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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年

第106話 仮面の女

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 ……息も絶え絶えに、俺は倒れるレプニールの姿を確認して安堵の心地となる。

「やった……か」

 間違いなく心臓を貫いた。
 あれで生きているならばもうどうしようもないだろう。

 しばらく見ていてもレプニールは動かない。
 どうやら死んだようだ。

「なんとか……なった」

 しかしこちらも重症だ。

 奴のズァーグが持つレヴァンソードが左胸を貫く瞬間、わずかに心臓からずれるように防いだが、これは完全に分の悪い賭けだった。

 まず奴が突きで攻撃をしてきたのは単なる偶然で、この方法を思いついたのも貫かれる直前だ。貫かれたあとに、奴が他のソードすべてで攻撃をしてこないとも限らなかった。
 心臓の正確な位置などわからないため、わずかにずれていたかも不明で、うまく死を装えたとしてもレプニールが身体を守るズァーグを消すかはわからなかった。

「運が良かった……」

 あの女がもっと慎重だったなら、死んでいたのは間違いなく自分だろう。

 右腕の先に作ったズァーグの弓を消して小さく息を吐く。

 銃弾ならば発射音で気取られたかもしれない。
 ズァーグで弓矢を作るという方法を思いつけたのも幸運と言えた。

「う、うう……」

 心臓をはずしたとはいえ大怪我には違いない。このままでは自分も死んでしまう。

「ま、まだ死にたくはない」

 ツクナに会いたい。

 その思いが俺の生命を支えていた。

「……ん?」

 出入り口の前に誰か立っているのが見える・

「ツクナ……?」

 ではない。
 白い仮面を被った女が立っていた。
 右手にはレヴァンソード。その剣身は赤かった。

「て、帝国のナイト……っ」

 立ち上がろうとするも、身体が痛くて動けない。

 女は駆け出してこちらへ向かって来る。

 殺される。

 そう覚悟を決めたとき、

「……っ」

 目の前に小さな背中が立っていた。

「ツ、ツクナっ!」

 俺の前に立ったツクナが、女の一撃をレヴァンソードで受け止めていた。

「むんっ」

 剣身を重ねる状態から、ツクナが相手のソードを打ち上げる。
 と、仮面の女は後方へと飛び退った。

「……」
「!?」
「む……」

 そのまま仮面の女は出入り口から駆け去って行く。

「に、逃げたか……」

 ホッと一息つく。

「ハバンさんっ」
「ル、ルカ君」

 駆け寄って来たルカに声をかけられる。

「に、逃げたんじゃなかったのか?」
「途中でツクナ様と会って、急いで戻って来たのですっ。そ、そんなことよりハバンさんこんな大怪我を……。早く治療しなければっ」
「ああ……。けど、怪我をしたかいはあった」

 うつ伏せとなっているレプニールの死体へと目をやる。

「あのレプニールまで倒してしまうとは、あなたは本当にすごい人ですっ!」
「い、いや、実力は完全に劣っていた。運が良かった……だけ」

 ツクナが来たことで安心をしたのか、急激な眠気に俺の意識はそこで途切れた。
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