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178.学園祭
しおりを挟むテストの結果が張り出されて、αで背が高く体格が良い生徒らが掲示板に群がるのを遠目に、魔力による視力強化をして結果を見てみる。どれどれ…
魔術学園 第135回生初年度前期定期テスト結果
1位ナルア
2位ククル
⋮
⋮
⋮
50位ウェネル
⋮
⋮
1位、2位に俺達の名前が並び、そこからは知らない名が続く。ウェネルどこ?あー、居た!でもウェネルなんであんなに順位低いの…!?だって筆記の点数良かったじゃん!!おかしいよ!!
「ウェネル!!実技サボったでしょ!!」
「…うるさ」
「なんでなんでぇ!?なんで?」
「俺目立ちたく無いから。…だるいし」
「ばかばか!!学園祭一緒に演技するつもりだったのにぃ!!」
「うるさいってば。学園祭とか出ないし。」
「えぇ…なんでそんなこと言うの?絶対楽しいよ?ねぇねぇ!ウェネルー!」
「はぁ…しつこ…だる…」
俺が絡み過ぎたせいか、ひょいっと身軽に木を登って去っていってしまった…。怒らせちゃった…
「負けたな。流石ナルアだ。」
「ククル~…ウェネル怒らせちゃったかも…ふぇ…」
「む?まぁいつものことだろう。次に会ったら謝っておけ」
「うん…」
「実技はやはり差がつくな。」
「ククル、俺筆記筆記低かった…なんで勝ったの?絶対負けたと思ってた…」
「そりゃあお前が100点なら俺は80点程度だろうな。ちなみに俺は剣術の方は100点だったがな、魔法がな…」
「…ククルって魔法苦手なの?」
普通に強かったし、実技の点数低いわけ無いと思うんだけど…戦ってるとき魔法使ってたよね?
「まぁ剣術に比べたら苦手だな。戦闘に使う分には長けているんだろうな。最低限の詠唱で最短で発動出来るし強化魔法もつかえる。だが、テスト向きではないからな。」
「そっか。んーと…俺がやってたのは魔力操作だな!取り敢えず、精度も威力も魔法操作やるといい感じになる!」
「前にも言っていたな。魔力操作か…基礎の基礎だからな…ある程度出来るが確かに極めてはいないな…やってみるか。」
「うん!頑張ってね」
「ああ、ありがとう」
テストの結果が出たことで、これから学園祭に向けての顔合わせがある。学園祭で演技する生徒は優秀だし、スカウトなんかもあるんだって。俺はそういうの興味無いけどさ。国に縛られたりしたくないし、自由気ままにテスラさんと一緒にいられればそれが何より幸せだと思う。
「ククル、行こー」
「ああ行くか。」
「ウェネル、また後でねー」
「はいはい、静かになって清々する」
「ひど!?もー、アイス作ってあげないよ?」
そう!1度試作したときに食べさせたらアイスにハマってしまったらしいのだ。度々強請られるが、まぁ可愛いので良し!小さい口でペロペロするのが可愛いんだよね。あ!変態的な意味ではなく、ね。
「はっ?それはズルだろ…アイス寄越せ!」
「んふふ…じゃあまたね?」
「また…な。くそったれナルア」
「うんうん、可愛いねウェネル」
「可愛くねぇ!…もうさっさと行け…お前といると疲れる」
「お前達は仲がいいな」
「えへへ!でしょ!でもククルとも仲良いよ!」「勘弁してくれ…」
「そうだな。」
顔合わせはちょっと広めの講義室で行われて、他学年とも合同だ。この学園は4学年あるので合計20名が集まることになる。1年生は俺とククルとあと三人。
俺達が着いたときにはもう殆ど揃っていて、空いている席についた。少しするとフェルノさんがユニを伴って入ってくる。
「えっと…ん、皆揃っているみたいだね。じゃあ始めよう。ユニ、名前の読み上げを」
「はい、畏まりました。それでは学年ごとに纏まって頂きます。4学年はここ、3学年はここに、2学年はここに。1学年はここにお願いします。」
各自席に移動し終えて、俺達以外の三人を知った訳だけど…知らない人たちだ。それに年齢も結構違うっぽい。一人は落ち着いた感じの同年代の子。あとの二人は結構年齢高いかな?って感じで、前世で言う30代くらいに見える。
「一人一人呼んでいきますので、返事をして下さい。4学年から行きます。シル」
「はい」
「ココナ」
「はーい」
⋮
⋮
⋮
「ナルア、ククル、カルネ、ミヤ、チノ、以上ですね。」
若い子がチノ君か。猫っぽいほうがカルネさんで、犬っぽいほうがミヤさん。よし!覚えたぞ。上手くやっていけるといいんだけど…
「ん、ありがとうユニ。全員ちゃんと揃ってるね。取り敢えず、今から学年ごとに話す時間を取るから。どうぞ、話してくれ。」
上の学年の人たちは顔見知り同士なのか自然に話し始めた。俺達も話したほうがいいよね。前に座る3人に声をかける。
「ええと、話してもいいですか?まず自己紹介しようと思うんですが。」
「ええ、どうぞ。」「ああ」「おう」
「猫獣人のナルアです。得意魔法は雷です。じゃあ次」
「竜人のククルだ。得意なのは肉体強化系だ。」
「それでは次は私が。ゴリラ獣人のチノです。得意なのは…地属性ですかね。」
「カラカル獣人のカルネだ。得意というのは特にない。それなりに全般使える。」
「最後は俺だな。狼獣人のミヤだ。俺も得意魔法は肉体強化だな。」
軽い自己紹介を終えて、質問とかしてみるべきか?と空気を伺っているとミヤさんが口を開いてくれた。
「それにしてもお前ら若いな。俺なんてこの年まで修行してようやくこの学園に受かるレベルになったってのによ。すげぇ奴らはいっぱいいんだな!ナルア…あぁ、ナルアって呼んでいいか?」
「はい、他の方も呼び捨てで大丈夫です」
「じゃあナルア、今度雷魔法のコツとか教えてくれね?成長してぇんだ。まぁお前に取ったら迷惑でしか無いかも知んねぇけどよ…」
「ええと、俺で良ければ…でも結構辛いかもです。」
「マジで!?いいのかよ!断られる前提だったんだが…ありがとな!」
「私もいいですか?」「俺も行く。」「俺もナルアに教われるなら聞いてみたいな」
「上手く教えれるか分からないですけど…頑張って教えますね!」
今度雷魔法勉強会が開かれる事が決まったが、正直どうやって使えるようになったかわからない。前世知識で雷について知っていたからだろうか?試行錯誤しながら頑張ろう。テスラさんたちにもコツ聞いておこう。
「盛り上がってるみたいだね。けれど、そろそろ時間だ。解散にしよう。次の集まりは来週だよ。今度は上の学年に学園祭で行う演技を見せてもらう予定だから訓練場に集まってくれ。」
いい感じに話がまとまった所でフェルノさんから声がかかり、顔合わせの終了が告げられる。今度は上の学年の人たちの魔法が見られるんだ!!楽しみ!
それに同学年の人達とも上手くやっていけそうで良かった。正直どうなることかと思ってたけど…学園生にはエリート意識で凝り固まった人も多いと聞いていたし、実際にそういう生徒たちを見てきた。けれど今回集まった人は向上心が高く、年下に教わることも厭わないらしい。
「ククル、3人とも良い人だったね!」
「ああ、そうだな。」
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