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第3の異世界ー死にたい魔王
第43話 ハイパーサタンを倒した?
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「ファイオーガっ!」
リュアンの放つ激しい炎が玉座ごとハイパーサタンを焼く。
「ええいっ!」
やや焦げた姿で立ち上がるハイパーサタンをデムーロニーの剣が斬りつける。
そのまま攻撃の手を緩めない2人。魔法で応戦してくるハイパーサタンと互角の戦いを繰り広げていた。
「あれ? 勝てるんじゃない?」
善戦しているというわけでもないが、苦戦をしているようにも見えない。
考えてみれば、2人はこの世界で1番の強さを持つ者と2番の強さを持つ者なのだ。その2人が組めば強いのは道理であろうと言える。
「よし、俺も協力して一気に倒してしまおう」
戦闘に参加しようと足を踏み出した俺だが、その手をツクナが掴んだ。
「待て、あれは違う」
「えっ? 違うって……?」
手元のパソコンを睨むツクナからその答えを聞く前に……。
「うう……ええーいっ! これで最後だーっ! ギガカミードっ!」
巨大ないかずちがハイパーサタンを襲う。そして、
「あっ」
倒れ伏し、チリとなってハイパーサタンの肉体は消えた。
「た、倒したのか?」
いや、完全に消失したのだ。疑う必要もない。
「やったーっ! 倒した―っ!」
「や、やったな!」
リュアンとデムーロニーが手を取り合って喜び合う。
だいぶ傷を負った様子で、2人はお互いの身体を支え合ってなんとか立っているという状態であった。
「終わった……?」
「馬鹿者。違うと言ったじゃろう。見ろ」
「見ろって……えっ? な、なんだ?」
倒したと思ったハイパーサタンがふたたび玉座に鎮座していた。
「どういうことだっ!? リュアンっ! デムーロニーっ!」
「えっ? きゃーっ!?」
「うあっ!?」
立ち上がったハイパーサタンの魔法で2人は吹き飛ばされ、周囲に溜まっている水へと落ちる。
「な、なんで? 倒したはずじゃ……」
倒していなかった?
いや、消失をこの目で確認した。ならば生き返ったとでも言うのか?
「くっ……」
リュアンを小脇に抱えてデムーロニーが水面から上がる。満身創痍の2人へ向けて、ハイパーサタンが手を広げた。
「やられるっ!」
「ハバン、あれを殴れ」
「えっ? あ、あれって?」
「あの敵に決っておるじゃろ。安心しろ。奴がなにをしようと、お前の攻撃は必ず当たる」
「わ、わかったっ!」
俺は慌てて駆け出す。
「……」
気付いたハイパーサタンの手がこちらを向く。
「ハ、ハバンさん、あぶないです……。奴のファイオーガが……」
リュアンの言葉通り、奴の手からファイオーガという激しい炎の魔法が放たれる。
しかし俺は足を止めない。ツクナの言葉を信じてまっすぐに走った。
「うおおおおっ!」
炎が間近に迫る。が、
「あ……っ?」
俺の目前で炎は消えて無くなる。
なぜそうなったのかはわからない。
けれどこれならっ!
手の届く範囲に捉えたハイパーサタンの顔面を目掛けて思い切り拳を伸ばす。と、
「あれ?」
拳が当たる寸前でハイパーサタンの身体が消失してしまう。
「消えた? いや、倒したのか?」
しかしまったく手応えがなかったので実感が沸かない。
「倒した。しかしあれは偽物じゃ」
「に、偽物? 本物のハイパーサタンじゃないのか?」
「うむ。さっきまでそこにいた奴は生物ではない。魔力の塊じゃ。本物のハイパーサタンが魔法で作り出したのじゃろう」
「そ、そんな……。わたしたちが倒したハイパーサタンが偽物だったなんて……」
リュアンの悲痛な声が広い部屋に響く。
「じゃあ本物はどこにいるんだ?」
「ふむ……」
ツクナがポンポンとパソコンを操作する。
「僕らが来ると知って逃げてしまったのではないか?」
「あ、そうだよっ。わたしたちに恐れをなして逃げちゃったんだよ、きっと」
「そ、そうなのかな……」
ということは、本物でも偽物とそれほど強さは変わらないのか……。
「――そんなわけないじゃん」
「えっ?」
どこからか声が聞こえた。女の声だが、ツクナでもリュアンでもない。
「そこじゃ」
「そ、そこって……あっ」
なんだ? 空間に切れ目が浮いている。
そこから両手が現れ、切れ目を開いて身体がにゅーっと姿を現す。
やがて切れ目から出てきた女が、両手を腰に当てて悪辣な笑顔でこちらを見た。
「お、お前がハイパーサタ……ん?」
この女、なにか見覚えがあるような……?
