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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年
第53話 惑星という球体
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「ツクナがいれば簡単じゃ」
「ん、そうだな」
オーディアヌ帝国とやらがどれほど強大な国かは知らないが、ツクナがいれば目的の達成は容易いだろう。
「で、その、ある男ってのはどこにいるんだ?」
「あの惑星じゃ」
「ワクセイって……あの球体?」
その男は球体の上でなにをやっているんだろう? わからん。
「ほれ急ぐのじゃ。早くせんとその男が殺されてしまう」
「えっ? そうなの? じゃあ急がないと」
俺はアクセルをいっぱいに踏んでデュロリアンを球体へ向かわせる。
……しかし思ったより遠いのか、なかなか球体には辿り着けない。
「なんか思ったより遠いな。もっと側に出れなかったのか?」
「ハバンにここがどういう世界かを知ってもらいたかったからの。あえて遠くに出たのじゃ」
「そ、そうか。しかしあの球体、思ったよりでかいなぁ」
近づけば近づくほど、どんどんでかくなる。
「20世紀に造られた宇宙船なら、ここからあの惑星まで5年はかかるのじゃ」
「ご、5年っ?」
「うむ。しかしデュロリアンならあと5分くらいじゃな」
「へー……」
よくわからないが、デュロリアンはその20世紀に造られたウチュウセンとやらよりだいぶ優れているということは理解できた。
それから5分ほどデュロリアンを進ませ、球体の間近にやってくると……。
「な、なんだこれは……」
遠くから見ていたときは単なる丸い球体でしかなかった物体が、側に来てみたら途方も無く巨大で、もはや球体であるかどうかを視界に映る範囲で確認することはできない。
色は青だったり白だったり茶色だったりが折り混ざっている奇妙はものだ。
ここに目的の男が? どこに? どうやって?
もう俺の頭は混乱でわけがわからなくなっていた。
「これが惑星じゃ。ここにはあらゆる生物が生息しておる。人間もの」
「ここに人間が? どうやって?」
「行ってみればわかる」
「行くって……」
ここからどこへ向かえばいいんだろうと、小首を傾げる。
「自動操縦に切り替える。目的の場所まで自動で着陸するから、あとは座っていればよい」
「あ、うん」
ハンドルが収納され、デュロリアンが球体へと進んで行く。
しかし、いくらツクナの言うことでも、こんなところに人が住んでいるなんて想像できない。
「ほれ、この世界の言葉と文字が理解できるようになる薬じゃ」
「んぐっ」
口に放り込まれて飲み込む。
「降りたら恐らくすぐに戦闘じゃ。気を引き締めておくんじゃぞ」
「わ、わかった」
だがツクナが言うのだから、なにかしらの形でここに生物が生息しているのだろう。そこでなにと戦うのかはわからないが、自分はやれと言われたことをやるだけだと俺は言われた通り、気をしっかりと引き締め戦闘に備えた。
「まあしかし、あぶなくなったら逃げてもよい」
「うん? ああ、あそこにいる男を連れて逃げろってことか?」
「そうできればそれでも構わんが、無理ならハバンだけでも逃げてよいぞ」
「けどそれだと目的が失敗になるんじゃないか? その、ある男が殺されて」
「そうなったらそうなったでしかたのないことじゃ。ハバンが命までかけてやらんでよい」
「そう?」
それならまあそれでもいいかと納得する。
「うん?」
「どうした?」
不意に声を上げたツクナに問いかける。
「……穴が空いておるな」
「穴って……どこに?」
と、車内を探るがそれらしいものが見つからない。
「そういうことではない。まあ今は気にせんでもよいことじゃ」
「?」
どういうことだろう?
しかしツクナがそう言うのならばと、俺は気にしないことにした。
「ん、そうだな」
オーディアヌ帝国とやらがどれほど強大な国かは知らないが、ツクナがいれば目的の達成は容易いだろう。
「で、その、ある男ってのはどこにいるんだ?」
「あの惑星じゃ」
「ワクセイって……あの球体?」
その男は球体の上でなにをやっているんだろう? わからん。
「ほれ急ぐのじゃ。早くせんとその男が殺されてしまう」
「えっ? そうなの? じゃあ急がないと」
俺はアクセルをいっぱいに踏んでデュロリアンを球体へ向かわせる。
……しかし思ったより遠いのか、なかなか球体には辿り着けない。
「なんか思ったより遠いな。もっと側に出れなかったのか?」
「ハバンにここがどういう世界かを知ってもらいたかったからの。あえて遠くに出たのじゃ」
「そ、そうか。しかしあの球体、思ったよりでかいなぁ」
近づけば近づくほど、どんどんでかくなる。
「20世紀に造られた宇宙船なら、ここからあの惑星まで5年はかかるのじゃ」
「ご、5年っ?」
「うむ。しかしデュロリアンならあと5分くらいじゃな」
「へー……」
よくわからないが、デュロリアンはその20世紀に造られたウチュウセンとやらよりだいぶ優れているということは理解できた。
それから5分ほどデュロリアンを進ませ、球体の間近にやってくると……。
「な、なんだこれは……」
遠くから見ていたときは単なる丸い球体でしかなかった物体が、側に来てみたら途方も無く巨大で、もはや球体であるかどうかを視界に映る範囲で確認することはできない。
色は青だったり白だったり茶色だったりが折り混ざっている奇妙はものだ。
ここに目的の男が? どこに? どうやって?
もう俺の頭は混乱でわけがわからなくなっていた。
「これが惑星じゃ。ここにはあらゆる生物が生息しておる。人間もの」
「ここに人間が? どうやって?」
「行ってみればわかる」
「行くって……」
ここからどこへ向かえばいいんだろうと、小首を傾げる。
「自動操縦に切り替える。目的の場所まで自動で着陸するから、あとは座っていればよい」
「あ、うん」
ハンドルが収納され、デュロリアンが球体へと進んで行く。
しかし、いくらツクナの言うことでも、こんなところに人が住んでいるなんて想像できない。
「ほれ、この世界の言葉と文字が理解できるようになる薬じゃ」
「んぐっ」
口に放り込まれて飲み込む。
「降りたら恐らくすぐに戦闘じゃ。気を引き締めておくんじゃぞ」
「わ、わかった」
だがツクナが言うのだから、なにかしらの形でここに生物が生息しているのだろう。そこでなにと戦うのかはわからないが、自分はやれと言われたことをやるだけだと俺は言われた通り、気をしっかりと引き締め戦闘に備えた。
「まあしかし、あぶなくなったら逃げてもよい」
「うん? ああ、あそこにいる男を連れて逃げろってことか?」
「そうできればそれでも構わんが、無理ならハバンだけでも逃げてよいぞ」
「けどそれだと目的が失敗になるんじゃないか? その、ある男が殺されて」
「そうなったらそうなったでしかたのないことじゃ。ハバンが命までかけてやらんでよい」
「そう?」
それならまあそれでもいいかと納得する。
「うん?」
「どうした?」
不意に声を上げたツクナに問いかける。
「……穴が空いておるな」
「穴って……どこに?」
と、車内を探るがそれらしいものが見つからない。
「そういうことではない。まあ今は気にせんでもよいことじゃ」
「?」
どういうことだろう?
しかしツクナがそう言うのならばと、俺は気にしないことにした。
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