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第3の異世界ー死にたい魔王
第26話 ハイパーサタンとは何者?
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「どうしよう? ツクナ?」
「ふぅむ。まずは城を奪ったその女のほうをなんとかせねばいかんらしいのう」
「じゃあまずは魔王城に行くか?」
「いや……リュアンよ、お前を追い出した女はひとりかの?」
「あ、うん。ひとりで来てわたしと魔王城の魔物をやっつけたの。すごく強かった」
「その者の名は?」
「えっと、名前かはわからないけど、自分のことをハイパーサタンって言ってたよ」
「ハイパーサタン……ふむ」
ツクナはパソコンを操作して唸る。
「この世界を検索してもハイパーサタンなどという者は存在しないと出る。それにリュアンより強い者などこの世界にはおらん。奇妙じゃの」
「この子そんなに強いの?」
ツクナが感じたこの世界への奇妙さよりも、リュアンが強いという事実に俺は興味を持つ。
「強いですよーっ! ふんーっ!」
大きな胸に手を置いて鼻を鳴らすリュアン。
どう見てもこの世界で一番強いとは思えない。
「わたしのこの優れた容姿をご覧いただければ、魔法の才能を高く引き出せることがおわかりでしょう?」
「どういうこと?」
「この世界では若く、顔が美しく、胸がでかいほど自身の才能を高く引き出せるようじゃ」
「ふーん」
変な世界。
「魔王城を取り返すならわたしも協力しますよーっ! がんばりましょーっ! ふんーっ!」
「だけどそんな強い奴を相手にして、3人だけで勝てるのか?」
ただの人間が相手ならともかく、相手は魔法とかいうなんかすごい力を使うのだ。デュロリアンやこの右腕があっても少し不安がある。
「まあ、大丈夫じゃけど、連れて行ったほうが都合の良い者はおるのう」
「連れて行ったら都合の良い者って?」
「勇者じゃ。目的を達成するためには、ついでに連れて行ったほうがスムーズじゃろう」
「そうだな」
しかし勇者とはどんな者なのか? 世界を滅ぼそうとする魔王に挑むような者ならば、品行方正で勇敢な人間なのだろうと、俺はなんとなく思う。
「ではさっそく勇者のもとへ行くとするかの」
「うん」
とりあえずの目的が決まり、出発をしようする。と、
「むっ!?」
リュアンに向かって飛んできたなにかを咄嗟に掴む。
「ひゃあっ!? な、なんですか?」
「矢だ。誰かいるな」
周囲の暗がりへ目を凝らす。
と、十数人の何者かが岩陰や木の根元から姿を現した。
「誰だ?」
答えは無く、今度は別の者が炎を放つ。
「何者かは知らないけど、敵ではあるみたいだな」
素早い動きでツクナとリュアンをデュロリアンへ放り込むと、俺はフロント部分に飛び乗って右手を構えた。
「ん?」
デュロリアンのヘッドライトに照らされているとはいえ、周囲のほとんどは夜闇に染め抜かれている。だというのに、妙に目が冴えて敵の位置を正確に知ることができた。
なにか変だ。いや、今はそれよりも。
「死にたくなければ失せろ」
そう言葉をかけるも、返って来たのは数本の矢である。
矢はデュロリアンのバリアによって弾かれ、俺は息を吐く。
「しかたない。ツクナ、やってもいいのか?」
「構わん」
許可をもらった俺は、襲撃者へ向けて銃弾を掃射する。
「ぐあっ!?」
あっという間に襲撃者らを倒した俺は、フロントから降りて運転席へ乗り込む。
「なんだったんだあいつら? 魔法を使ってたみたいだけど」
「た、たぶんわたしを殺そうと襲って来た賞金稼ぎですっ。わたし手配書が出回ってるのでっ」
「そういえば人類を滅ぼうと目論む悪人だったね……」
そんな風にはぜんぜん見えないのだが。
「あ、えっと、その……こ、怖かったですーっ!」
「えっ? おっと」
助手席から飛びついてきたリュアンを思わず抱き止める。
「ハバンさんが守ってくれなかったら死んでたかもしれないですーっ」
「そ、そうか」
「嘘吐くな」
後部座席からツクナが言う。
「この世界で一番強い奴があの程度の連中に負けるはずないじゃろ」
「あ」
それもそうだ。
「むーツクナちゃん。お父さんの恋愛を邪魔しちゃダメだと思うな」
「ハバンはツクナの父親ではない」
「えっ? じゃあお兄さん?」
「違う。ハバンはツクナの婿候補じゃ」
「む、婿っ?」
リュアンの目が俺をじっと見上げる。
「も、もしかしてハバンさんって……そういう人ですか?」
「そういう人って?」
なんだろう?
