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第二話:「体育館の影」
しおりを挟む「あの影、何だったの?」
次の日の昼休み。ミユが小声で話し始めた。
昨日の音楽室での出来事を思い返すと、リツは胸の奥がざわつくような不安を感じた。
「本当に何かいるんだね。七不思議ってただの噂だと思ってたけど…」
ハルカも、普段の明るい表情とは違い、少し怯えたような顔をしている。
「でも、これでやめる? それとも続ける?」
ミユが静かに問いかける。
リツは、少し迷った末に口を開いた。
「…次も調べてみる。あの影、関係があるかもしれないし」
---
体育館の影
その日の放課後、三人は体育館へ向かった。
噂によれば、夜の体育館には謎の影が現れるという。
「体育館なんて広いし、何かの見間違いじゃない?」ハルカが言うが、その声には自信がない。
三人は入り口をそっと開け、中に入った。
夕陽が差し込む体育館は薄暗く、静寂が支配している。
「影が出るって、どこに?」リツが尋ねる。
「たしか、ステージのカーテンの近くだったはず」
ミユが少しおどおどしながら答えた。
---
静かな異変
ステージに近づくと、カーテンが微かに揺れているのが見えた。
「風…じゃないよね?」ハルカが言う。
「体育館の窓、全部閉まってるし」
リツがカーテンに手を伸ばそうとしたとき、
カタ…カタ…カタ…
どこからともなく響く音が聞こえた。
それはバスケットボールが転がる音に似ていた。
「誰か…いる?」
リツが辺りを見渡すが、体育館には三人だけ。
音は徐々に近づき、気がつけば、目の前にボールが転がってきた。
---
不気味な影
「なんでボールが?」ハルカが言い終わる前に、ステージのカーテンの向こう側に人影が映った。
それは、人間の形をしているようでいて、何かが違う。
影は徐々に濃くなり、やがてカーテンをすり抜けるようにして現れた。
「何これ…?」
三人は足がすくんで動けない。影はゆっくりと近づいてきた。
「逃げよう!」ミユが叫ぶ。
その声でリツたちは我に返り、出口に向かって走り出した。
---
異変の証拠
廊下に飛び出し、息を整える三人。
「見たよね、あれ…」ハルカが震える声で言った。
「間違いない。本物だ…七不思議ってただの噂じゃない」
ミユがノートを取り出し、ページをめくる。
「これ…七つ目まで調べたら、何が起きるんだろう」
ノートの最後のページには、昨夜と同じ言葉が書かれている。
『七つを超えたその先に、“八つ目”が待っている』
「もしかして、影も八つ目に関係してるのかも…」
リツがそうつぶやいた瞬間、彼女のスマホに通知が届いた。
それは、誰も登録していない番号からのメッセージだった。
開くと、こう書かれていた。
『体育館の影は、“見つけた”と言っている』
三人は顔を見合わせ、恐怖に凍りついた。
---
次へ続く
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