国が滅んだことをハロルド王子もご存じでしょう」

「しかし」

「黙らっしゃい! まだ言うのですか! この王国を危機に陥れたことで陛下はお怒りなのでございます。私は陛下から、ハロルド王子の妻として、バカな王子を真っ当な人間に教育し、支えるように頼まれました。第三王子のハロルド王子は、見た目だけで、他に何の取り柄もなく、人望もなく、武術も魔法の才能も全くなく、性格に難あり。そんなお可哀想なあなたですから、宰相の長女であるわたくしが、結婚をしてさしあげますことよ。あなたによく似た美しい子供が生まれれば、それでよろしい。これであなたも王都に戻る理由ができたでしょ」

「い、いやだ……。お前みたいな、下品な顔に傲慢で、暴力的な女と結婚などせん!」

「な、なんですと!?」

 ぷるぷると怒ったジュリアンヌは、顔を真っ赤にして、足元にいるロドリックの胸倉をつかみ、身体を軽々と持ち上げた。

「ひぃ」

 持ち上げられたロドリックは声にもならない声を出した瞬間――、ジュリアンヌは持ち上げたロドリックを王子に向けて放り投げていた。

「ぐげぇ」「うぐ」

 二人はぶつかり、カエルのような鳴き声を出して、ともに床に倒れていた。

 な、なんなのこの女……。

 信じらない……、化け物じゃない……。

 呆気にとられるマユの前で、ジュリアンヌは、つかつかと倒れている二人の元へ行き、配下から犬の首輪のような物を受け取った。そして床で伸びている王子の首に、ガチャリっと犬の首輪のような物をつける。

「王子様、もう逃げられないですわ。王様から預かった奴隷の首輪です。ロドリックも屋敷に戻してあげましょう」

 次にロドリックの首にも同じようにガチャリと首輪をつけた。

「これでいいわ」

 手をぱんぱんと叩く姿は、まるで塩を撒いた力士のような迫力で、さすがのマユもこの女には太刀打ちできないと諦めた。

 でも、最後のあがきに、あの女のマネをすることにした。

 ただで追い出されるなんてまっぴらごめんだ。

 あの女は魔獣を連れて出て行った。
 私だって……。

「ちょっと待ってよ。これじゃ婚約破棄じゃない、私に対する慰謝料は?」

「慰謝料……? 馬鹿ね。そんなものあるわけないじゃない」

 ジュリアンヌはずるずると、二人の首輪を持ち、引きずりながら出て行った。その後をジュリアンの配下がついて行った。

 いったい何なの――。

 マユはソファで座り込み、天井を見上げる。

「いったい、なんなのよ……」

 豪華なシャンデリアがキラキラと輝いていた。

「これぐらいで私はへこたれない」

 ドレスをたくし上げ、くっそあちいとパタパタとドレスの中を煽ぐ。

 そしてコップの酒を飲んだ。すっきとして頭が冴えるようだ。

 そうだ、私には水を酒に力がある。

 この屋敷で店を開こう。

 なんといっても水が酒になるのだ。

 ここのメイドたちは美人が多い。私には水を酒に変える力がある。どんどん水を酒に変えて客からぼったくってやる。

「あなたたち」

 マユの声に廊下で待機していた黒服メイドたちが部屋に集まって来た。

「王子もロドリックもこの屋敷を去りました。今から、私があなた達の雇い主。さあ、屋敷にあるドレスをミニへ仕立て直すのよ! ここをキャバクラにします。まず第一弾は、客寄せのために、みんな超ミニドレスで接客をすること。店の名前はそうね……、聖女キャバクラよ!」





 おわり

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