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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年
第82話 デルマ王国侵攻の謎
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空中に浮かぶヨトゥナの空中要塞ヘルマイムから外を眺めると、夜空に浮かぶ星々が目に映る。
時刻は日の沈む夕方から日の沈みきる夜へと変わり、ペイナーの提案で俺たちは食堂へと夕食を食べに向かう。
食堂へついた俺たちはやがて食事を終え、
「うん。おいしかった」
珍しい美味な料理を堪能した俺は感想を言って茶を飲む。
「ふふふ、そうだろう。ここの料理人は私のツテで連れてきたんだ。私のような優れた人間が居住する場所にはそれにふさわしい環境が必要だからね」
「そうなんだ。というかここに住んでるの?」
名家出身と聞いたからてっきりどこかの豪邸にでも住んでいるのかと思っていたが。
「現在は戦時中ですので、ナイトの全員は緊急時に備えて各地にあるヨトゥナの基地での居住を命令されているのです」
「ああ、そういうことか」
代わりに答えたルカの言葉に納得する。
戦争中であれば当然のことだ。
「いつ帝国がここへ攻め込んで来るかもわかりませんからね」
「うん? うーん……」
攻めて来る。そう聞いて俺は首を傾ぐ。
敵がどういう風にここへ攻め込んで来るのか? 宇宙や星というものがいまだによくわかっていない俺には、この世界の戦争が具体的には想像ができなかった。
「お馬鹿さんだな君は」
不意にペイナーがせせら笑って言う。
「惑星アズガランは全体がウルーガの壁で覆われているんだ。敵が攻め込んで来るなんて不可能さ」
「惑星全体をウルーガの壁で? それはすごいな」
あの見えない壁で惑星すべてを覆えるなんて、どうやるのかは想像もできないことだ。
「ウルーガの壁が開発されてからは地上での白兵戦はほとんど無くなっておりました。しかし先日、デルマ王国が帝国に侵攻された件もですが、惑星をウルーガの壁で覆っているにも関わらず、地上に降下を許して侵攻を受けることが増えています。なにか壁を突破して攻め込む方法があるのではとヨトゥナや連合の上層部は調査しているそうですが……」
「壁を展開するスイッチを入れ忘れたんじゃないかな? もしくは入り口を閉じ忘れたとか?」
「そんな馬鹿な」
「……?」
2人の会話を聞いて、俺は違和感を感じる。
あれ? 確か俺たちがデュロリアンで惑星に入ったときは壁なんてなかったはず。
「ツクナたちはウルーガの壁に空いていた穴を通って惑星へ降りたのじゃ」
「あ……」
あのときツクナが言っていた穴とはそういう意味だったのか。
「やっぱり入り口を閉じ忘れたんだろう」
「いや、入り口の輪はなかった。恐らく帝国がなんらかの方法を使ってウルーガの壁に穴を開けたのではないかの」
「入り口の輪? あっ」
惑星アズガランへ入るときに見たあの黄色い輪っか。あれはウルーガの壁を抜ける入り口だったのか。
「や、やはりっ。けど一体どうやって……」
「知らん。穴を開けるところをこの目で見てみないことにはの」
「そうですか……」
昼間やったようにズァーグで身体を覆えば突破もできるが、あれは通れるだけで穴は開いていない。穴を開けるにはなにか別に特殊な方法が必要なのだろう。
「けど、もしもあの穴が無かったらどうやって俺たちは惑星へ降りてたんだ?」
「デュロリアンで突き破るだけじゃ」」
まあ、あのバリアとやらの頑丈さなら平気で突き破れるか。
「デュロリアンって君たちの乗ってる戦闘機かい? 戦闘機や戦艦でウルーガの壁を破るなんて無理だよ。それらを防ぐために作られたものなんだからさ」
「うんまあ、そうなんだろうけどね」
説明が面倒なので多くは語らなかった。
時刻は日の沈む夕方から日の沈みきる夜へと変わり、ペイナーの提案で俺たちは食堂へと夕食を食べに向かう。
食堂へついた俺たちはやがて食事を終え、
「うん。おいしかった」
珍しい美味な料理を堪能した俺は感想を言って茶を飲む。
「ふふふ、そうだろう。ここの料理人は私のツテで連れてきたんだ。私のような優れた人間が居住する場所にはそれにふさわしい環境が必要だからね」
「そうなんだ。というかここに住んでるの?」
名家出身と聞いたからてっきりどこかの豪邸にでも住んでいるのかと思っていたが。
「現在は戦時中ですので、ナイトの全員は緊急時に備えて各地にあるヨトゥナの基地での居住を命令されているのです」
「ああ、そういうことか」
代わりに答えたルカの言葉に納得する。
戦争中であれば当然のことだ。
「いつ帝国がここへ攻め込んで来るかもわかりませんからね」
「うん? うーん……」
攻めて来る。そう聞いて俺は首を傾ぐ。
敵がどういう風にここへ攻め込んで来るのか? 宇宙や星というものがいまだによくわかっていない俺には、この世界の戦争が具体的には想像ができなかった。
「お馬鹿さんだな君は」
不意にペイナーがせせら笑って言う。
「惑星アズガランは全体がウルーガの壁で覆われているんだ。敵が攻め込んで来るなんて不可能さ」
「惑星全体をウルーガの壁で? それはすごいな」
あの見えない壁で惑星すべてを覆えるなんて、どうやるのかは想像もできないことだ。
「ウルーガの壁が開発されてからは地上での白兵戦はほとんど無くなっておりました。しかし先日、デルマ王国が帝国に侵攻された件もですが、惑星をウルーガの壁で覆っているにも関わらず、地上に降下を許して侵攻を受けることが増えています。なにか壁を突破して攻め込む方法があるのではとヨトゥナや連合の上層部は調査しているそうですが……」
「壁を展開するスイッチを入れ忘れたんじゃないかな? もしくは入り口を閉じ忘れたとか?」
「そんな馬鹿な」
「……?」
2人の会話を聞いて、俺は違和感を感じる。
あれ? 確か俺たちがデュロリアンで惑星に入ったときは壁なんてなかったはず。
「ツクナたちはウルーガの壁に空いていた穴を通って惑星へ降りたのじゃ」
「あ……」
あのときツクナが言っていた穴とはそういう意味だったのか。
「やっぱり入り口を閉じ忘れたんだろう」
「いや、入り口の輪はなかった。恐らく帝国がなんらかの方法を使ってウルーガの壁に穴を開けたのではないかの」
「入り口の輪? あっ」
惑星アズガランへ入るときに見たあの黄色い輪っか。あれはウルーガの壁を抜ける入り口だったのか。
「や、やはりっ。けど一体どうやって……」
「知らん。穴を開けるところをこの目で見てみないことにはの」
「そうですか……」
昼間やったようにズァーグで身体を覆えば突破もできるが、あれは通れるだけで穴は開いていない。穴を開けるにはなにか別に特殊な方法が必要なのだろう。
「けど、もしもあの穴が無かったらどうやって俺たちは惑星へ降りてたんだ?」
「デュロリアンで突き破るだけじゃ」」
まあ、あのバリアとやらの頑丈さなら平気で突き破れるか。
「デュロリアンって君たちの乗ってる戦闘機かい? 戦闘機や戦艦でウルーガの壁を破るなんて無理だよ。それらを防ぐために作られたものなんだからさ」
「うんまあ、そうなんだろうけどね」
説明が面倒なので多くは語らなかった。
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