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シンデレラの魔法使いは御曹司でした
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滑らかに走り出した車は、橋を渡った。
許田の信号の先は58号線、正面に名護湾が広がっている。右に曲がれば名護方面だ。信号待ちのために停車していると左にウインカーが点滅する。
「あの、ココの信号右で名護市内ですよ」
「ほら、行きたいレストランがあるって言ったよね。少し早いけど今から向かってもいいかな? 現地で買い物もしたいんだ」
「はい、わかりました」
と、要望にお応えして返事をしてみたものの、遥香は憂鬱な気持ちになってしまった。
なぜなら、今の服装は、仕事用のかりゆしスタイル。おまけに、素足にパンプス履きのくたびれた姿だ。
そんな服装でレストランへ行くなんて……。
けれど、直哉が嬉しそうな顔を見ると何も言えなくなってしまう。
車は喜瀬の海岸を右手に見ながら58号線を南下する。
2000年に開かれた沖縄サミットの会場となったブセナ岬の万国津梁館の看板が見えて来た。すると喜瀬の信号で、車は左折する。
「えっ、」
遥香はこの先ある建物が、世界的に有名なラグジュアリーホテルチェーンのLa mer du repos(ラ・メージュ・レポス)だと知っていた。直哉が予約したレストランがLa mer du reposに入っているレストランだとしたら、こんな服装でどうしようかと遥香は焦る。
丘陵を切りひらいた一本道を車は爽快に走り続けている。そして、たどり着いたのは予想通り、La mer du reposのエントランスだった。
自分の服装を見おろすように俯いている遥香に、直哉の声が聞こえてくる。
「着いたよ。買い物に付き合ってくれる?」
「あの、私……」
「さあ、おいで」
助手席側に回り込んで来た直哉に手を引かれ、ためらいながら車を降りる。「柏木様お久しぶりです」とドアマンに笑顔で出迎えられた。
ゆったりとしたエントランスホールは落ち着いた色合いで、綺麗に磨かれた大理石の床に、ラタンのゆったりとしたソファーが配置されている。そのソファーに遥香は腰を下ろし、直哉がフロントで手続きをしているの待っていた。何気なく、上を見上げれば、バリ島の建物を彷彿させる木目が交差したデザインが美しい、その高い天井に圧倒される。
奥にある大きなガラス窓の向こうには、海に落ちる夕日が水平線を橙色に縁取り、空を淡い茜色から薄紫のグラデーションに染め上げている。その美しさに魅了されてしまう。
フロントで手続きを終えた直哉が、ゆったりとこちらに向かって来た。豪華な大理石の無機質な床や壁、ガラスの向こうにあるヤンバルの美しい背景と相まって、スタイルの良い直哉と一枚の絵画のよう。
そんな何気ない姿さえもカッコいいとか……ずるい。
ほぅ。と感心した息を吐いたところで話し掛けられる。
「お待たせ、退屈させちゃったかな? 急で悪いけどエステが空いていたから、いまから行くよ」
「エステですか? では、私、ココでお待ちしてます」
直哉は握った手を口元に当て、クスリと笑う。
「違うよ。エステを受けるのは、安里さんだよ。俺は、その間に買い物してるから、気にしないでゆっくりしておいで」
「な、なに言っているんですか!?」
突然の提案にびっくりして大きな声を出してしまい、慌てて口を押えた。
こんな高級ホテルでエステの施術を受けたら、今月のお給料の大半が吹っ飛んでしまいそうで、お財布事情を考えると気軽にウンと言えず、遥香は顔をひきつらせた。
「今日は、色々と付き合わせてしまったから、そのお礼だよ。ほら、施術してくれる人が待って居るから早くしないと」
「えっ、ちょっ、ちょっと待ってください」