「初めまして。わたくしがハイパーサタン、ソシアスタークだよ」
「あっ!? お、お前は……っ」
目の前でハイパーサタンを名乗ったその女は、俺の幼馴染であるソシアであった。
リュアンの放つ激しい炎が玉座ごとハイパーサタンを焼く。
「ええいっ!」
やや焦げた姿で立ち上がるハイパーサタンをデムーロニーの剣が斬りつける。
そのまま攻撃の手を緩めない2人。魔法で応戦してくるハイパーサタンと互角の戦いを繰り広げていた。
「あれ? 勝てるんじゃない?」
善戦しているというわけでもないが、苦戦をしているようにも見えない。
考えてみれば、2人はこの世界で1番の強さを持つ者と2番の強さを持つ者なのだ。その2人が組めば強いのは道理であろうと言える。
「よし、俺も協力して一気に倒してしまおう」
戦闘に参加しようと足を踏み出した俺だが、その手をツクナが掴んだ。
「待て、あれは違う」
「えっ? 違うって……?」
手元のパソコンを睨むツクナからその答えを聞く前に……。
「うう……ええーいっ! これで最後だーっ! ギガカミードっ!」
巨大ないかずちがハイパーサタンを襲う。そして、
「あっ」
倒れ伏し、チリとなってハイパーサタンの肉体は消えた。
「た、倒したのか?」
いや、完全に消失したのだ。疑う必要もない。
「やったーっ! 倒した―っ!」
「や、やったな!」
リュアンとデムーロニーが手を取り合って喜び合う。
だいぶ傷を負った様子で、2人はお互いの身体を支え合ってなんとか立っているという状態であった。
「終わった……?」
「馬鹿者。違うと言ったじゃろう。見ろ」
「見ろって……えっ? な、なんだ?」
倒したと思ったハイパーサタンがふたたび玉座に鎮座していた。
「どういうことだっ!? リュアンっ! デムーロニーっ!」
「えっ? きゃーっ!?」
「うあっ!?」
立ち上がったハイパーサタンの魔法で2人は吹き飛ばされ、周囲に溜まっている水へと落ちる。
「な、なんで? 倒したはずじゃ……」
倒していなかった?
いや、消失をこの目で確認した。ならば生き返ったとでも言うのか?
「くっ……」
リュアンを小脇に抱えてデムーロニーが水面から上がる。満身創痍の2人へ向けて、ハイパーサタンが手を広げた。
「やられるっ!」
「ハバン、あれを殴れ」
「えっ? あ、あれって?」
「あの敵に決っておるじゃろ。安心しろ。奴がなにをしようと、お前の攻撃は必ず当たる」
「わ、わかったっ!」
俺は慌てて駆け出す。
「……」
気付いたハイパーサタンの手がこちらを向く。
「ハ、ハバンさん、あぶないです……。奴のファイオーガが……」
リュアンの言葉通り、奴の手からファイオーガという激しい炎の魔法が放たれる。
しかし俺は足を止めない。ツクナの言葉を信じてまっすぐに走った。
「うおおおおっ!」
炎が間近に迫る。が、
「あ……っ?」
俺の目前で炎は消えて無くなる。
なぜそうなったのかはわからない。
けれどこれならっ!
手の届く範囲に捉えたハイパーサタンの顔面を目掛けて思い切り拳を伸ばす。と、
「あれ?」
拳が当たる寸前でハイパーサタンの身体が消失してしまう。
「消えた? いや、倒したのか?」
しかしまったく手応えがなかったので実感が沸かない。
「倒した。しかしあれは偽物じゃ」
「に、偽物? 本物のハイパーサタンじゃないのか?」
「うむ。さっきまでそこにいた奴は生物ではない。魔力の塊じゃ。本物のハイパーサタンが魔法で作り出したのじゃろう」
「そ、そんな……。わたしたちが倒したハイパーサタンが偽物だったなんて……」
リュアンの悲痛な声が広い部屋に響く。
「じゃあ本物はどこにいるんだ?」
「ふむ……」
ツクナがポンポンとパソコンを操作する。
「僕らが来ると知って逃げてしまったのではないか?」
「あ、そうだよっ。わたしたちに恐れをなして逃げちゃったんだよ、きっと」
「そ、そうなのかな……」
ということは、本物でも偽物とそれほど強さは変わらないのか……。
「――そんなわけないじゃん」
「えっ?」
どこからか声が聞こえた。女の声だが、ツクナでもリュアンでもない。
「そこじゃ」
「そ、そこって……あっ」
なんだ? 空間に切れ目が浮いている。
そこから両手が現れ、切れ目を開いて身体がにゅーっと姿を現す。
やがて切れ目から出てきた女が、両手を腰に当てて悪辣な笑顔でこちらを見た。
「お、お前がハイパーサタ……ん?」
この女、なにか見覚えがあるような……?
「初めまして。わたくしがハイパーサタン、ソシアスタークだよ」
「あっ!? お、お前は……っ」
目の前でハイパーサタンを名乗ったその女は、俺の幼馴染であるソシアであった。
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