「ほれもう離れろ。ツクナの育てている男にベタベタくっつくでない」
「そ、育ててるって……ツクナ」
「なんじゃ?」
「いや……」
まあ養ってもらってるから間違いでもない。
「ほれ、指示をするから、デュロリアンを出すのじゃ」
「あ、うん」
俺はデュロリアンのアクセルを踏み、指示に従って目的地に向かった。
「ふぅむ。まずは城を奪ったその女のほうをなんとかせねばいかんらしいのう」
「じゃあまずは魔王城に行くか?」
「いや……リュアンよ、お前を追い出した女はひとりかの?」
「あ、うん。ひとりで来てわたしと魔王城の魔物をやっつけたの。すごく強かった」
「その者の名は?」
「えっと、名前かはわからないけど、自分のことをハイパーサタンって言ってたよ」
「ハイパーサタン……ふむ」
ツクナはパソコンを操作して唸る。
「この世界を検索してもハイパーサタンなどという者は存在しないと出る。それにリュアンより強い者などこの世界にはおらん。奇妙じゃの」
「この子そんなに強いの?」
ツクナが感じたこの世界への奇妙さよりも、リュアンが強いという事実に俺は興味を持つ。
「強いですよーっ! ふんーっ!」
大きな胸に手を置いて鼻を鳴らすリュアン。
どう見てもこの世界で一番強いとは思えない。
「わたしのこの優れた容姿をご覧いただければ、魔法の才能を高く引き出せることがおわかりでしょう?」
「どういうこと?」
「この世界では若く、顔が美しく、胸がでかいほど自身の才能を高く引き出せるようじゃ」
「ふーん」
変な世界。
「魔王城を取り返すならわたしも協力しますよーっ! がんばりましょーっ! ふんーっ!」
「だけどそんな強い奴を相手にして、3人だけで勝てるのか?」
ただの人間が相手ならともかく、相手は魔法とかいうなんかすごい力を使うのだ。デュロリアンやこの右腕があっても少し不安がある。
「まあ、大丈夫じゃけど、連れて行ったほうが都合の良い者はおるのう」
「連れて行ったら都合の良い者って?」
「勇者じゃ。目的を達成するためには、ついでに連れて行ったほうがスムーズじゃろう」
「そうだな」
しかし勇者とはどんな者なのか? 世界を滅ぼそうとする魔王に挑むような者ならば、品行方正で勇敢な人間なのだろうと、俺はなんとなく思う。
「ではさっそく勇者のもとへ行くとするかの」
「うん」
とりあえずの目的が決まり、出発をしようする。と、
「むっ!?」
リュアンに向かって飛んできたなにかを咄嗟に掴む。
「ひゃあっ!? な、なんですか?」
「矢だ。誰かいるな」
周囲の暗がりへ目を凝らす。
と、十数人の何者かが岩陰や木の根元から姿を現した。
「誰だ?」
答えは無く、今度は別の者が炎を放つ。
「何者かは知らないけど、敵ではあるみたいだな」
素早い動きでツクナとリュアンをデュロリアンへ放り込むと、俺はフロント部分に飛び乗って右手を構えた。
「ん?」
デュロリアンのヘッドライトに照らされているとはいえ、周囲のほとんどは夜闇に染め抜かれている。だというのに、妙に目が冴えて敵の位置を正確に知ることができた。
なにか変だ。いや、今はそれよりも。
「死にたくなければ失せろ」
そう言葉をかけるも、返って来たのは数本の矢である。
矢はデュロリアンのバリアによって弾かれ、俺は息を吐く。
「しかたない。ツクナ、やってもいいのか?」
「構わん」
許可をもらった俺は、襲撃者へ向けて銃弾を掃射する。
「ぐあっ!?」
あっという間に襲撃者らを倒した俺は、フロントから降りて運転席へ乗り込む。
「なんだったんだあいつら? 魔法を使ってたみたいだけど」
「た、たぶんわたしを殺そうと襲って来た賞金稼ぎですっ。わたし手配書が出回ってるのでっ」
「そういえば人類を滅ぼうと目論む悪人だったね……」
そんな風にはぜんぜん見えないのだが。
「あ、えっと、その……こ、怖かったですーっ!」
「えっ? おっと」
助手席から飛びついてきたリュアンを思わず抱き止める。
「ハバンさんが守ってくれなかったら死んでたかもしれないですーっ」
「そ、そうか」
「嘘吐くな」
後部座席からツクナが言う。
「この世界で一番強い奴があの程度の連中に負けるはずないじゃろ」
「あ」
それもそうだ。
「むーツクナちゃん。お父さんの恋愛を邪魔しちゃダメだと思うな」
「ハバンはツクナの父親ではない」
「えっ? じゃあお兄さん?」
「違う。ハバンはツクナの婿候補じゃ」
「む、婿っ?」
リュアンの目が俺をじっと見上げる。
「も、もしかしてハバンさんって……そういう人ですか?」
「そういう人って?」
なんだろう?
「ほれもう離れろ。ツクナの育てている男にベタベタくっつくでない」
「そ、育ててるって……ツクナ」
「なんじゃ?」
「いや……」
まあ養ってもらってるから間違いでもない。
「ほれ、指示をするから、デュロリアンを出すのじゃ」
「あ、うん」
俺はデュロリアンのアクセルを踏み、指示に従って目的地に向かった。
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