信じられない展開に間抜けな返事しかできない。
それなのに直哉は、甘やかな笑顔を浮かべ「ほら、急いで」と言って、遥香の手を引く。
直哉の手の熱さと、これから起こる事の不安と期待が入り交じる。エステルームへ向かう長い廊下を直哉に連れられて歩く間も、遥香の心は落ち着かない。
すると、遥香の様子に気づいたのか、直哉が振り返る。
不安気に見上げる遥香と視線が絡むと「大丈夫だよ」というように柔らく微笑む。
優しい笑顔にほだされて、余計に心臓が騒がしくなる。
バンブー素材の扉のエステルームにたどり着いた。
「今日は、たくさん案内させて無理をさせたね。ゆっくりと疲れを取ってもらって」
直哉に送り出され、おずおずと扉を開いた。
清潔感溢れた室内は、アロマオイルが爽やかに香り、中央に置かれたマッサージベッドの向こうは大きなガラス窓がある。
高台にあるホテルのまわりはヤンバルの深い緑に囲まれ、夕闇を迎えた空は薄紫色から藍色へと変わろうとしていた。
エステルームとは思えない作り、極上の贅沢だ。
「こちらへどうぞ」と、更衣室へ案内され、専用の下着やガウンを渡された。
今まで、フェイシャルの施術を受けた事がある遥香だが、ボディまで施術される本格的なのは初めてで、裸を見られるのは何となく恥ずかしい気もした。けれど、せっかくの機会だからセレブ体験を楽しませてもらおうと覚悟を決める、施術用の下着に着替え、ガウンを羽織った。
オールハンドの全身エステは、かつてないほどの気持ちよさで、古い殻を脱ぎ捨てた、むきたてのゆで卵になった気分。
「はぁ~、蕩ける。極上、上等ね~」
蕩けたところで、ヘッドスパが始まる。温かいオイルが、甘い香りを漂わせ、髪の生え際へ落ちて来る。
「お客様のように、カラーリングされていない黒絹のような髪色、最近少なくなりましたが、本当に美しいです」
肩口から15 センチほど伸びてしまった髪にオイルマッサージが始まると、そんな褒め言葉を貰った。
うちなんちゅ特有の密集した眉毛と黒目がちな瞳、ひとつひとつの凹凸が、はっきりしたパーツの顔だちで、やたらに茶髪にすると「どこのお国の人?」と言われるのが、怖くて一度も染めた事がない。黒絹のようなんて、言ってもらえる立派なモノじゃないのに、褒められてくすぐったい感じがした。
ラグジュアリーホテルで働いている人はおもてなしの心使いが行き届いている。遥香も接客サービスを提供する者として見習いたいと思った。
至福の時間を過ごし、全身つるぴかに磨き上げられ、プロの手でヘアメイクまで施された。華やかに編み込まれた髪も、唇に乗せたピンクオレンジの口紅も心を浮き立たせる。
「お洋服が届いております。こちらをお召くださいますよう仰せつかっております」
と、渡されたのは、スカートの部分に沖縄の伝統的な型染めの紅型がデザインされた、モダンなワンピース。そればかりか、お揃いのサンダルまで用意されていた。
ホテル内のセレクトショップにある、沖縄出身の有名デザイナーyokanのだ。
憧れていたブランドだが、遥香は自分では手の出ない価格の物を渡されて、袖を通していいモノか戸惑う。
「こんなに高い服を贈られるなんて……。でも、着ていた服は、ホテルの人が持って行ってしまったから、この服以外に着るものが無いんだ……」
無理やり自分を納得させて、ワンピースに袖を通し、サンダルを履いた。
更衣室の鏡に映った姿は、普段の自分とは別人のように見える。モダンなワンピースが似合い、ここのホテルに到着した時の何倍も綺麗に見える。
「すごい、魔法に掛けられたみたい!」
自分のビフォーアフターに驚いていると、「お連れ様がお見えです」と声を掛けられた。
そろりと扉を開けると、サロンのソファーに腰を下ろしている直哉を見つける。彼もデニムとTシャツ姿から黒のスラックスと濃紺のイタリアンカラーシャツに着替え、シックな色合いの服装が大人の色気を醸し出していた。
