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鳥のような魚のような (R18)

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 雲のない抜けるような青空、高く昇った太陽の強い日差しが降り注いでいる。
 プールの水面がキラキラと反射していた。
 直哉の顔が近づき、すっと遥香の顔に影が差しこむ。
 唇と唇が重なった。

 あ、どうしよう。
 遥香が、そんなことを思った時には直哉からキスを落とされていた。心惹かれていた遥香は、それを素直に受け入れ、柔らかな感触に絆されていく。
 そう、切れ長の瞳の虹彩に囚われた時から恋をしていた。

 最初は優しく重なっていたキスが、唇を舐め上げるように動き、だんだんと貪るようなキスに変わっていく。
 遥香を支える直哉の腕に力が籠り、ふたりの間の密度は増していく。

 顔の角度を変え、何度も深い口づけを繰り返し、やがて息が上がり始める。
 風の音も木々のざわめきも遠のいて、重ねた唇が熱く感じていた。
 身じろぎするたびにチャプチャプと水音が聞こえてる。

 息継ぎのために唇が離れると切なげに揺れる瞳が遥香を見つめていた。
 欲しいものは、なんでも持っていそうな人なのに時折見せる寂し気な瞳。
 その瞳を遥香は慰めたくなってしまう。
 自分に何ができるはずもないのに、どうしてこんなに気持ちになるんだろう。
 「切ない」という感情は、こういう気持ちなのだ思った。

 彼の寂し気な瞳を慰めたくて、遥香は自分からキスをした。
 こんなことをしてはダメなのに、理性では抑えられない。

 唇を重ねると少し開いた唇の間を直哉の厚みのある舌がぬるりと入ってくる。
 歯の裏をなぞるように彼の舌が動き、口の中が唾液で溢れ出す。
 深くなった口づけ、直哉の舌は遥香の中で蠢いていた。

 水の中にいるのに体が熱く感じてお腹の奥が疼いている。
 何度も繰り返すキスが気持ち良くて、頭の中が蕩けていく。
 ダメだと思っているのに、本能が欲しがり続け、止められそうもない。

 腰を支えていたはずの直哉の手は、遥香のブラウスの隙間から余裕のない手つきで入り込んでくる。
 そして、背筋に沿って這い上がり、ブラのフックに手を掛けた。
 遥香の体を締めつけていたものがスルリを緩み、そして、解き放たれた。

 夏の強い日差しがふたりを照らし、ジリジリと熱に焼かれる。

 水に濡れたブラウスの中を大きな手が這いまわり、背中から脇を通って胸のまろみを包んだ。胸の先端を指先で刺激され、体が反射的に跳ねる。
 プールの水が動き、パチャッと水音が耳に聞こえる。

「はぁ……ぁ」

 遥香の口からは甘い息と鼻にかかった声が漏れ、それを直哉の唇がふさぐ。
 苦しいのに抗う事も出来ずに深いキスを受け入れて、遥香はいったいこの先どうしたいのか、わからないまま蕩けていく。

 直哉の舌が口の中で這いまわり上口蓋を舐められる。それは体の内側から撫でられる感覚で、酷く刺激された。
 逃がしきれない熱がどんどんお腹の奥にたまり出し、遥香はムズムズと膝をすり合わせる。
 そのうえ、胸を包んだ大きな手が動き、先端を指の腹で摘まれると体の奥から湧き上がるような快感が押し寄せる。

 チュッと音を立て、唇が離れた。
 そして耳に熱い吐息がかかり、荒い息遣いが聞こえる。
 耳朶を食まれ、耳の穴まで舐められるとゾクゾクとして自分の知らない何かを引き出されているよう。

 まるで熱を欲しがるように、直哉が自分を求めてくる。
 視線が絡むと寂し気な瞳が揺れていた。

 (彼の事を何も知らない。
 それなのにどうしてこんなに惹かれるんだろう。)

 下着に手がかかり、足の間のにある溝の奥に節のある指が忍び込む。
 遥香の中はプールの水とは違ったヌメリを湛え、彼を受け入れようとしている。
 直哉がそれをあてがい徐々に中へ入り込んできた。
「熱い……」
 彼が耳元で呟く。

 口づけを交わすたびに遥香は満たされた気持ちになる。
 自分の中にある寂しさが温かい色に上書きされていく。

 体を動かすと、水面がパシャパシャと水音立て、その音に煽られていく。
 肌が触れている所は熱いのに、身体には水が纏わりついている。

「ん……あっ、あぁ」

 耳に掛かる直哉の吐息は熱く。遥香の口からは甘い声が漏れている。
 太陽が二人を見ている。そして、ジリジリと熱を放っていた。

 うっすらと瞼を開くと、真っ青な空が見える。
 鳥になって飛んでいるような、魚になって泳いでいるような、自分が自分でないような、遥香はそんな錯覚に陥った。


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