「似合っている。綺麗だよ」
そう言って、直哉はふわりと優しく微笑んだ。
許田の信号の先は58号線、正面に名護湾が広がっている。右に曲がれば名護方面だ。信号待ちのために停車していると左にウインカーが点滅する。
「あの、ココの信号右で名護市内ですよ」
「ほら、行きたいレストランがあるって言ったよね。少し早いけど今から向かってもいいかな? 現地で買い物もしたいんだ」
「はい、わかりました」
と、要望にお応えして返事をしてみたものの、遥香は憂鬱な気持ちになってしまった。
なぜなら、今の服装は、仕事用のかりゆしスタイル。おまけに、素足にパンプス履きのくたびれた姿だ。
そんな服装でレストランへ行くなんて……。
けれど、直哉が嬉しそうな顔を見ると何も言えなくなってしまう。
車は喜瀬の海岸を右手に見ながら58号線を南下する。
2000年に開かれた沖縄サミットの会場となったブセナ岬の万国津梁館の看板が見えて来た。すると喜瀬の信号で、車は左折する。
「えっ、」
遥香はこの先ある建物が、世界的に有名なラグジュアリーホテルチェーンのLa mer du repos(ラ・メージュ・レポス)だと知っていた。直哉が予約したレストランがLa mer du reposに入っているレストランだとしたら、こんな服装でどうしようかと遥香は焦る。
丘陵を切りひらいた一本道を車は爽快に走り続けている。そして、たどり着いたのは予想通り、La mer du reposのエントランスだった。
自分の服装を見おろすように俯いている遥香に、直哉の声が聞こえてくる。
「着いたよ。買い物に付き合ってくれる?」
「あの、私……」
「さあ、おいで」
助手席側に回り込んで来た直哉に手を引かれ、ためらいながら車を降りる。「柏木様お久しぶりです」とドアマンに笑顔で出迎えられた。
ゆったりとしたエントランスホールは落ち着いた色合いで、綺麗に磨かれた大理石の床に、ラタンのゆったりとしたソファーが配置されている。そのソファーに遥香は腰を下ろし、直哉がフロントで手続きをしているの待っていた。何気なく、上を見上げれば、バリ島の建物を彷彿させる木目が交差したデザインが美しい、その高い天井に圧倒される。
奥にある大きなガラス窓の向こうには、海に落ちる夕日が水平線を橙色に縁取り、空を淡い茜色から薄紫のグラデーションに染め上げている。その美しさに魅了されてしまう。
フロントで手続きを終えた直哉が、ゆったりとこちらに向かって来た。豪華な大理石の無機質な床や壁、ガラスの向こうにあるヤンバルの美しい背景と相まって、スタイルの良い直哉と一枚の絵画のよう。
そんな何気ない姿さえもカッコいいとか……ずるい。
ほぅ。と感心した息を吐いたところで話し掛けられる。
「お待たせ、退屈させちゃったかな? 急で悪いけどエステが空いていたから、いまから行くよ」
「エステですか? では、私、ココでお待ちしてます」
直哉は握った手を口元に当て、クスリと笑う。
「違うよ。エステを受けるのは、安里さんだよ。俺は、その間に買い物してるから、気にしないでゆっくりしておいで」
「な、なに言っているんですか!?」
突然の提案にびっくりして大きな声を出してしまい、慌てて口を押えた。
こんな高級ホテルでエステの施術を受けたら、今月のお給料の大半が吹っ飛んでしまいそうで、お財布事情を考えると気軽にウンと言えず、遥香は顔をひきつらせた。
「今日は、色々と付き合わせてしまったから、そのお礼だよ。ほら、施術してくれる人が待って居るから早くしないと」
「えっ、ちょっ、ちょっと待ってください」
信じられない展開に間抜けな返事しかできない。
それなのに直哉は、甘やかな笑顔を浮かべ「ほら、急いで」と言って、遥香の手を引く。
直哉の手の熱さと、これから起こる事の不安と期待が入り交じる。エステルームへ向かう長い廊下を直哉に連れられて歩く間も、遥香の心は落ち着かない。
すると、遥香の様子に気づいたのか、直哉が振り返る。
不安気に見上げる遥香と視線が絡むと「大丈夫だよ」というように柔らく微笑む。
優しい笑顔にほだされて、余計に心臓が騒がしくなる。
バンブー素材の扉のエステルームにたどり着いた。
「今日は、たくさん案内させて無理をさせたね。ゆっくりと疲れを取ってもらって」
直哉に送り出され、おずおずと扉を開いた。
清潔感溢れた室内は、アロマオイルが爽やかに香り、中央に置かれたマッサージベッドの向こうは大きなガラス窓がある。
高台にあるホテルのまわりはヤンバルの深い緑に囲まれ、夕闇を迎えた空は薄紫色から藍色へと変わろうとしていた。
エステルームとは思えない作り、極上の贅沢だ。
「こちらへどうぞ」と、更衣室へ案内され、専用の下着やガウンを渡された。
今まで、フェイシャルの施術を受けた事がある遥香だが、ボディまで施術される本格的なのは初めてで、裸を見られるのは何となく恥ずかしい気もした。けれど、せっかくの機会だからセレブ体験を楽しませてもらおうと覚悟を決める、施術用の下着に着替え、ガウンを羽織った。
オールハンドの全身エステは、かつてないほどの気持ちよさで、古い殻を脱ぎ捨てた、むきたてのゆで卵になった気分。
「はぁ~、蕩ける。極上、上等ね~」
蕩けたところで、ヘッドスパが始まる。温かいオイルが、甘い香りを漂わせ、髪の生え際へ落ちて来る。
「お客様のように、カラーリングされていない黒絹のような髪色、最近少なくなりましたが、本当に美しいです」
肩口から15 センチほど伸びてしまった髪にオイルマッサージが始まると、そんな褒め言葉を貰った。
うちなんちゅ特有の密集した眉毛と黒目がちな瞳、ひとつひとつの凹凸が、はっきりしたパーツの顔だちで、やたらに茶髪にすると「どこのお国の人?」と言われるのが、怖くて一度も染めた事がない。黒絹のようなんて、言ってもらえる立派なモノじゃないのに、褒められてくすぐったい感じがした。
ラグジュアリーホテルで働いている人はおもてなしの心使いが行き届いている。遥香も接客サービスを提供する者として見習いたいと思った。
至福の時間を過ごし、全身つるぴかに磨き上げられ、プロの手でヘアメイクまで施された。華やかに編み込まれた髪も、唇に乗せたピンクオレンジの口紅も心を浮き立たせる。
「お洋服が届いております。こちらをお召くださいますよう仰せつかっております」
と、渡されたのは、スカートの部分に沖縄の伝統的な型染めの紅型がデザインされた、モダンなワンピース。そればかりか、お揃いのサンダルまで用意されていた。
ホテル内のセレクトショップにある、沖縄出身の有名デザイナーyokanのだ。
憧れていたブランドだが、遥香は自分では手の出ない価格の物を渡されて、袖を通していいモノか戸惑う。
「こんなに高い服を贈られるなんて……。でも、着ていた服は、ホテルの人が持って行ってしまったから、この服以外に着るものが無いんだ……」
無理やり自分を納得させて、ワンピースに袖を通し、サンダルを履いた。
更衣室の鏡に映った姿は、普段の自分とは別人のように見える。モダンなワンピースが似合い、ここのホテルに到着した時の何倍も綺麗に見える。
「すごい、魔法に掛けられたみたい!」
自分のビフォーアフターに驚いていると、「お連れ様がお見えです」と声を掛けられた。
そろりと扉を開けると、サロンのソファーに腰を下ろしている直哉を見つける。彼もデニムとTシャツ姿から黒のスラックスと濃紺のイタリアンカラーシャツに着替え、シックな色合いの服装が大人の色気を醸し出していた。
「似合っている。綺麗だよ」
そう言って、直哉はふわりと優しく微笑んだ。
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